まず大枠の流れから伝えると、仕事を選ぶときは、視野を広げて「どのような仕事があるのか」を知り、徹底的に比較しながら選択肢を絞っていきましょう。
- Step1. 視野を広げて情報収集する
- Step2. 自分が大切にしている軸を知る
- Step3. 仕事を比較して選択肢を絞り込む
この記事は、元キャリアアドバイザーで、いまは上場企業の管理職として新卒・中途採用を担当している筆者が「仕事選びのイロハ」を丁寧に解説したものです。
仕事の選び方
仕事を選ぶときは、視野を広げて「どのような仕事があるのか」を知り、徹底的に比較しながら、選択肢を狭めていくことが重要です。
- Step1. 視野を広げて情報収集する
- 最低限譲れない条件で求人サイトを見る
- 興味のある分野でさらに情報を収集する
- Step2. 自分が大切にしている軸を知る
- 自身の理想を考える
- 統計的に重要な項目で考える
- 自己分析ツールを使ってみる
- キャリアカウンセリングを受ける
- Step3. 仕事を比較して選択肢を絞り込む
- 事前に調査できることは調査する
- 事前調査してわからないことは直接聞く
- 余裕があれば実際に職業体験する
一つずつ説明していきます。
仕事の選び方#1
視野を広げて情報収集する
まずは、視野を広げて情報収集をおこない「業界」や「職種」といった選択肢を広げましょう。
人間は「自分が見えているものが、世界の全てである」と無意識に視野が狭まってしまう傾向があるので、視野を広げるステップは欠かせません。
実際、仕事選びはあなたの人生を決める重要な意思決定となります。いま知っている限られた業界や職種しか選択肢に入れないのは、とても勿体無いことです。
仕事の選び方#1-1
最低限譲れない条件で求人サイトを見よう
地域や年収、雇用形態など、最低限譲れない条件だけをまずは入力して、求人サイトからさまざまな職種の求人を見てみましょう。
下記は、求人サイト「リクナビNEXT」の求人検索画面ですが、登録せずとも、職種別に大量の求人を見ることができるので、調査におすすめです。
上記から分かるように「営業職」といっても種類が多いので、どういった営業職が自分に合っているかを見極めるためにも、まずはざっと見てみてみましょう。
仕事の選び方#1-2
興味を持った職種や業界があれば、さらに情報を収集しよう
求人情報をみたうえで、興味を持った業界や職種・企業があれば、さらに情報を収集していきましょう。具体的には以下のように調査することをおすすめします。
ここまでの調査で、興味を持った業界や職種があれば、以下のような表にどんどん追加していきましょう。企業だけでなく、業界や職種ごとメモして構いません。
仕事の選び方#2
自分が大切にしている軸を知る
次に、自分が仕事を選ぶ上で、大切にしたい軸を明確にしましょう。いわゆる自己分析です。
- 自身の理想を考えてみよう
- アンケート結果を参考にしてみよう
- 統計的に重要な項目で考えてみよう
- 自己分析ツールを使ってみよう
- キャリアカウンセリングを受けてみよう
上記5つの切り口から考えていきましょう。順番に解説しますね。
仕事の選び方#2-1
まずは自身の理想から考えてみましょう!
まずは、自分自身の将来の姿や、理想的なライフスタイルを想像してみてください。どのような仕事に情熱を持てるか、または興味がないかを判断するヒントを得ることができます。
- 情熱や興味を持てるものは何か
- 夢中に取り組めた経験
- 努力が苦にならなかった経験
- 解決したい社会課題は何か
- 誰のどのような悩みを解決したいか
- 自分ゴトとして捉えられる課題
- 自分は何に適している/いないのか
- 自分の才能、スキル、人間性
- 努力を努力と感じない領域
- 自分は何を大切にしていきたいか
- ライフプラン(1、3、10年後)
- 給与、ワークライフバランス
そして「なぜそう思うのか」「本当にそうか」「他にはないか」と、自問自答していきましょう。
- Why?(なぜ?)
- Really?(本当に?)
- Anything else?(他には?)
仕事の選び方#2-2
アンケート結果を参考にしてみよう!
「仕事の選び方」に関するアンケートをいくつか見てみましょう。エンジャパン及びASMARQが実施した結果だと、割合にズレはあれど同じような結果となっています。
- 1位. 仕事内容(51%)
- 2位. 勤務地(33%)
- 3位. 給与(25%)
- 1位. 業務内容(40.7%)
- 2位. 交通の便の良さ(39.7%)
- 3位. お給料の良さ(34.9%)
まとめると、「立地(交通時間)や給料」で譲れない条件をつけつつ「仕事内容」がどれくらい魅力的かを比較している人が多いことがわかりますね。
仕事の選び方#2-3
統計的に重要な項目で考えてみよう
次に、下記の10基準を参考に考えてみてください。統計的に「仕事の満足度を大きく左右する」とされる比較軸なので、適職のヒントになるはずです。
- 労働:勤務時間、業務負荷
- 報酬:十分な報酬対価があるか
- 仲間:上司や同僚、社風の魅力
- 理念:組織のビジョンへの共感
- 活躍:組織内で十分に活躍できるか
- 明確:給与や評価、仕事内容の明瞭さ
- 前進:目標達成、成長実感があるか
- 刺激:多様性や変化に富んでいるか
- 裁量:労働時間や進め方の決定権
- 貢献:社会や人の役に立つ感覚
①〜⑥は不足すると「不満」となる要素で、⑦〜⑩は「やりがい」になる要素です。これら10基準の詳細は、次章以降で詳しく解説します。
たくさんあって混乱しますよね。ただ、どれも「仕事の満足度」に大きな影響を与えることが統計的に示されている比較軸です。
仕事の選び方#2-4
自己分析ツールを使ってみよう
ミイダスは入力情報をもとに市場価値を教えてくれる転職アプリですが、登録後に受けることができる「コンピテンシー診断」が仕事選びにとても便利です。
下記のように「仕事での性格特性」「向いている職種」「ストレス要因」などがわかるので、仕事を選ぶ上でのヒントになります。※就活生も使えます。
※ミイダスのコンピテンシー診断
仕事の選び方#2-5
キャリアカウンセリングを受けてみよう
また、就活/転職エージェントを利用して、キャリアカウンセリングを受けるというのもおすすめです。一人だと行き詰まってしまいますからね。
- キャリアカウンセリング
- 自己分析の深掘り
- キャリアプランの検討
- キャリア事例の紹介
- あなたに合う求人の紹介
- 採用企業への推薦
- 内部情報を教えてくれる
- 選考対策
- 書類添削や面接練習
- 面接の傾向と質問を知れる
エージェントは「仕事探しのプロ」なので、自分に合う仕事を探しているのであれば、まず一度利用してみるのもおすすめです。無料なので。
- 就活なら
キャリアチケット|4人に1人が利用
キャリアパーク|1人5回の親身な面談 - 転職なら
リクルートエージェント|求人数No.1
パソナキャリア|やや高年収向け
仕事の選び方#2
ここまでのまとめ
ここまで解説してきた「仕事選びの軸を知るための4ポイント」を再掲しますね。
- 自身の理想を考えてみよう
- アンケート結果を参考にしてみよう
- 統計的に重要な項目で考えてみよう
- 自己分析ツールを使ってみよう
- キャリアカウンセリングを受けてみよう
上記5つの観点から「仕事選びの軸」が定まってきたら、それぞれの比較軸に「重み・優先順位」をつけてください。例えば下記の通りです。
なお、この「重み」に入れる数値は、極端に離れた数字(1と100など)にしないように注意してください。どんなに離れていても2~3倍程度にしましょう。
仕事の選び方#3
仕事を比較して選択肢を絞り込む
自分が仕事選びで大事にしたい軸を決めたら、最後に比較して選択肢を絞り込んでいきましょう。最終的には下記のような「数字での比較」ができるとベストです。
ただ、すべてを一度に判断するのは難しいので、面接官や転職エージェントに聞くなかで少しずつ点数をつけていきましょう。逆質問やカジュアル面談はこのためにあるのです。
- 事前に調査できることは調査しよう
- 事前調査でわからないことは直接聞こう
- 余裕があれば実際に職業体験しよう
それぞれ具体的に解説していきます。
仕事を絞り込むまでの流れ#3-1
事前に調査できることは調査しよう
下記3項目は面接の質問では聞くことができないものなので、求人票や口コミサイト、あるいはOB訪問を駆使して1次情報を集めるようにしてください。
- 労働:勤務時間、業務負荷は多すぎないか
→口コミサイトやOB訪問で確認 - 報酬:給与や福利厚生等の待遇
→口コミや転職エージェント経由で確認 - 仲間:会社の雰囲気は自分に合うか
→口コミや説明会、OB訪問等で確認
口コミ調査ならOpenWorkがおすすめ
口コミを調査するならOpenWorkがおすすめです。「働きがい」「給与」「ワークライフバランス」といった軸で、社員の口コミが多く掲載されています。
【公式】https://www.vorkers.com/
仕事を絞り込むまでの流れ#3-2
事前調査でわからないことは直接聞こう
実際に働いている人でないとわからないことは、面接の逆質問、あるいはカジュアル面談の場で聞きましょう。具体的な質問内容も紹介します。
自発的に取りに行くべき一次情報
- ④理念:ビジョン、社風への共感ができそうか
Q. 理念の浸透度合いを教えてください
Q. どういった志を持った人が働いているのか
Q. 組織の1,3,10年後のビジョンを教えてください
Q. 御社らしい制度や文化があれば教えてください
Q. 御社ではどういった褒め言葉がよく使われますか? - ⑤活躍:自分が価値貢献、強みを活かせそうか
Q. どういった強みを持つ社員が多いか
Q. 組織内で足りていない人材・スキルは何か
Q. 自分の強みである◯◯は活かすことができるか - ⑥明確:給与や評価、仕事内容は明瞭か
Q. 会社や組織のビジョンは何か
Q. ビジョン実現に向けた行動や仕組みはあるか
Q. 組織はどのような目標で動いているのか
Q. 個人目標の設定内容と、役割ごとの責任範囲
Q. 給与体系と評価制度
Q. 個人の貢献と失敗を可視化して判断する仕組み - ⑦前進:目標達成・成長実感を得られるか
Q. 目標の粒度と明確性
Q. どの行動が進捗に結びついたかが即座にわかるようになっているか
Q. 十分な時間とリソース提供、適切なサポートがあるか(初動3ヶ月のサポート) - ⑧刺激:仕事は多様性や変化に富んでいるか
Q. 任せられる仕事内容の幅と変化の事例
Q. 短期及び中長期で得られる経験は何か
Q. 具体的なキャリアモデル
Q. リスクを負った挑戦や失敗が許容された事例 - ⑨裁量:仕事の決定権が自分にあるか
Q. 組織や個人の目標はどのように決まるのか
Q. 労働時間、場所はどこまで好きに選べるのか
Q. 仕事内容や作業ペースはどこまで委ねられるのか - ⑩貢献:社会や人の役に立つ感覚はあるか
Q. 仕事のやりがいを全て教えてください
Q. その仕事はどう社会に貢献していますか
Q. 貢献の実感はどう得ることができますか
仕事を絞り込むまでの流れ#3-3
余裕があれば実際に職業体験しよう
選択肢がある程度絞り込まれたら、実際に仕事や企業について知るために、職業体験(インターンシップ)で経験することができたらベストです。お互いに、就職後の適性や相性を見極めることができるので、より就職後のミスマッチを減らすことができます。
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ここまでのまとめ
ここまで説明してきたように、仕事を選ぶときは、視野を広げて「どのような仕事があるのか」を知り、徹底的に比較してから、選択肢を絞っていきましょう。
- Step1. 視野を広げて情報収集する
- 最低限譲れない条件で求人サイトを見る
- 興味のある分野でさらに情報を収集する
- Step2. 自分が大切にしている軸を知る
- 自身の理想を考える
- 統計的に重要な項目で考える
- 自己分析ツールを使ってみる
- キャリアカウンセリングを受ける
- Step3. 仕事を比較して選択肢を絞り込む
- 事前に調査できることは調査する
- 調査してもわからないことは直接聞く
- 余裕があれば実際に職業体験する
公式サイトで調べたり、逆質問を通して比較表を作りながら転職活動をおこない、自身にとって最良の選択肢が、数字で客観的にわかる状態を目指しましょう。
ここからは仕事を比較するための10基準について詳しく解説しますね。それぞれの項目で選ぶことが「重要な理由」を科学的に解説していきます。
仕事の選ぶための10基準
あなたにとって最高の仕事を選ぶために必要な要素を整理すると、以下の10基準になります。
項目がたくさんあって混乱してしまうかもしれませんが、どれも「あなたが仕事で幸せになる」ために重要なことが統計的に示されている項目です。
特に、それぞれの項目の優先度は人によって異なるので「今の自分にとってどれくらい重要だろうか」と考えながら読むようにしてくださいね。
仕事の選ぶための基準#1
労働(勤務時間、業務負荷)
仕事では、報酬を得るために労働時間を提供するものですが、長時間労働や夜勤によって、ワークライフバランスが崩壊することで人生が不幸になるので注意してください。
実際に、長時間労働のストレスや、夜勤による生活リズムのズレによって自律神経が乱れると、頭痛、息切れ動悸、不眠にめまいといった症状を引き起こす可能性があり、場合によっては心筋梗塞やうつ病まで発展する危険性もあります。
論文|労働は週55時間以上から赤信号
厚生労働省では週80時間以上の労働(週5勤務だと1日あたり16時間以上)を『過労死ライン』として定めています。
ただ、過労死以前に、週55時間以上(週5勤務だと1日あたり11時間以上)から心臓病や脳卒中のリスクが上がるといった研究結果が出ているので注意が必要です。(出典:(2015)Long working hours and risk of coronary heart disease and stroke: a systematic review and meta-analysis of published and unpublished data for 603,838 individuals)
これらは本人の自覚がなくとも、確実に体の健康を蝕んでいくので、少なくとも残業が1日あたり3時間を超えることがないような職場を選択してください。
平均残業時間は嘘が多いので注意
企業のホームページや求人票に書いてある”平均残業時間”は嘘であることがほとんどです。なぜなら正直に書いてしまうと誰も応募してくれないからです。
これは実体験ですが、どんなに自分がハードワークをしていたとしても、定時でタイムカードを切っているので「残業時間なし」と求人票には記載します。
そのため、面接でシンプルに「残業時間はどれくらいですか?」と聞いても、事実を答えてくれるわけがありません。口コミサイトでチェックしましょう。
仕事の選ぶための基準#2
報酬(必要十分な金銭対価)
現実として仕事は「お金を稼ぐため」にするものなので、夢や綺麗ごとを語る前にまずは「どれくらいのお金が最低限必要か」を考えるようにしてください。
そして同時に、多ければ多いほど良いわけではないので「いくらあれば十分か」も考える必要があります。
なぜなら、お金がないと人は不幸になりますが、お金が人を幸せにすることはないからです。
論文|年収が幸福度に与える限界
年収は、あればあるほどいいわけではないことは、大阪大学社会経済研究所の調査でも「年収が幸福度に与える限界」として示されています。
年収500万円までは収入が増えるほど幸福度は上がり、そこから900万円までは横ばい。年収1500万円以上は、金額が上がるにつれて幸福度は少しずつ下がっていく
論文|仕事の満足度と給与はそもそも無関係
給与は日常の幸福度には多少の影響を与えるものの、そもそも仕事の満足度には一切の影響を与えないということが多くの研究で示されています。
実際に「給与と仕事の満足度」に関する先行研究86件をもとに、フロリダ大学が行ったメタ分析でも、統計的にはほぼ関係がない(相関係数0.15)という分析結果が出ています。(出典:Timothy A.JudgeaRonald F.PiccolobNathan P.PodsakoffcJohn C.ShawdBruce L.Riche(2010)The relationship between pay and job satisfaction: A meta-analysis of the literature)
メタ分析とは、複数の研究結果を統合することで、根拠として最も質が高いとされる分析手法です。
このように給与は、あなたの幸せに大きく貢献はしませんが、数字で示されていてわかりやすいことからも「本来の価値以上に重要だと思われやすい」性質があります。
たくさんのお金を稼ぐためには相応の努力をする必要がありますが、必要のないお金を稼ぐために一生懸命働くこと以上に虚しいことはありません。
- 平均以上の給与が欲しい
- キリ良く1,000万円稼ぎたい
と安直に考えるのではなく、お金に囚われない仕事選びをするためにも、これからの生活に必要かつストレスを感じない金額を出してみてください。
- 出費に無駄はないか
- いまどれくらい使っているのか
- 将来どれくらいの出費がある想定か
もちろんある程度の給与は必要ですが、他にもっと大事なものはたくさんあるので盲信しないように注意してくださいね。
仕事の選ぶための基準#3
仲間(上司や同僚、社風の魅力)
人間は自分に似た相手を好きになる特性(類似性効果)があるので、上司や同僚を含め、自分と近い存在がいるかが非常に重要です。
仮に仕事が好きだったとしても、職場の仲間に魅力を感じていなければ、「自分は彼らとは分かり合えない」と孤独感を感じることとなり、虚しさ故に長くは続きません。
就活でよく聞いたフレーズ「入社の決め手は人です!」というのはあながち間違いでもなかったということが、以下の研究でも示されています。
論文|職場の友人は人生の満足度を上げる
500万人を対象に行われたアメリカの調査(出典:Tom Rath(2006) Vital Friends: The People You Can’t Afford to Live Without)では「職場の人間関係」に関して、以下の傾向が導き出されました。
①職場に親しい友人がいる場合、仕事のモチベーションが7倍になる
②職場に3人以上の友人がいる場合、人生の満足度が96%上がり、給料への満足度が2倍になる
このように、職場に親しい友人がいるだけで仕事の満足度は大きくプラスに変わるので、事前に「どういった人が働いてるのか」を確認すると良いでしょう。
具体的には、社員紹介を人事に依頼するのはもちろん、「キャリーナ」や「マッチャー」といったOB訪問ツールを使うことをお勧めします。(マッチャーは新卒向けですが「社会人ですが相談したいです!」と言えば、ほとんどの方は応じてくれます。)
若手は直属の上司との相性が重要!
スキル的に自立していない若手の場合、直属の上司となるマネージャーとの相性が非常に重要です。上司に好かれると失敗しても許してもらえますし、期待されてどんどん育ててもらえます。
人は、他者から期待されることで大きく成長する(心理学では「ピグマリオン効果」と言います)ので、より自分に期待してくれる上司を選びましょう。
選考の中では必ず”面接官”として登場するので、事前に「自分が入社したら誰が上司になるのか」を聞いたうえで、見極めるようにしてくださいね!
でも特定人物を決め手にした入社は避けて
気の合う同僚がいることは重要ですが、たった数人(例えば人事やマネージャー)に惹かれたこと”だけ”を理由に入社を決めてしまうのはおすすめしません。
というのも、そのメンバーが退職したら入社理由がなくなりますし、そもそも仕事のやりがいは一緒に働く仲間だけでは決まらないからです。
あくまで一つの要素でしかないので「この人達とであればストレスなく働けそうだな」くらいの感覚で見極めることをおすすめします。
仕事の選ぶための基準#4
理念(ビジョンへの共感度)
会社やチームが目指す理念やビジョン、そして社風やカルチャーといった企業体質は「自らが所属したい組織であるか」という観点で重要です。
もともと法人企業は、利益の創出を目的として作られた営利団体ですが、お金儲けだけを考えているようでは続きません。経営理念には「会社が何のために存在し、どこを目指しているのか」という”意志”が込められているので、働く上での大きなモチベーションになります。
それこそ、仲間と目指すべき方向性が同じであることに安心感を感じるもので、仮に困難に陥ったとしても理念はブレずにあり続けるので、常に前を見ることができます。一方で、会社で働くメンバーと理念を同じくできないようでは、同じ方向を向いて仕事をすることが難しくなり、孤独感ゆえに長くは続かないでしょう。
調査|企業理念に共感しているほど、仕事への満足度が高い
ビジネスパーソン410名を対象におこなわれた調査結果でも「企業理念への共感度が高い方の95%以上は、現在の業務内容に満足している」とされています。
さらに、企業理念に対しての共感度が高いビジネスパーソンほど、所属する会社の将来に期待していることもわかっており、自分の所属する組織として誇りを持てるようになるものです。
経営理念の浸透度合いは”行動”で確認しよう!
マネジメントにおける経営理念の重要性から、口だけで耳障りの良い理念を掲げる企業が多くあります。そのため、嘘偽りのない”行動”として組織に浸透されているか否かを確認しましょう。
実際、理念の浸透度合いは、以下の3段階に分けて考えることができますが、初期段階の「理解」や「共感」では、浸透しているとまでは言えません。
- 理解:認知的理解
ただ頭で理解しているだけ - 共感:情緒的共感
心で感じている - 行動:行動的関与
行動で示せている
企業が掲げている理念は、広報目的の空虚なものではなく「本質的な文化として組織に根付いているか」を確認するため、以下のような質問で見極めましょう。
- 理念の浸透度合いを教えてください
- どういった志を持った人が働いているのか
- 組織の1,3,10年後のビジョンを教えてください
- 御社らしい制度や文化があれば教えてください
- 御社ではどういった褒め言葉がよく使われますか?
仕事の選ぶための基準#5
活躍(自分だけの強みを発揮できるか)
仕事を通して、自分が価値を発揮することができるか(活躍することはできるか)というのも、仕事を選ぶ上で重要なポイントになります。
なぜなら、人間である限り、誰もが「他者から認められたい」「自分の存在価値を認めてもらいたい」という承認欲求を抱えて生きているからです。
実際、誰もが「組織で足手まといだと思われたくない」と思いながら、一人前として恥じない活躍するために努力を重ねた経験があるのではないでしょうか。
論文|自分だけが持つ強みが、仕事の満足度を上がる
ポジティブ心理学の提唱者であるマーティン・セリグマンが7,348人を対象に行った実験でも「組織内で自分と同じ強みを持つ同僚が少ない場合、仕事の満足度が上がる」という結果が出ています。(出展:(2009) Strengths of character and work.)
言い換えると「自分だけが持っている強み」があると仕事の満足度が上がるということです。
例えば「分析力」を強みとしていた場合、自分以外に「分析力」のある同僚が少なければ、満足度はあがります。それこそ「分析と言えば◯◯さんだよね」と頼られる機会も増え、活躍している実感も湧きやすいでしょう。
反対に、自分以外にも同じ強みを持っている同僚が多いと、活躍している実感は得られず、満足度は上がりにくいものです。「自分がいなくても変わらない」と思うことさえあるでしょう。
自分が活躍できそうかを事前に調査しよう
自分が入社した場合に「どういった活躍ができそうか」を事前に調査しておくようにしてください。場合によっては面接官に聞くのもおすすめです。
- どういった強みを持つ社員が多いか
- 組織内で足りていない人材・スキルは何か
- 自分の強みである◯◯は活かすことができるか
ただ、あくまで企業側にとって足りない人材であることをPRすることが重要で、自分の強みを活かせるか否かを聞きすぎると、自信がないように捉えられてしまうので注意してくださいね。
そのため、例えば「私の強みは◯◯であり、御社の◯◯といった業務に活かすことができると思いますが、他にどういった活躍ができそうでしょうか?」というような質問の仕方をしましょう!
仕事の選ぶための基準#6
明確(目標や評価、報酬体系が明瞭か)
仕事における「不明瞭さ・不透明さ(評価や報酬など)」は、大きなストレスになるので事前に潰しておきましょう。
- 会社の目指しているところが不明
- どのような業務をすれば良いかわからない
- 何をしたら評価されるかわからない
- 報酬体系が不明瞭で理不尽さを感じる
上記のように、最低限の組織体制が整備されていないと、気持ちよく働き続けることはできず、自然と不満が溜まっていってしまうものです。
それを示した研究として面白いのが、スタンフォード大学が228件の先行研究を精査したメタ分析で「給与や評価が不明確な企業では、社員の精神病の発症率や死亡率が上がる」とされていることからも大きな影響をもつことがわかります。(出典:Joel GohJeffrey PfefferStefanos Zenios(2015) The Relationship Between Workplace Stressors and Mortality and Health Costs in the United States)
特に、人の出入りが激しいベンチャー企業だと、マニュアルが整備されていないことが多く、人事評価も経営陣の好き嫌いで決まりがちなので、以下で紹介する項目で確認してください。
明瞭であるかを確認すべき4項目
仕事の流れは「目標に向かって行動し、出した成果に評価を受け、評価に応じた報酬を得る」で成り立っているので、以下の4項目で確認すべきです。
- 目標(会社、及び事業部のビジョン)
- 行動(タスクの手順や納期、責任範囲)
- 評価(人事評価、貢献と失敗の可視化)
- 報酬(報酬体系の透明性、公平性)
就職・転職活動を進める中で、企業の選考を受けることになった際には、以下のような問いを投げかけてみてください。
明瞭な組織であるかを確認するための質問
- 会社のビジョンは明確なものか
- ビジョン実現に向けた行動や仕組みはあるか
- 組織はどのような目標で動いているのか
- 個人目標の設定内容と、役割ごとの責任範囲
- 給与体系と評価制度はどのようになっているのか
- 個人の貢献と失敗を可視化して判断する仕組み
これらを面接で確認するのは当然として、さらに転職エージェントや口コミサイトを使って情報を収集するなり、OB訪問で一次情報を得るなりと、徹底的に調査していきましょう。
仕事の選ぶための基準#7
前進(目標達成、成長実感の獲得)
統計上、仕事で最もやりがいを感じるのは「達成したい目標に向かって前進している感覚があるとき」とされているので、その感覚をこまめに得られる仕事を選びましょう。
事実として、ハーバード大学が238人のビジネスマンを対象に行った研究でも「仕事のモチベーションを高める最大の要素は、物事が前進している感覚である」という結果が出ています。(出典:Teresa M. Amabile and Steven J. Kramer(2011)The Power of Small Wins)
ここでいう「前進」は、あなたが達成したいと思えて、仕事から得られる感覚であれば、どのようなものでも問題はなく、例をあげると以下のようなものです。
- 事業が成長し、No.1に一歩近づく感覚
- スキルが熟達し、できることが増える感覚
このように、仕事を通じて「前進している感覚」を得るには、以下の3要件をより高いレベルで満たすことが求められます。
前進する感覚を得るための3つの要件
- 明確な目標が設定されている
- どの行動が進捗に結びついたかが即座にわかる
- 十分な時間とリソース提供、適切なサポートがある
もちろん、前進している感覚がどれくらい必要かは人によって異なりますが、仕事で前に進んでいる感覚が得られないのは虚しいものなので、上記は必ず確認しておきたいところです。
いまやインターネットの普及、及びデジタル化の促進によって、ユーザーの反応や購買情報が即座に得られるようになっているので、データに重きを置いた企業を選ぶようにしましょう!
仕事の選ぶための基準#8
刺激(多様性や変化に富んだ仕事か)
次は、あなたが仕事に求めるだけの多様性や変化に富んでいるかをみていきましょう。
人間は慣れる生き物なので一定の刺激は必要ですが、あればあるほど良いわけではなく、「あなたがどれくらい求めるか」で判断する必要があります。
- 落ち着いた環境が好きな場合
→変化と競争の激しくない仕事
例:医療従事者、公務員
- 変化の多い環境が好きな場合
→変化と競争の激しい業界、仕事
例:IT業界、広告業界、エンジニア
前者のように、落ち着いた仕事が好きな場合だと、変化と競争が激しい業界で幅広い仕事を取り扱っている仕事だと、心理的な負荷が大きくかかり長く続かないでしょう。
一方で後者のように、刺激に溢れる仕事が好きな方だと、仕事で担当する範囲が狭かったり、定型業務(ルーティーン)の割合が多かったりすると、すぐに飽きてしまい、やりがいを感じられなくなるものです。
仕事の多様性&変化を構成する3要素
仕事を通じて得ることができる刺激(多様性&変化)は、以下の3つの要素で構成されているので、興味のある企業、業界を見つける参考にしてください。
- 市場の変化
- 市場の伸び、競争は激しさ
- AI介入による参入障壁の高さ
- 新商品を出すまでの期間・頻度
- 組織の変化
- 成長事業か、衰退事業か
- 仕組み化(⇔混沌)の度合い
- 人員の入れ替わりは激しいか
- 担当業務の幅
- 担当プロジェクトの規模
- 携わる業務範囲(上流〜下流)
- あなたのスキルや経験を活かせる範囲
- リスクを負った挑戦・失敗への許容度
またシンプルに「入社したあと、短期及び中長期で得られる経験は何か」「具体的なキャリアモデルを教えてください」と聞くのもおすすめです。
仕事の選ぶための基準#9
裁量(労働時間や進め方の決定権)
職場における自由度が低ければ低いほど、仕事への満足度が下がるので「自分の仕事における決定権・裁量がどれくらいあるか」は必ず確認しましょう。
実際に、リクルートワークス研究所の調査(働き方が仕事満足度・生活満足度に与える影響(2018年))でも、勤務の自由度が高ければ高いほど満足度が上がる、という分析結果が出ています。
社会で生きていくうえで完全な自由こそ存在しないものの、少しでも自由度の高い会社を選ぶことによってストレス要因を減らすことができるので、具体的に以下のような点を確認しましょう。
勤務の自由度を確認するための質問
- 会社の目標はどのように決まるのか
- 労働時間、場所はどこまで好きに選べるのか
- 仕事内容や作業ペースはどこまで委ねられるのか
上記の観点で見極めることで、仕事の制約が多くて自由のない環境や、仕事を細かく管理される(いわゆるマイクロマネジメント)といった状況を避けられます。
仕事の選ぶための基準#10
貢献(社会や人の役に立つ感覚)
綺麗事のように感じるかもしれませんが「自分の行為が社会に貢献している実感」を得られるかどうかは非常に重要です。
実際に、シカゴ大学が5万人を対象に行った調査でも、高い満足感を得られやすい職業の共通点として「他人を気遣い、新たな知見を与え、人生を変える要素を持っている」ことが明らかになっています。(Tom Smith(2007)Job Satisfaction in the United States)
特に、貢献を「実感すること」が重要で、エンドユーザーが喜んでいたり、クライアントや同僚に感謝されたり、といった反応を得られる仕事がベストです。
人の役に立つかを確認するための質問
面接官に以下のような質問をしてみましょう。
- 仕事のやりがいを全て教えてください
- その仕事はどう社会に貢献していますか
- 貢献の実感はどう得ることができますか
ただ、上記のような質問を面接官にすると、自身の会社をよく見せたいがためのポジショントークをされる確率が非常に高いので、回答までの早さ&態度を見て真偽を判断してください。
ここまでで「仕事を選ぶための10基準」を五月雨にご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。改めて再掲します。
- 労働:勤務時間、業務負荷
- 報酬:十分な報酬対価があるか
- 仲間:上司や同僚、社風の魅力
- 理念:組織のビジョンへの共感
- 活躍:組織内で十分に活躍できるか
- 明確:給与や評価、仕事内容の明瞭さ
- 前進:目標達成、成長実感があるか
- 刺激:多様性や変化に富んでいるか
- 裁量:労働時間や進め方の決定権
- 貢献:社会や人の役に立つ感覚
これらはいずれも重要であることが科学的に示されている軸であり、あくまで「あなたがどれを大切にするのか」という目線で、突き詰めて考える必要があります。
仕事を選ぶための10基準には段階がある
ここまでご紹介してきた「仕事を選ぶ上で重視すべき10基準」は、心理学理論「マズローの欲求五段階説」のフレームで、人間の欲求段階に合わせて整理することができます。
引用元:マズローの5段階欲求とは
「マズローの欲求五段階説」とは、人間には五段階(+自己超越)の欲求階層があり「1つ下の欲求が満たされると次の欲求を満たそうとする」とした理論です。
それぞれの欲求段階に合わせて「仕事を比較するための10基準」を整理すると下記のようになります。
欲求段階 | 仕事を比較するための10基準 | |
成長欲求 長期的な やりがいへ |
自己超越 | ⑩貢献:社会や人の役に立つ感覚はあるか |
自己実現 の欲求 |
⑨裁量:仕事の決定権が自分にあるか ⑧刺激:多様性や変化に富んでいるか ⑦前進:目標達成、成長実感を得られるか |
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欠乏欲求 欠乏すると 不満になる |
承認欲求 | ⑥明確:給与や評価、仕事内容は明瞭か ⑤活躍:自分だけの強みを発揮できているか |
社会的欲求 | ④理念:ビジョン、社風へ共感しているか ③仲間:一緒に働く上司や同僚は魅力的か |
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生理的及び 安全の欲求 |
②報酬:生活に必要十分な報酬は得られるか ①労働:勤務時間、業務負荷は多すぎないか |
特に、下段の「欠乏欲求」と上段の「成長欲求」の大きく2種類に分けることができ、仕事を選ぶ優先度に影響を与えるので押さえておきましょう。
- 欠乏欲求(最低限必要な土台)
給料や地位のように外部から与えられる報酬
→欠乏すると高まるが、充足すると弱くなる - 成長欲求(とくに重要!!)
充実感、成長実感のように内側から生まれる
→長期的に積み上がり「やりがい」へと繋がる
①欠乏欲求|満たされないと”不満”になる
下層にある”欠乏欲求”は、主に外部環境に対する欲求が中心で、それぞれが求める基準に満たないことでストレス要因、いわゆる不満となるものです。
- 生理的及び安全の欲求
NG例:生活が安定しない、健康ではない - 社会的欲求
NG例:所属したい組織ではない、孤独感 - 承認欲求
NG例:活躍できていない、評価されない
特に人間は、ポジティブな事柄よりも5~6倍、ネガティブな事柄に反応する傾向があるので、仕事を選ぶときには可能な限りネガティブ要素を排除しましょう。
ただ、あればあるほどいいというわけではありません。欠乏欲求はあくまで欠乏しているときだけ不満に思うもの、つまり”必要最低限の土台”に過ぎません。
②成長欲求|満たすと”やりがい”になる
仕事でやりがいを感じるためには、欠乏欲求を満たして不満をなくしたうえで、さらに、成長欲求を満たすことが鍵になります。
- 自己実現の欲求
例:自分の能力を高めたい、価値発揮したい - 自己超越の欲求
例:自己の枠を超えて社会をより良くしたい
ただ、難しいのが、成長欲求は充実感や成長実感のように人間の内側から生まれるもので、外部から与えることができないのと、そもそも欠乏欲求が満たされていないと感じることができない点です。
そのため、まずは欠乏欲求(下層4つの欲求)で物足りなさを感じることがないような仕事選びを優先する必要があるので注意しましょう。
自己分析や適職診断に便利なサービス
ここでは仕事選びで重要な自己分析や適職診断を手助けしてくれるサービスを紹介していきます。
- AI適職診断(by Assign)
- コンピテンシー診断(byミイダス)
- 就活/転職エージェント
- キャリアコーチングサービス
いずれも限られた情報の中から判断するので、100%正解なわけではありませんが、それでも仕事選びの指針にはなります。悩んだらぜひ利用してみてくださいね。
自己分析や適職診断に便利なサービス#1
AI適職診断(by Assign)
転職アプリAssignは、3分ほどの診断であなたに合った仕事(業界、職種)をランキング形式で教えてくれるAIシミュレーションアプリです。
他の転職サービスにも似たような適職診断はありますが、Assignの場合、適正にあった仕事を「業界×職種」で教えてくれて、具体企業名もわかるのがユニークなポイント。
そして、キャリア診断を受けてから「エージェント相談」や「企業求人への応募」といったアクションまで、キレイな導線がつくられているのが特徴です。
- 適正の高い仕事(業界と職種)がわかる
- その仕事で募集されている企業求人が見れる
- その求人に詳しいエージェントに相談できる
【公式】https://assign-inc.com/assign/
転職アプリAssignの基本情報 | |
タイプ | キャリア診断アプリ |
利用料金 | 無料(IOS/Android) |
求人件数 | 非公開 |
運営会社 | 株式会社アサイン |
公式サイト | https://assign-inc.com/assign/ |
自己分析や適職診断に便利なサービス#2
コンピテンシー診断(byミイダス)
ミイダスは入力情報をもとに市場価値を教えてくれる転職アプリですが、登録後に受けることができる「コンピテンシー診断」が仕事選びにとても便利です。
下記のように「パーソナリティの特徴」「向いている職種」や「ストレス要因」などがわかるので、仕事を選ぶ上でのヒントになります。
※ミイダスのコンピテンシー診断
自己分析や適職診断に便利なサービス#3
就活・転職エージェント
就活・転職エージェントとは「仕事を探している方」と「採用したい企業」の間に入って、お互いが納得するマッチングを提供・支援しているサービスのことです。
以下のように採用企業から報酬を受けてっているので、求職者(仕事を探している人)からすると、無料で使えるというメリットがあります。
- キャリアアドバイス
- あなたに合う企業求人を紹介
- 採用企業側への推薦
- 選考対策(書類添削や面接練習)
- 各種調整(日程調整や連絡)
就活・転職エージェントは「仕事探しのプロ」なので、自分に合う仕事を探しているのであれば、まず一度利用してみることをおすすめします。
- 就活なら
キャリアチケット|4人に1人が利用
キャリアパーク|1人5回の親身な面談 - 転職なら
リクルートエージェント|求人数No.1
パソナキャリア|やや高年収向け
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自己分析や適職診断に便利なサービス#4
キャリアコーチング
キャリアコーチングは、あなたのキャリアに関する悩みや中長期的なプランを、プロのトレーナーと一緒に突き詰めて考えることができる有料サービスです。
中でも一番有名なのがポジウィルキャリアで、キャリア相談に特化したコーチングサービスとして、20~30代の有料/無料相談実績No.1を獲得しています。
利用が初めての方であれば、45分無料で体験できるので、どういったプランがあるのかを含め一度相談してみるとよいでしょう。
仕事を選ぶときの注意点
ここでは仕事を選ぶ上でのよくある注意点についてお伝えしていきます。
仕事を選ぶときの注意点①
給料やブランド力で選ばない
給料やブランド力で選ぶことはおすすめしません。なぜなら、外発的動機付けによる意欲の向上は長続きしないからです。
それはまるで、憧れの高校や大学に入学した時の高揚感が長く続かないように、欲しかったブランドものバッグや服を手に入れても大事にするのは最初だけのように、一時的なものなのです。
すぐに失われる感情を重視して優先度を決めると、後々後悔することになるので注意しましょう。
仕事を選ぶときの注意点②
“好き”だけで仕事を選ばない
好きを仕事にするのも気持ちはわかりますが、やめてください。消費者として楽しむことと、プロとして労働することは大きく異なります。趣味は趣味だから楽しめるのです。
例えば、「パンを食べること」が好きだったとしても、パン屋としての適性のない人がパン屋になってしまうと、以下のように良い側面ばかりではないかもしれません。
- 朝早く起きるのが辛い
- パンを捏ねる力仕事が負担になる
- パンの匂いがつくことにストレスがある
- クレーマー気質の客との会話に疲弊する
- 大きく変化のない毎日に物足りなさを感じる
- 機械化されていて自分の存在意義を感じない
なにより「パンを食べることが好き」と「パンを作ることが好き」は根本的に異なります。他にも、ゲームや映画、飲食業界などでも同様の事象が起こりやすいので注意してください。
仕事を選ぶときの注意点③
生涯の仕事にできそうかで選ばない
一生の仕事をいまの段階で決めようとしないでください。エンジニアやWEBデザイナーという仕事が30年前になかったように、10年後20年後なにがあるかわからないからです。
有名なキャリア理論「計画された偶発性理論」で述べられているように、個人のキャリアの8割は、予想していなかった偶発的な出来事によって決まります。
なにより、これから長く続くキャリアにおいて、生涯の仕事を、現時点で持っている知識だけで決めてしまうのは浅はかと言わざるを得ません。
現時点で一生涯の仕事を決めても良いのは、ルールが変わることのない安定した業界(例:野球やサッカー選手といったスポーツ系のみ)だけです。
仕事を選ぶときの注意点④
”あと1年で死ぬなら”で選ばない
「あと1年で死ぬなら」と視野を狭めて感情的な判断に逃げるのはやめてください。考えやすくて楽かもしれませんが、長期的な利益のために短期的に我慢をすべきケースがあるからです。
それこそ古い時代に、目の前にある果実や動物をただ狩って食べる狩猟生活から、種を植えて育てる農耕生活にシフトしたように、未来を見据えたからこそできる投資があります。
将来のことを考えて自ら努力を積み上げることができるのは“人間”だけです。常に自分が思い描く長期的なキャリアを漠然とでも考えたうえで、どういった1年を過ごしたいのかを考えてください。
仕事を選ぶときの注意点⑤
将来の夢を無理に描こうとしない
仕事選びの注意点5つ目は「将来の夢を無理に描こうとしないこと」です。将来の夢があれば、他人から応援されやすくなりますが、ない夢を描く必要はありません。
実際、漫画やアニメでも「夢や目標に向かって頑張り続けること」が美談として語られるケースが多く、小さい頃から「将来の夢は?」と、まるで夢があることが当たり前かのような教育が行われているので勘違いされやすいのですが、夢は必要ではありません。
心にもない夢を掲げる虚しさ
夢が必要だと勘違いしているせいで、就活や転職活動になった途端、急に「貧困をなくしたい」「食で人々を幸せにしたい」と、心にもない夢を掲げてしまう現象が起きます。
その結果「ではその夢を叶える最短の道を通ればいいのでは?弊社に入社する必要ありますか?」と面接官に指摘され、苦しい言い訳しか返せなくなるのです。
夢がないことを恥じる必要はありません。そもそも日本人のほとんどは夢なんて持っていないことがほとんどです(もちろん私もその一人です)
むしろ恥ずべきは、本心で納得していないのに、”夢はあるべき”という固定観念に屈し、自分自身を騙してしまうことだと思います。
全力で生きた”今”の積み重ねは必ず実を結ぶ
有名なキャリア理論「計画された偶発性理論」においても、個人のキャリアの8割は偶発的な出来事で決まるとされています。過去に決めた”夢”ではありません。
そしてキャリアを良い方向に導く出来事は、5つの行動特性(好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心)で呼び込めるとされており、たとえ現時点で夢や目標がなくても”今を集中して生きる”ことで、いつか遠くない未来で意味を成すことが説かれています。
つまり、いまやっていることや興味を持てた仕事に、真剣に向き合い、努力を重ねることが重要なのです。空虚な夢ばかり掲げて、目の前のことに本気で取り組まない人間に、良い未来が訪れることはありません。
仕事を選ぶときの注意点⑥
無駄な”自己分析”に時間を浪費しない
仕事選びの注意点6つ目は「自己分析をすれば、やりたい仕事が見つかる」と考えてしまい、無駄に時間を浪費するようなケースです。
それこそMBTIやエゴグラムをはじめとした性格診断はほとんど”占い”のようなものです。モチベーショングラフや意思決定の深掘りでさえも、仕事選びでは役に立ちません(面接の自己PRに使えるくらいです。)
自分の過去に適職のヒントは少ない
あなたを幸せにする仕事は、あなたの”過去”にではなく”未来”にあるので、過去の記憶や体験を見つめたとしても”適職のヒント”はそうそうありません。
仕事の見つけ方としてよくある「過去の経験からそれっぽいポイントを見つけて、仕事で得られる体験とそれっぽく重ねる」ことは”視野が狭い”としか言いようがない典型例です。
- お客さんのためになって嬉しかった
→営業職として顧客接点のある仕事を探す - ボランティアをしていた過去がある
→社会貢献度の高い事業や企業を探す - 旅行するのが好き
→旅行業界やホテル業界の仕事を探す
上記のような探し方は、ぱっとみ筋が通っているように思えますが、他の可能性を見ることができていないので「ベストな選択」とは言い切れません。本来はさまざまな軸で比較、吟味すべきです。
業界や仕事の分析の方がずっと大事
人は自己分析にばかり時間をかけてしまう傾向にありますが(なんだかんだ自分自身に興味がありますからね)、仕事を選ぶのであれば、まずは仕事(業界や職種)の分析をすべきです。
不思議なことに、株式投資をするときには企業の将来性や安全性をIR資料や業界トレンドを読み解いて念入りに調査する方が多いものの、就職や転職活動となると企業分析を疎かにしてしまう方が多くいます。
最低でも以下のような要素を網羅的に把握しましょう。
- 業界構造、ビジネスモデル
- 企業のIR、中期計画、事業戦略
- 希望職種の仕事内容や目標、給与テーブル
- どう成長できるか、やりがい&辛いところ
仕事を選ぶときの注意点⑦
最初から”やりがい”を探そうとしない
仕事選びの注意点7つ目は「最初から”やりがい”のある仕事が見つかると思わないこと」です。やったことがない仕事の魅力や苦労はわかりません。
最初からやりがいを求めてしまうと入社後に「こんなはずでは…」とネガティブなギャップになりやすく、さらに本当はもっと適した仕事があったとしても「なんか面白くなさそう」と敬遠してしまう可能性すらあります。非常にもったいないことです。
やりがいが湧いてくるのは、時間をかけた後
心理学の「グロウスパッション」という考え方では、時間をかけて努力をしたからこそ情熱が生まれてくるとされています。情熱があるから努力をするのではありません。
たとえ最初は興味がなかったとしても、思わぬ魅力に気づいてだんだん熱中していったことは、誰しも一度くらいは経験があるのではないでしょうか。
もちろん嫌いなことを無理してやる必要はありません。ただ、目の前のことに本気で向き合ってみることで、生涯をかけて情熱を注げる”生きがい”が見つかるかもしれません。
”仕事は仕事”と割り切った方が長続きする
オックスフォード大学の研究でも、好きを仕事にするより、”仕事は仕事”と割り切ったほうが、上達が早く、長続きもすることが明らかになっています。(出典:Negotiating the Challenges of a Calling: Emotion and Enacted Sensemaking in Animal Shelter Work(2016))
実際、どのような仕事にも嫌な側面はあるので、仕事に高い理想像を掲げて入社すると、どうしてもギャップを感じてモチベーションが下がってしまうのです。
そのため、やりがいや充実感といった期待を寄せすぎず、ほどよく割り切って仕事を選ぶことも重要です。最初はほんの少しの興味があれば良いのです。
最後に
ここまで仕事の選び方について解説してきましたが、あなたの「キャリアにおける最善」はあなたにしか導き出せないので、徹底的に納得がいくまで考えることが重要です。
あなたの人生を大きく左右する仕事選びという意思決定が、明確な判断基準と徹底的な調査によって、合理的に導き出されることを祈っています。