うつ病での休職期間があると採用で不利になるので隠したい。ただ「転職後に発覚するとヤバいのでは?」と不安になりますよね。
結論として、3ヶ月以上の長期間で休職をしてしまうと、源泉徴収票や住民税通知からわかる年収が少ないことによってバレる可能性があります。
うつ病休職が転職先にバレる全リスクと対策
まず「うつ病での休職」が転職先に知られてしまうのは、以下のようなケースしかありません。
- 源泉徴収票を提出してバレる
- 住民税の納税額が極端に少ないことバレる
- 再度適応障害になり傷病手当金を申請してバレる
上記のような理由からバレてしまう可能性があるので注意するようにしましょう。
①以外であれば、職場にある程度馴染んだあとにバレることになるので、誠意を持って謝罪すればなんとかなるケースが多いですが、①の場合は注意が必要です。
なぜなら、①は入社直後に発覚することになるので、上司や同僚をはじめとした周囲との信頼関係が構築される前であり、解雇の可能性すらあるからです(リスクは後述)
注意①転職後に提出する源泉徴収票で休職がバレる
転職をすると人事担当から前職の源泉徴収票を求められますが、支給額が少ないことで、給料が支給されていない期間(=休職期間)があったことがバレるので注意しましょう。
源泉徴収票の提出で転職先にバレる情報
源泉徴収票には以下の情報が記載されています。
- 今年もらった給与総額
- 今年払った所得税
- 前職の勤務先
今年の給与総額が記載されているので、転職前に申告していた年収額と相違があることで、「給与をもらっていない期間があったのでは?」と疑われる可能性があります。
有給休暇を抜いて1ヶ月分程度の無給期間であれば気にされることはありませんが、2~3ヶ月と長期で休職をしてしまっていた場合だと、さすがに違和感をもたれてしまいます。
休職は知られても休職理由は知られない
会社に源泉徴収票を提出したとしても「休職期間があったこと」が知られるだけで「休職理由(うつ病だったこと)」までは知られません。
そのため、仮に休職理由を質問されても、正直に答えなければバレることはありません。(両親の介護で休職をしていた、等)
ただ、理由はどうあれ長期で休職していたこと(かつ面接で隠していた)が転職直後に知られると、今後の信頼関係に響くので、源泉徴収票を提出せずに休職そのものを隠すことをおすすめします。
源泉徴収票を提出しなければ休職がバレない
会社に源泉徴収票を提出しなければ休職期間があったことがバレることはなくなります。
そもそも源泉徴収票とは、その年の前職における総所得と納税額が記載されたもので、転職先で年末調整をおこなうための書類なので、年末調整を転職先でしなければ提出する必要がありません。
転職後に人事から提出を依頼されても「自分で確定申告をする」と伝えればOKです。
ほとんどないと思いますが、もし確定申告をする理由を聞かれたら「前職在職中の副業、株の売買益がある」とでも言いましょう。(転職先が副業禁止なら、今はしていない旨を伝えれば大丈夫です。)
源泉徴収票を提出しなければ自分で確定申告をする必要がある(翌年2/16~3/15)
年末調整を企業側でおこなわない場合、自身で確定申告をする必要がありますが、前職と転職先の源泉徴収票の情報をもとに、税務署に確定申告書を提出するだけです。
WEB上で確定申告書等作成コーナー(国税庁)で作成して提出するのが一番楽です。初めてでよくわからなければ、税務署で直接職員に質問しながら書類を作成すると良いでしょう。
慣れれば簡単にできますが不安かと思いますので、確定申告に関する手続き等(国税庁)を参考にしてみてくださいね。ちなみに直接税務署で質問した方がわかりやすいです。
ここまでの内容をまとめると、以下の通りです。
- 源泉徴収票を提出すると休職がバレる
あまり期間が長いと人事が現場に話す可能性あり - 休職理由はバレないが怪しまれるので、そもそも提出しないのがおすすめ
自身で確定申告をすれば提出する理由がなくなる
上記のようにすることで、源泉徴収票経由で「うつ病での休職」がバレることはなくなります。
注意②住民税の納税額が極端に少ないと怪しまれる
サラリーマンの「住民税」は、前年の所得金額によって決まり、かつ企業の給与から自動で天引きされるので、毎月の納税額が極端に少ないと、長期間の休職を疑われる可能性があります。
ただ、基本的に経理担当しか触れないので、直属の上司が経理を担当していない限りは知られることがなく、経理担当もあえて報告しません(他人の個人情報ですし報告する意味もないので)。
従業員は普通徴収(自分で納税)に変更できない
よくある勘違いですが、企業勤めの従業員(正社員、アルバイト)は、住民税の納税方法を「普通徴収(給与天引きではなく、自分で納付する方法)」に切り替えることはできません。
なぜなら、給与を支給している会社(事業主)が、従業員個人の住民税を源泉徴収して納付しなければならないことになっているからです。
- 特別徴収(会社給与から天引き)
→正社員はこれ。変更できない。 - 普通徴収(自分で納付する)
→副業や個人事業主はこれ
そのため、休職によって長期間休んでいると、その分住民税が減ってしまうので「転職前と給与と違うな」とバレてしまう可能性があります。
補足|副業や個人事業主なら普通徴収に切り替え可能
上記画像のように、確定申告書には「住民税の徴収方法」に関する項目があるので、「自分で納付」に◯をつけるだけです。
確定申告は、WEB上で確定申告書等作成コーナー(国税庁)から作成&提出するのが一番楽です。初めてでよくわからなければ、税務署で職員に質問しながら書類を作成すると良いでしょう。
注意③再度うつ病になり、会社の労務担当が傷病手当金を申請するときにバレる可能性がある
再度うつ病になって傷病手当金を申請するときに、前回のうつ病で傷病手当金を申請してから期間が経っていない場合だと、バレることがあります。
というのも、傷病手当金は会社の労務担当が申請することになりますが、同じ病気では傷病手当金の支給期間の条件が定めされているので確認されるからです。
- 前回の支給開始日から1年6ヶ月以内
- 前回の支給開始日から1年6ヶ月経過後は、再度1年以上の職場復帰が必要
そのため、再度うつ病を再発しないようにするのは当然として、再発してしまったら、バレることを覚悟してから傷病手当金を申請するようにしてください。
ほとんどの場合で休職がバレることはない
源泉徴収票や住民税で休職期間がバレる可能性については説明してきましたが、それ以外の理由でバレることはありません。気になる項目について一つずつ解説していきます。
- Case1.健康保険の加入でバレることはない
- Case2.健康診断書の提出でバレることはない
- Case3.前職から情報提供がされることもない
Case1.健康保険の加入でバレることはない
転職先で健康保険に加入したとしても、うつ病をはじめとした過去の診断結果や、休職期間があることがバレることはありえません。
過去の診察履歴は保険証番号によって管理されているので、転職先企業で加入することによって「過去の履歴がみられるのでは?」と思われがちですが、診療情報は法律(健康保険法、国民健康保険法など)で厳しく守られており、会社側が確認することはできないようになっています。
それは健康保険証の番号を知っていたとしても変わりません。診察履歴を調べることができないので、どのような診察や治療を受けたのかは知られません。
また、個人情報の観点から、健康保険組合から会社側にあなたの情報(通院履歴や医療費明細など)が通知されることも一切ありません。
Case2.健康診断書の提出でバレることはない
年に一回ある定期健康診断の結果を提出したとしても、うつ病であることが会社側にバレることはありません。
「定期健康診断」で行う検査はどれも簡単なもので、身体測定、血圧測定、血液一般検査、尿検査、検便、胸部X線検査などがありますが、うつ病をはじめとした精神疾患は測定できないのです。
もちろん、うつ病のなかでも「狭心症」のような具体的な症状を伴う適応障害であれば、心機能の検査で引っかかるかもしれませんが、うつ病であることはバレません。
Case3.前職から情報提供がされることもない
前職から転職先企業に情報提供がされることもありません。なぜならうつ病をはじめとした病歴は個人情報保護法によって守られているので、伝えることができないからです。
そもそも前職からあえて連絡をする理由がありません。やめていく社員がどこに転職したのかすら知る由がなく、興味すらないことがほとんどでしょう。
ただ、会社によっては選考の中盤に、リファレンスチェック(前職への質問)がある場合もあり、病歴(うつ病)は個人情報保護法に抵触するので言えないものの、休職期間があった事実は伝えられてしまう可能性があるので注意したいところです。
では次章では、うつ病での休職があった事実が転職先にバレてしまったケースについて紹介していきます。
うつ病での休職が転職先にバレたらどうなる?
うつ病で休職していた事実が転職先にバレてしまった場合、以下の2パターンに該当する場合だと「内定取り消し・解雇」となる可能性があります。
- 休職中の転職活動だった場合
- 採用面接で虚偽の申告をしていた場合
Case1.休職中の転職活動だった場合
前職の休職中に転職活動をしていたことが発覚すると、企業によっては内定取り消しや解雇となる可能性があります。
もちろん発覚時点で完治しており、問題なく就業できている(かつ社内評価が高い)ようなケースでは気にされないことが多いですが、そうでない場合には注意が必要です。
もともと労働者は、一方的に解雇されることがないように法律(労働基準法や労働契約法、等)で守られていますが、「健康が著しく悪化している状態」を秘匿して労働契約を交わした場合、企業側の義務である「労働者の安全への配慮」を果たせないことを立て付けに、解雇される(自己都合退職を促される)可能性があります。
実際のところ、内定通知書の「内定取り消しの要項」として、健康状態の著しい悪化やそれに準ずる可能性を記載している企業は多く、業務成績が優れない場合は高い確率で離職を求められます。
そもそも休職は「現在の勤務先に復職すること」を前提として設けられている制度なので、休職中の転職活動は不誠実であり、評価が少なからず下がります。
Case2.採用面接で虚偽の申告をしていた場合
採用面接で質問をされたときに虚偽の申告をしてしまうと、バレた場合、内定取り消し・解雇となるケースがあります。以下のような問答です。
- 過去休職していたことはありますか?
→いいえ、ありません(虚偽) - 過去メンタル不調で休職した経験はありますか?
→いいえ、ありません(虚偽)
実際、ほとんどの企業の就業規則では「入社時に虚偽申告をしていた場合、懲戒処分(解雇)の対象になる」といった旨が記載されています。
あなたの業績パフォーマンスが優れている場合であれば、懲戒処分にはせずに雇用し続けるべきである、と判断される可能性もありますが、経験上そうならないことの方が多いです。
うつ病の休職履歴がある場合の転職活動の進め方
ここでは、過去にうつ病での休職期間がある場合の転職活動について、気になる状況別にご説明していきます。
- 休職期間を応募書類/履歴書等に書くべきか
- 休職期間を応募企業に話すべきか
- 休職期間を転職エージェントに話すべきか
- 転職時の面接でどう受け答えすれば良いのか
①休職期間を応募書類/履歴書等に書くべきか
書くべきではありません。
そもそも記載する義務はないので書いていなくとも問題はありません。なにより、書いてしまうと転職で不利になってしまう(ほぼ採用されません)ので、書かないことをおすすめします。
②休職期間を応募企業に話すべきか
話すべきではありません。
なぜなら、休職期間があることを伝えると確実に理由を聞かれることとなりますが、仮にここでうつ病であることを正直に伝えたとしても、反対にうつ病をを隠して嘘をついたとしても、いずれにせよデメリットがしかありません。
- 正直に伝える
→ほぼ採用されなくなってしまいます - 隠して嘘をつく
→バレたら解雇のリスクがあり危険です
いずれにせよデメリットしかなく、そもそも休職期間は伝える義務がないので、あえて自分から触れないようにすることをおすすめします。
③休職期間を転職エージェントに話すべきか
転職エージェントにも話さないことをおすすめします。なぜなら、話したら確実に休職理由を聞かれてしまい、その内容を応募先企業に伝える可能性が高いからです。
仮にここで、うつ病であったことを正直に伝えたとしても、反対にうつ病であったことを隠すために嘘をついたとしても、いずれにせよデメリットしかありません。
- うつ病を正直に話した場合
ほぼ採用されないので求人紹介されなくなる - うつ病を隠して嘘ついた場合
その内容が転職先に伝わってしまうので、
バレたら解雇されるリスクを抱えることになる
特に、後者(うつ病を隠して嘘をつく)で転職したものの、後にバレてしまった場合「採用時に虚偽の申告をした」こととなり、最悪のケースだと内定取り消し・解雇となるので注意してください。
④転職時の面接でどう受け答えすれば良いのか
嘘をつかないように別の回答を用意することで、うまく回避しましょう。具体例をもとに解説していきます。
質問:メンタル起因で休みを取ったことはありますか?
上記のように返せば、嘘をつかずに「うつ病で休職したこと」を隠すことができるので、転職後にバレても虚偽申告による解雇事由に当てはまることはなくなります。
【別れのエピソード】は、失恋、あるいはペットや親族との今生の別れ、などご自身の境遇に当てはめて使いやすいものを使ってください。プライベートな話なので、あなたが話さない限り、嘘がバレることはありません。
また、続けて「他にありますか?」と聞かれるようなことはありません。むしろ聞かれた場合は、相当デリカシーのない面接官なので選考辞退をおすすめします。
質問:メンタル起因で長期休暇/休職したことはありますか?
上記のように「あります」と明確に回答したうえで、うつ病以外のエピソードを話せばバレずに回避できます。
長期の定義は人によりますが、3日(土日含めて5日)で問題ないでしょう。実際、GWや年末年始を「長期休暇」と呼ぶことがあるのでそう違和感はありません。
なお、「3日間のお休み」は、正確には休暇(忌引休暇や有給休暇)という扱いですが、面接官もそこまでは気にしないでしょう。
このように、嘘をつかないように別の回答を用意することで回避できます。そもそも休職の有無を聞かれるケースはほぼありませんが、聞かれてもいいように事前に対策しておきましょう。
転職時に使いたい転職エージェント
ここでは適応障害になった方向けの転職エージェントを紹介していきます。再発防止に向けて「一人ひとりに寄り添って、親身な相談をしてくれるかどうか」を重視して選ぶことにしましょう。
- 総求人件数
- 利用者の満足度評価
順位 | 転職エージェント名 | おすすめ度 | 掲載求人数 | コメント | 個別解説 |
1位 |
リクルートエージェント | ★★★★★ 5/5 |
約38万件 全国 |
短期間で転職をしたいなら登録必須 取引企業数が多く、新着求人がほぼ毎日届く |
|
2位 |
dodaエージェント | ★★★★☆ 4/5 |
約28万件 全国対応 |
地方や職種などバランスの良い求人がある スカウトの届く求人サイトとしての運用が可能 |
|
3位 |
マイナビエージェント | ★★★☆☆ 3/5 |
約7万件 都心部のみ |
新卒ナビサイト最大手の企業提携数が魅力 若手で幅広い業界を見たいならおすすめ |
転職エージェントは最初から一つに絞る必要はありません。良い求人を見逃しにくくなるように、いくつか登録しておきましょう。
最後に
ここまでうつ病での休職期間が転職先にバレるのか、という観点で網羅的に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
まず「休職していたこと」が転職先に知られてしまうのは、以下のようなケースしかありません。
- 源泉徴収票を提出してバレる
- 住民税の納税額が極端に少ないことバレる
- 再度適応障害になり傷病手当金を申請してバレる
- 罪悪感から自ら告白する
特に①でバレてしまうと、入社直後(上司や同僚をはじめとした周囲との信頼関係が構築される前)にバレることになるので、一番リスクが大きいです。
①以外であれば、仮にバレたとしても誠意を見せて謝罪すれば、解雇や内定取り消しとなる可能性は低いです。(相当勤務態度が悪い場合は除きますが)
転職直後に源泉徴収票を提出したり、住民税の納税額通知の金額が少ないと怪しまれることはある
再度、うつ病になって傷病手当金を申請するとバレる