HSS型HSPとは、とても繊細な人(HSP)でありながら、高い刺激を求める(HSS)という特性を持つ人のことを指しています。
英語にすると以下のようになります。
- HSS(High Sensation Seeking)
→高い刺激を求める - HSP(Highly Sensitive Person)
→とても繊細な人
もともとは、アメリカの心理学博士エレイン・アーロン氏が提唱していたもので、以下のような矛盾した特性を持つことが特徴です。
- 人と話すのは好きだけど、疲れてしまう
- 新しい刺激を求めるが、すぐに飽きてしまう
- 大胆だが、小さいことを気にして凹んでしまう
- 社交的で外交的に見えるけど、実はネガティブで自信がない
このように、対照的な特性が共存しているHSS型HSPは、人口の6%と少数派であることからも「生きづらい」と感じている方が多くいます。
本記事では、そんなHSS型HSPの特性の活かし方や、生きづらさを軽くする方法を解説していきます。
HSS型HSPの総評【要約】
HSS型HSPは、繊細だけど刺激を求めるという傾向があり、以下のような特徴を持っています。
- 自分自身の内的世界を大切にしている
- 積極的に新しい刺激を求めて行動を起こす
- 刺激を求める反面、疲れたり傷ついたりしやすい
- 外の世界に対して興味を持ちがち
代表的な2つの特徴に関して、深堀りしてみましょう。
特徴①:敏感なのに刺激を求めがち
一般的にHSS型HSPは、変化を好み、新奇なものを求め、それゆえその経験を得るためのリスクは厭わない傾向があります。
目新しい経験やスリルを求めるがゆえに、同じことを繰り返すことはあまり得意ではありません。それと同時に、刺激に圧倒されやすかったり、疲れやすかったりします。
また変化や人の気持ちに気が付き、思慮深い言動をとることも可能です。
こうした対照的な特性を持ち合わせるのが、HSS型HSPの特徴のひとつです。
特徴②:二面性に苦しめられがち
HSS型HSPは、自身の二面性に苦しめられる傾向があります。
HSS型HSPは、新たな情報や発見を求めて自分で調べたり外に出かけたりしますが、そうした探求のなかでときに傷つき、ひどく打ちのめされることもあります。
しかしながらコミュニケーション能力には磨きがかかっているため、本心ではどう思っていようと、人前では飄々と接することができるのです。こうして内面と外面との間に乖離が生じます。
その結果、自身の二面性の調整に苦心したり嫌気がさしたりして、自己否定的な感情を抱きやすくなってしまうケースがあります。
HSPとの共通点は「繊細な人」であること
HSS型であってもHSPである以上、繊細な人であるという特性は変わりません。例えば、以下のような共通点があります。
・物事を深く考える傾向がある
・他人よりも細かい情報に気が付く
・自分よりも周りや相手を優先しがち
・人から頼まれごとを受けると断れない
・いつも周囲の人や環境に気を遣っている
・においや音、光といった外部の刺激に敏感
・相手の裏に隠れた感情や思考を読み取れる
・受け取る情報が多いため、情報処理に疲れやすい
・映画や文学などの作品に、深く共感、感情移入する
このようにHSS型HSPは、HSP特有の繊細さを併せ持っているため、ネガティブで、傷つきやすく、一方で想像力や発想力、共感力が高いといった傾向にあります。
HSPとの違いは「刺激を求めるか否か」
HSS型HSPと、一般的なHSP(非HSS型HSP)との違いは「新たな刺激を求めるかどうか」とシンプルで、特性として以下のような差分が見られます。
一般的なHSP(非HSS型HSP) | HSS型HSP |
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|
こうした傾向もあって、HSS型HSPの人は自分がHSPに属すると気づいていないケースがあります。また反対に、社交的であるがゆえに、周囲の理解を得られにくいケースもあるでしょう。
HSS型HSPの悩みは、周囲から理解されにくい
HSS型HSPが抱えがちな悩みとして、周りから理解されにくいことがあります。
というのも、HSS型HSPは周囲の反応や状況を見ながら行動できるからです。たとえ内心では緊張していたり傷ついていたりしても、周りには悟られないように応対できるのです。
周囲からは新しいもの好きで、いつもアクティブな人と思われていても、実際にはかなり疲弊していて、家ではぐったりというケースもあります。
HSS型HSPが楽になる対処法とは?
このようなHSS型HSPが抱える悩みや苦しみに対して、どのように対処したら良いのでしょうか。ここでは代表的な2つの方法を取り上げます。
自分自身をよく理解する
HSS型HSPが生きやすくなるためには、まず自分自身を良く知ることが大切です。
自分について深く理解することで、傷ついたり疲れたりネガティブになったりするタイミングや傾向を把握でき、自主的に回避できるようになるからです。
そのためには日記を付けるのも良いでしょう。自分を客観的に見ることができ、より理解を深められます。
HSPの特性も大事にする
どんなに新たな刺激を求めたいと思っても、HSS型HSPも基本的にはHSPです。
自分の好奇心を満たそうとするあまり、HSPであることを忘れて消耗しすぎることのないように気を付けましょう。
多くの人と出くわす機会や、刺激を強すぎるものを経験した後には、普段より多めに休養時間を設けることも大切です。受け取る情報が多ければ多いほど、比例して疲れやすくなるからです。
HSPの特性である、自身の内的世界に耳を傾ける時間もときには必要でしょう。
まとめ:HSS型HSPの総評【要約】
HSS型HSPは、HSPの繊細で敏感な特性を持ちつつも、好奇心旺盛で新しい刺激を求める傾向があります。
そのため刺激探求心が強いのですが、刺激を受容できる範囲は決して広くありません。その結果、疲れやすかったり傷つきやすかったりするのです。
こうした対照的な特性を持ち合わせているHSS型HSPは、周囲からは理解されにくかったり、自身の二面性に苦しんでいたりします。
その解決策として紹介したのが、自分自身を良く知ること、HSPの特性も大切にすることでした。
HSS型HSPはHSPと同様に、治療が必要な病気ではありません。ある意味で生まれ持った「個性」とも言えるでしょう。
活かし方次第で短所にも長所にもなりえますので、自身の特徴や強みを最大限活かして、より良い日々を過ごしていきましょう。