休職中の転職活動はあり?なし?バレる?バレないための対策を上場企業管理職が解説

休職中に転職活動しようと考えていると「選考企業にバレない?」「転職後に発覚しない?」と心配になるものです。

結論として、休職中に転職活動をすることは問題ありませんが、休職中に面接であったことがバレると不利益を被るので、選考は受けずに情報収集のみにとどめることをおすすめします。

結論① バレると内定取り消しや解雇のリスクあり

休職中であることを隠して面接を受けていたとなると、バレた時に「内定取り消しや解雇」のリスクがあります。また、道徳観を疑われ、関係性に亀裂が入ります。

結論② 転職後にバレやすいので対策が必要

休職中の転職活動であったことは、転職先企業への“入社後”にバレやすいので対策が必要です。

1~2ヶ月程度の短期休職ならバレる可能性は低いですが、3ヶ月以上の長期間で休職をしてしまうと、源泉徴収票や住民税の納税額から怪しまれます。

  1. 源泉徴収票を提出してバレる
  2. 前年の住民税が少なくてバレる
  3. 再度同じ病気で傷病手当金を申請してバレる

まとめると、対策さえすればバレる可能性は限りなく低いですが、バレた時のリスクが大きすぎる(内定取り消しや解雇)ので、選考には進まないようにしましょう。

結論③休職中は選考を受けずに情報収集をしよう

休職中は選考を受けずに「情報収集」をメインにおこなうことをおすすめします。転職エージェントや、企業とのカジュアル面談くらいにしておきましょう。

当記事は、適応障害(抑うつ状態)で休職中に転職活動をおこなった筆者が、自身の経験と綿密な調査をもとに執筆したものです。

休職中の転職活動にともなうリスク・注意点

ここでは休職中に転職活動をおこなう時のデメリット、リスクについて説明していきます。後悔しないためにも事前に認識しておきましょう。

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休職中は賃金が発生しないプライベートな時間なので何をするのも自由ですが、リスクはあるので慎重に検討しましょう。

注意①リファレンスチェックがあると受けられない

選考過程にリファレンスチェックがある企業の選考は、受けることができなくなる点に注意が必要です。(特に、外資系企業に多いので)

リファレンスチェックとは、選考の途中で、前職での勤務状況や人物などについて関係者(基本、上司)にヒアリングを入れることです。

あくまで本人の了承を得たうえで実施されますが、休職中の転職活動である場合、職場の上司に依頼することができないので断らざるを得なくなります。

注意②休職理由が精神疾患なら悪化する可能性がある

もし精神的な疾患(うつ病や一時的な抑うつ状態)が休職理由である場合、完治しない状態で転職活動をすると症状が悪化する可能性があります

特に、一時的な抑うつ状態で休職した場合、仕事から離れて1ヶ月もすると症状が大きく改善するので、転職活動をされる方も多いですが、あまりおすすめはしません。

注意③休職中の転職活動は「道徳観」を疑われる

休職とは「復職を前提として籍を置く状態」なので、その前提に反して転職活動をすること(=戻るつもりがない)は、誠実性や道徳観を疑われる可能性が高いです

もともと休職とは、病気や怪我といったやむを得ず働くことができない状況に「復職することを前提として、企業に籍を残したまま労働を免除される制度」です。

企業側目線だと、賃金の支払いこそありませんが、企業負担分の社会保険料は毎月払い続ける必要がありますし、退職していないので人員募集を出すこともできないのです。

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一人分の抜けた穴を、他のメンバーでカバーしながら復職を待つ状況なので、休職中に転職活動をすることは心象が悪くなります。

バレると採用もほとんど見送られます。特に、今の職場にバレてしまうと居場所を失います。

注意④転職しても内定取り消し・解雇リスクがある

転職活動でうまく内定を勝ち取ったとしても、以下の2パターンに該当する場合だと「内定取り消し・解雇」となる可能性があります。

  • ①休職中の転職活動だった場合
  • ②採用面接で虚偽の申告をしていた場合

①休職中の転職活動だった場合

休職中に転職活動をしていたことが内定後に発覚すると、企業によっては内定取り消しや解雇となる可能性があります

もちろん発覚時点で完治しており、問題なく就業できている(かつ社内評価が高い)ようなケースでは気にされないことが多いですが、そうでない場合には注意が必要です。

もともと労働者は、一方的に解雇されることがないように法律(労働基準法や労働契約法、等)で守られていますが、「健康が著しく悪化している状態」を秘匿して労働契約を交わした場合、企業側の義務である「労働者の安全への配慮」を果たせないことを立て付けに、解雇される(自己都合退職を促される)可能性があります。

実際のところ、内定通知書の「内定取り消しの要項」として、健康状態の著しい悪化やそれに準ずる可能性を記載している企業は多く、業務成績が優れない場合は高い確率で離職を求められます

②採用面接で虚偽の申告をしていた場合

採用面接で質問をされたときに虚偽の申告をしてしまうと、バレた場合、内定取り消し・解雇となるケースがあります。以下のような問答です。

  • 過去休職していたことはありますか?
    →いいえ、ありません(虚偽)
  • 過去メンタル不調で休職した経験はありますか?
    →いいえ、ありません(虚偽)

実際、ほとんどの企業の就業規則では「入社時に虚偽申告をしていた場合、懲戒処分(解雇)の対象になる」といった旨が記載されています。

あなたの業績パフォーマンスが優れている場合であれば、懲戒処分にはせずに雇用し続けるべきである、と判断される可能性もありますが、経験上そうならないことの方が多いです。

休職中は選考を受けずに情報収集を中心に進めよう

休職中に選考を受けると解雇リスクがあるので、選考を受けるのは復職してからにしましょう。代わりに情報収集を進めることをおすすめします。

  • 転職エージェントと面談して情報収集
  • スカウトサイト経由でカジュアル面談

転職エージェントと面談して情報収集をしよう

休職中でも転職エージェントを利用することは可能です。今後のキャリアプランや、復職後にどういった転職ができそうかを相談することをおすすめします。

  • 中長期的なキャリアプランの検討
  • 求人紹介とカジュアル面談の設定
  • 経歴の棚卸し、書類や選考準備

上記のサポートを中心に受けましょう。ただ、求人への応募はしないようにしてください。あくまで情報収集です。選考を受けるのは復職後にしましょう。

休職中に相談するなら、無理に応募を促さないような面倒見の良い転職エージェントを利用しましょう。例えば下記のようなところです。

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休職中は無理に利用する必要はないので余裕があればで構いません。まずは、話を聞いてみると良いでしょう。

スカウトサイト経由でカジュアル面談をしよう

スカウト型サイトに登録してみて、連絡に応じてくれた、あるいはスカウトをくれた企業と「カジュアル面談(選考を前提としない面談)」をするのも一つの手です。

カジュアル面談の流れ
  • 企業説明
  • 選考募集中の職種説明
  • 入社後のキャリアパスや報酬説明
  • その他あなたが質問したことへの回答

選考ではないので深く質問されるようなことはありません。復職後にどういった働き方のパターンがあるかの情報収集にぜひ利用してください。

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ビズリーチはハイクラスなイメージがありますが、意外と年収400万円クラスの第二新卒枠も多いんですよね。スカウトも来やすいので割とありだと思っています。

自己分析と内省に時間を当てよう

休職中は「これまでの振り返り」と「これからどうするべきか」とテーマで、じっくりと自分に向き合ってみることをおすすめします。

  • なぜ休職に至ってしまったのか
  • 次転職するとしたらどういった要件を満たすべきか

詳しくは別記事で解説していますが、人が仕事で幸せになるためには下記の10基準が重要であるとされているので、考えてみると良いでしょう。

仕事選びで重要な10基準
  1. 労働:勤務時間、業務負荷は多すぎないか
  2. 報酬:生活に必要十分な報酬は得られるか
  3. 仲間:一緒に働く上司や同僚は魅力的か
  4. 理念:組織のビジョン、社風への共感
  5. 活躍:組織内で十分に活躍できるか
  6. 明確:給与や評価、仕事内容は明瞭か
  7. 前進:目標達成、成長実感を得られるか
  8. 刺激:多様性や変化に富んでいるか
  9. 裁量:仕事の決定権が自分にあるか
  10. 貢献:社会や人の役に立つ感覚はあるか

休職中の転職活動がバレてしまう全事例と対策

休職中に転職活動をおこない、うまく内定を獲得したとしも、転職後にバレてしまう可能性があるので対策が必要です。以下3ケースからバレます。

  1. 源泉徴収票を提出してバレる
  2. 住民税の納税額が少ないことからバレる
  3. 再度同じ病気で傷病手当金を申請してバレる

特に②,③であれば、職場に馴染んである程度の関係性が築かれてからなので、問題とならないことが多いですが、①に関しては転職直後なので注意しましょう

ただどれも対策すればバレません。簡単にまとめると下記の通りです。

休職をバレないようにする方法
  1. 転職後に源泉徴収票を求められても提出しない
    →自身で確定申告をすると伝えれば大丈夫です
    ※提出すると休職期間があることが知られます。休職理由は知られませんが怪しまれるので要注意
  2. 住民税の納税額が少なくて年収がバレる
    →企業勤めだとどうしようもないです
    (住民税から前年度の年収がザックリ知られます)
  3. 再度同じ病気にならないように注意する
    ※傷病手当金を申請すると労務担当にバレる

では具体的に説明していきますね!

事例①転職後に提出する源泉徴収票で休職がバレる

転職をすると人事担当から前職の源泉徴収票を求められますが、支給額が少ないことで、給料が支給されていない期間(=休職期間)があったことがバレるので注意しましょう。

源泉徴収票の提出で転職先にバレる情報

源泉徴収票には以下の情報が記載されています。

  • 今年もらった給与総額
  • 今年払った所得税
  • 前職の勤務先

今年の給与総額が記載されているので、転職前に申告していた年収額と相違があることで、「給与をもらっていない期間があったのでは?」と疑われる可能性があります。

有給休暇を抜いて1ヶ月分程度の無給期間であれば気にされることはありませんが、2~3ヶ月と長期で休職をしてしまっていた場合だと、さすがに違和感をもたれてしまいます。

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通常は人事担当が確認するだけなので現場管理職まで情報は行きませんが、あまりに違和感がある場合だと話される可能性があります。

休職は知られても休職理由は知られない

会社に源泉徴収票を提出したとしても「休職期間があったこと」が知られるだけで「休職理由」までは知られません。

そのため、仮に休職理由を質問されても、正直に答えなければバレることはありません。(両親の介護で休職をしていた、等)

ただ、理由はどうあれ長期で休職していたこと(かつ面接で隠していた)が転職直後に知られると、今後の信頼関係に響くので、源泉徴収票を提出せずに休職そのものを隠すことをおすすめします

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休職理由を「両親の介護」と伝えたとしても上司は高確率で「うつ病」を疑います。ありふれた言い訳ですからね。

源泉徴収票を提出しなければ休職がバレない

会社に源泉徴収票を提出しなければ休職期間があったことがバレることはなくなります。

そもそも源泉徴収票とは、その年の前職における総所得と納税額が記載されたもので、転職先で年末調整をおこなうための書類なので、年末調整を転職先でしなければ提出する必要がありません

転職後に人事から提出を依頼されても「自分で確定申告をする」と伝えればOKです。

ほとんどないと思いますが、もし確定申告をする理由を聞かれたら「前職在職中の副業、株の売買益がある」とでも言いましょう。(転職先が副業禁止なら、今はしていない旨を伝えれば大丈夫です。)

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また、人事に提出を依頼されても「前職に確認します!」と言い年末まで粘れば、自然と呆れられて「自分で確定申告してくださいね」と言われるので好都合だったりもします。

源泉徴収票を提出しなければ自分で確定申告をする必要がある(翌年2/16~3/15)

年末調整を企業側でおこなわない場合、自身で確定申告をする必要がありますが、前職と転職先の源泉徴収票の情報をもとに、税務署に確定申告書を提出するだけです。

WEB上で確定申告書等作成コーナー(国税庁)で作成して提出するのが一番楽です。初めてでよくわからなければ、税務署で直接職員に質問しながら書類を作成すると良いでしょう。

慣れれば簡単にできますが不安かと思いますので、確定申告に関する手続き等(国税庁)を参考にしてみてくださいね。ちなみに直接税務署で質問した方がわかりやすいです。

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確定申告の期間は翌年の2/16~3/15です。忘れると罰金があるので注意してくださいね。困ったら税務署で聞きましょう!

ここまでの内容をまとめると、以下の通りです。

  • 源泉徴収票を提出すると休職がバレる
    あまり期間が長いと人事が現場に話す可能性あり
  • 休職理由はバレないが怪しまれるので、そもそも提出しないのがおすすめ
    自身で確定申告をすれば提出する理由がなくなる

上記のようにすることで、源泉徴収票経由で休職期間があったことがバレることはなくなります。

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一番注意すべきなのが源泉徴収票なので注意してくださいね。では次の注意点についても見ていきましょう!

事例②住民税の納税額が極端に少ないことからバレる

サラリーマンの「住民税」は、前年の所得金額によって決まり、かつ企業の給与から自動で天引きされるので、毎月の納税額が極端に少ないと、長期間の休職を疑われる可能性があります。

ただ、基本的に経理担当しか触れないので、直属の上司が経理を担当していない限りは知られることがなく、経理担当もあえて報告しません(他人の個人情報ですし報告する意味もないので)

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それに経理担当は「前職の給与」をそもそも知らないので、転職前の申告年収(履歴書)とズレがあっても気づかないことが多いです。

正社員は普通徴収(自分で納税)に変更できない

よくある勘違いですが、企業勤めの正社員は、住民税の納税方法を「普通徴収(給与天引きではなく、自分で納付する方法)」に切り替えることはできません。

なぜなら、給与を支給している会社(事業主)が、従業員個人の住民税を源泉徴収して納付しなければならないことになっているからです。

住民税の納付方法
  1. 特別徴収(会社給与から天引き)
    →正社員はこれ。変更できない。
  2. 普通徴収(自分で納付する)
    →副業や個人事業主はこれ

そのため、休職によって長期間休んでいると、その分住民税が減ってしまうので「転職前と給与と違うな」とバレてしまう可能性があります。

補足|副業や個人事業主なら普通徴収に切り替え可能

上記画像のように、確定申告書には「住民税の徴収方法」に関する項目があるので、「自分で納付」に◯をつけるだけです。

確定申告は、WEB上で確定申告書等作成コーナー(国税庁)から作成&提出するのが一番楽です。初めてでよくわからなければ、税務署で職員に質問しながら書類を作成すると良いでしょう。

事例③再度、同じ病気で傷病手当金を申請してバレる

休職理由が病気だった場合、再度、同じ病気になって傷病手当金を申請するときに、前回の傷病手当金申請から期間が経っていない場合だと、バレることがあります。

というのも、傷病手当金は会社の労務担当が申請することになりますが、同じ病気では傷病手当金の支給期間の条件が定めされているので確認されるからです。

傷病手当金申請書の支給期間の条件
  • 前回の支給開始日から1年6ヶ月以内
  • 前回の支給開始日から1年6ヶ月経過後は、再度1年以上の職場復帰が必要

そのため、再発しないようにするのは当然として、再発してしまったら、バレることを覚悟してから傷病手当金を申請するようにしてください。

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ただそもそも期間によっては、傷病手当金をもらえない可能性すらあるので注意してくださいね!

補足.前職から情報提供がされることはない

前職から転職先企業に情報提供がされることもありません。なぜなら休職理由となりうる病歴は個人情報保護法によって守られているので、伝えることができないからです。

そもそも前職からあえて連絡をする理由がありません。やめていく社員がどこに転職したのかすら知る由がなく、興味すらないことがほとんどでしょう。

ただ、会社によっては選考の中盤に、リファレンスチェック(前職への質問)がある場合もあり、病歴は個人情報保護法に抵触するので言えないものの、休職期間があった事実は伝えられてしまう可能性があるので注意したいところです。

他にも、可能性としてはほとんどありえませんが、「前職の上司が、転職先の上司とたまたま知人だった」といった場合にも、休職期間がある事実がバレてしまう可能性はあります。

最後に

ここまで「休職中に転職活動しようと考えている」といった方向けに、考えうるリスクと対策について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

結論として、転職活動中にバレることはほとんどありませんが、転職後にバレる可能性があるので注意が必要です。

結論① 転職活動中にバレることはない

休職中に転職活動をしてもまずバレません。応募書類に記載する義務もないので、自分から言わない限り大丈夫です。リファレンスチェックだけ避けましょう。

結論② 転職後にバレるので対策が必要

転職先企業への“入社後”に「休職していたこと」はバレやすいので対策が必要です。

1~2ヶ月程度の短期休職ならバレる可能性は低いですが、3ヶ月以上の長期間で休職をしてしまうと、源泉徴収票や住民税からバレる可能性が高いです。

  1. 源泉徴収票を提出してバレる
  2. 住民税の納税額が少なくてバレる
  3. 再度同じ病気で傷病手当金を申請してバレる

基本的には、休職中は情報収集にとどめて、復職後に選考を受け始めることをおすすめします。

この記事を読んだあなたの人生がより豊かなものとなることを祈っております。