精神障害者の就職は難しい?必要な配慮や向いている仕事を解説

精神障害者はその特性や症状により、様々な困難を抱えて生活しています。精神障害者だと就職が難しいと言われていますが、なぜでしょうか。

この記事では、精神障害の特性から就職が難しいと言われる理由や向いている仕事、就職活動のポイントについてご紹介します。

この記事を書いた専門家
佐々木
佐々木
東証プライム上場企業の管理職。企業側として新卒・中途採用をしている経験と、自身が転職した体験談をもとに記事を執筆。

精神障害者の就職はどれくらい難しいのか

精神障害者の就職は難しいと言われており、現時点では申し込みをしたうちの42.4%しか就職できていない現状にあるものの、今後は改善されていく見通しです。

  1. 精神障害者の申込後の就職率は42.4%
  2. 民間企業で働く精神障害者は増加傾向

データをもとに解説していきます。

①精神障害者の申込後の就職率は42.4%

厚生労働省の統計情報によると、精神障害者の“申込後の就職率は42.4%”と、まだ就職は難しいという状況にあります。

下記グラフは、2011年から2021年までの精神障害者の「求人申込数」と「就職件数」及びこれらをもとに算出した「申込後の就職率」の推移です。

厚生労働省のデータをもとに作成

このように、障害者雇用促進の流れを受けて、申込件数と就職件数は増えていますが、申込後の就職率は42.4%と高くはありません。(申し込んだうち57.6%は就職していない、ということです。)

特に、直近2~3年はコロナ不況の影響を受けて雇用枠が減少しているので、条件の良い企業ほど競争が激しくなり、倍率が高くなっている実情があります。

②民間企業で働く精神障害者は増加傾向

しかし、2018年に障害者雇用促進法が改正(内容は後述)されて以降、民間企業で働く精神障害者の人数は伸び続けています。

▼雇用されている精神障害者の推移

厚生労働省 令和3年障害者雇用状況の集計結果より編集部作成
※雇用義務のある民間企業(43.5人以上規模)における雇用人数

上記グラフのように、厚生労働省が公開している最新情報(2021年時点)を見ると、2018年の障害者雇用法改正以降、急激に増加していることがわかります

なお、変更点は下記の通りです。

障害者雇用促進法の改正に伴う変更点

①精神障害者が「障害者雇用義務」の対象に加わる
②精神障害者の短時間勤務(週20~30時間)の雇用率算定方法が「0.5→1.0」に変更
③民間企業の法定雇用率が「2.0%→2.2%」に変更

上記の変更(特に①②)に伴い、民間企業が精神障害者を雇用するメリットが増えたので、2018年を基点として障害者雇用がグッと加速する結果となりました。

そのため、まだ精神障害者の就職は難しい現状にはありますが、いずれ長期的には改善していく見通しです。

精神障害者の就職が難しい理由

ここでは精神障害者の就職が難しいとされる理由を解説していきます。もちろん一人ひとりのスキルや就業経験にもよりますが、概ね下記の通りです。

  1. 障害によって配慮がとても難しいため
  2. ノウハウや経験のある管理職が少ないため
  3. 精神障害者は職場定着率が低いため

では見ていきましょう。

理由1.障害によって配慮がとても難しいため

精神障害者の就職が難しいとされる理由1つ目は、症状が“精神”という曖昧で目に見えないところに出てしまうので「配慮がとても難しい」という点です。

  • 症状の判断がしづらく再発の恐れがある
  • ストレスを避けるために、業務に制限がかかる

さらに、コミュニケーション、人間関係におけるストレスを減らすような“環境調整”をおこなうことも求められますが、そう簡単にはいきません。

もちろん精神障害の中でも、薬で発作をコントロールしやすい“てんかん”なら問題ないですが、うつ病をはじめとした“気分障害”や、思考が支離滅裂になる“統合失調症”では、どんなに配慮をしてもうまくいかないことがあります。

理由2.ノウハウや経験のある管理職が少ないため

精神障害者の就職が難しいとされる理由2つ目は、精神障害者向けの対応ノウハウ、経験を持った管理職が単純に少ないからです。

  • どんな配慮が必要なのか
  • コミュニケーションの取り方
  • 具体的に任せる仕事内容の決め方

など、考えることは多くあるので、慣れていない管理職からすると「自身が理解できないかつコントロールできない理由で、仕事に支障が出てしまう求職者」をあえて採用したいとは思いません。

特に、精神障害者の方は、休職期間で職歴のブランクが長かったり、短期離職を繰り返していたりするので、なおさら敬遠されてしまいます。

理由3.精神障害者は職場定着率が低いため

精神障害者は、他の障害者と比べて職場定着率が低い傾向にあります。実際、1年後まで続いている人は採用したうちの“49.3%”と圧倒的な低さです。

出典:障害者職業総合センター 障害者の職場定着率

企業側は「長期就業してくれる方を採用したい」と考えているので、就労が安定しない精神障害者(特に、うつ病等の気分障害)は採用しにくいと言うのが本音です。

ちなみに、同じ「精神障害者保険福祉手帳」を所有する発達障害者が“71.5%”と高いことを踏まえると、長期定着しにくい分、就職活動では不利になります。

ここまでのまとめ

近年、精神障害者の雇用は大きく改善しつつありますが、それでもまだ「就職は難しい」という状況であることには変わりません。

なにより精神障害は、症状が目に見えないので配慮しにくく、さらに配慮が意味を為さないこともあるので、就職しても短期離職につながるケースが多いのです。

個別障害に合わせた相談は専門家にしよう

就職活動は一人で進めず、専門家と相談しながら進めてください。理由は、障害内容と仕事(環境や業務内容)の“相性”を慎重に見極める必要があるからです。客観的な立場で意見をくれるパートナーの存在は、心強い味方にもなります。

まず、幅広い障害者案件を取り扱っているLITALICOに登録しておきましょう。併せて、希望する就労パターンに合わせて合計3つ登録することをおすすめします。

▼一般就労(週20時間〜フルタイム)

▼就労継続B型A型、就労移行支援なら

ここからは就職に向けたポイントについて、具体的に解説していきます。

精神障害者が就職活動を行うときのポイント

就職活動を行う場合は、下記のポイントを押さえて進めることをおすすめします。

  1. 自身の障害特性と必要な配慮を理解する
  2. 向いていない仕事を避け、向いている仕事を探す
  3. 無理のない就労形態から段階的に仕事をはじめる
  4. 就職活動は一人で行わず、支援期間をうまく活用する

では順番に見ていきましょう。

①自身の障害特性と必要な配慮を理解する

まずは、自身の障害特性と、職場環境に必要な配慮を理解して整理しておきましょう

精神障害と一口にいっても、うつ病等の気分障害から統合失調症、ASDやADHDといった発達障害など、特性は人それぞれなので「自分が何を苦手としていて何をストレスに感じるか」は前もって整理しておく必要があります。

それこそ、手帳を取得必要がないくらい軽度であれば「民間企業の一般枠」で就労することもできます。

反対に、困難が大きく配慮が必要なら「障害者雇用枠」を狙うなり、就労移行支援や就労継続支援といった「福祉的就労」から段階的に慣れるなり、といった選択肢があります。

より良い職場を選ぶためにも、自己分析は必須です

②向いていない仕事を避け、向いている仕事を探す

自身の障害特性と必要な配慮を理解したならば、向いていないであろう仕事は避けて、できるだけストレスがかからない仕事を探しましょう。

もちろん、興味がある“やりたい仕事”を選ぶのも悪いことではありませんが、精神障害者は「ストレスを回避すること」のほうが遥かに重要です。

仮に憧れの職業だった場合、最初は楽しく感じるかもしれませんが、3ヶ月もすれば高揚感は薄れ、できないことばかりの現実に苦痛を感じるようになります。

このように、障害の特性ごとで一定の得意不得意はあるので、自己分析と業界・企業研究をしたうえですり合わせを行いましょう。

③無理のない就労形態から段階的に仕事をはじめる

仕事を探すときは、無理のない就労形態からはじめるようにしてください。精神症状が安定していない場合や、長期間のブランクがある場合は「勤務時間をどれくらいにするか」から医師と相談しましょう。

もし、一般企業への就職が不安な場合は、福祉的就労(就労継続支援B型A型や就労移行支援)で、障害や体調にあわせて自分のペースで、必要なスキルを習得することが可能です。

一般企業での就職に少しでも不安がある場合は、無理をせず、段階を踏んで慣れていくことをおすすめします。(例えばSTEP3.就労移行支援の利用から始める、など)

どれにすべきか悩んだら、障害者向けの「福祉的就労」と「一般就労」の両方を紹介している事業所(LITALICOatGPなど)に相談してみるようにしてください。

④就職活動は一人で行わず、支援機関をうまく活用する

精神障害者が長期定着するためには、正しい職場理解と繊細な配慮が必要なので、客観的な立場からアドバイスをくれて、障害者の仕事事情に詳しい「支援機関」の力を借りることをおすすめします。

例えば、下記のような機関です。

悩んだら、「就労移行支援事業所」と「障害者向け企業求人」の両方を取り扱っているLITALICOdodaチャレンジに登録しておきましょう。いずれも全国対応可能です。

精神障害者向けおすすめ転職エージェント

障がい手帳をお持ちの方、あるいは申請中の方向けに、オープン就労(企業に障がいを公開しておこなう転職活動)でおすすめの転職エージェントを紹介していきます。

比較ポイントは以下3点です。(詳しい選び方や6位以降が気になる方は「障がい者向け転職サイト・エージェントの選ぶ基準と比較表」をご覧ください。)

  • 比較1. 総求人数
  • 比較2. 利用者満足度
  • 比較3. 障がい者支援の実績
←左右にスクロール可能→
順位就職/転職エージェント評価
おすすめ度エリア公開求人満足度コメント個別解説記事
1位LITALICO仕事ナビ★★★★☆
4.2
全国3,211件
多い
4.2 / 5.0
高い
業界最大級の求人数
在宅ワーク案件あり
2位
dodaチャレンジ
★★★★☆
4.1
全国1,393件
多い
4.1 / 5.0
高い
大手人材会社が運営
事務職やIT技術職メイン
3位
atGPエージェント
★★★★☆
4.0
関東・関西
名古屋
1,143件
多い
3.9 /5.0
普通
全国で豊富な求人数
地方や作業系案件もある
4位
ランスタッドチャレンジド
★★★★☆
4.0
全国
(精神は一都三県)
314件
普通
4.1/ 5.0
高い
60%が300万円以上
フルタイム正社員中心
5位
エージェント・サーナ
★★★★☆
4.0
関東、関西1,007件
普通
4.0 /5.0
高い
転職支援歴29年
累計1,000名以上
6位
DIエージェント
★★★☆☆
3.9
全国1,739件
多い
3.9/ 5.0
普通
2009年開始
7,500人以上を支援
7位障害者雇用バンク★★★☆☆
3.8
首都圏、大阪946件
普通
3.8/ 5.0
普通
ハローワーク求人や
就労移行支援も掲載
8位マイナビパートナーズ紹介★★★☆☆
3.8
首都圏、関西非公開
少なめ
4.1 / 5.0
高い
2020年開始
大手のノウハウあり
9位
ソーシャルパートナーズ
★★★☆☆
3.7
一都三県242件
少なめ
3.8 / 5.0
普通
2018年開始
世界規模の人材会社
10位
アビリティスタッフィング
★★★☆☆
3.7
一都三県129件
少なめ
3.6 / 5.0
普通
首都圏の事務職中心
精神障害のみ

※2023/3/1時点の数値

転職エージェントは最初から一つに絞る必要はないので、良い求人を見逃しにくくなるように複数登録がおすすめです。(ただ、多すぎると連絡が面倒になるので、多くても4社程度にしておきましょう。)

1位.LITALICO仕事ナビ

LITALICO仕事ナビは、国内最大級の求人数を持つ転職サービスです。全国に対応しており、首都圏や関西はもちろん、地方求人も豊富なのが特徴。

全国100拠点を超える就労移行支援事業で培った累計10,000人以上の支援実績をもとに、安定感のあるサポートをしています。

LITALICO仕事ナビの特徴
  • 求人数が業界最大級(全国対応)
  • 人気の在宅ワーク求人も豊富
  • 就労移行支援や継続案件も掲載あり

もともと就労移行支援のイメージが強いですが、身体障がい者や若手向けのサポートも充実しています。無料なのでぜひ相談してみてください。

【公式】https://snabi.jp/

佐々木
もちろん情報収集のみの登録も可能です。障害者雇用求人をどこよりも多く掲載しているので、必ず登録しておきましょう!

◆利用した方の口コミ(一部抜粋)

親身に支えてくれた
40代男性 鬱病/社会不安障害 製造
★★★★★5
スタッフの方は非常に親身になって支えてくださいました。書類の作成や模擬面接もして頂き、非常に感謝しております。私も急に精神的な病気になってしまい、非常に落ち込んでいたのですが、おかげさまで明るさを取り戻しました。(アンケート調査より)
他と比べて求人数が多い
20代女性 摂食障害 事務職
★★★★☆4
他のエージェントと比べて、求人数は多いように感じました。身体障害の方、精神障害でもある程度自己管理ができる方は良いと思います。ただ、サポートはすごく良いですが、求人のレベルは割と高く、条件に合わないことも多いです。(アンケート調査より)
ハローワークよりずっと探しやすい
30代男性 うつ病/双極性障害 軽作業
★★★★★5
時期が閑散期なので難しかったかと思いますが、協力体制があり、たくさんの求人を紹介してくれました。ハローワークよりずっと探しやすいと思います。(アンケート調査より)
求人は紹介してくれる
20代女性 発達障害/全般性てんかん 事務職
★★★☆☆3
求人を紹介してくれるのだろうかという不安を抱いていたので「求人を紹介してください」という要求に応えてくれた事には感謝したい。ただ、私の希望する勤務地や職種が抜けていたのが残念。(アンケート調査より)
LITALICO仕事ナビの基本データ
タイプ転職エージェント
利用料金無料
※障害者手帳がなくても登録は可能
対象地域全国
対象障害全て(精神や発達障害も可能)
求人件数3,211件
運営会社株式会社LITALICO(企業HP
関連サービスLITALICOワークス(就労移行支援)
公式サイトhttps://snabi.jp/

※2023/3/1時点の数値

2位.dodaチャレンジ

dodaチャレンジは、大手人材企業のパーソルグループが運営する、転職支援実績No.1(2018年~2020年)の障がい者特化型転職エージェントです。

東京・大阪・名古屋の3ヶ所にオフィスを構えており、大手企業や特例子会社での、事務職からIT系技術職といったオフィスワーク求人を多く保有しています

dodaチャレンジの特徴
  • 事務職からIT系技術職に強い
  • 東京・大阪・名古屋の大企業求人に強い
  • 障がい者の転職に特化したコンサルタント

転職前は応募書類の添削や模擬面接といったサポートがあり、入社後も就労に関する悩みがないか相談することが可能です。無料なのでまずは面談だけでもしてみましょう。

【公式】https://doda.jp/challenge/

また、就労移行支援事業所のミラトレを運営しているので、働くことに不安があり、無理なく慣れていきたいという方は、併せて利用してみてください。

佐々木
dodaチャレンジは障害者の支援実績No.1の転職サービスです。アンケート調査でも約5人に1人が利用していました。

主に、アドバイザーの対応に関するポジティブな口コミが多かった印象で、その一部を紹介していきます。

◆利用した方の口コミ(一部抜粋)

誠実に仕事をこなしてくれた
30代女性 うつ病 教育関係
★★★★★5
担当者の方は誠実に仕事をこなしてくださいました。病気のこともあり、自己肯定感がほぼない私に、私の長所となる部分を沢山教えてくださいました。(アンケート調査より)
寄り添いながらアドバイスしてくれた
30代男性 うつ病 事務職
★★★★★5
十分なヒアリングでこちらの就業を寄り添いながらアドバイスしてくれました。それから、企業側にいろいろと体調を崩した時などの対応を交渉してくれました。就業後も、どんな様子かヒアリングとアドバイスをしてくれてとても心強かったです。(アンケート調査より)
選考対策や書類サポートをしてくれた
40代女性 双極性障害 事務職
★★★★☆4
良かった点は、キャリアカウンセラーが私の代わりに条件交渉をしてくれたことや面接対策や書類作成のサポートもしてくれたことです。悪かった点は、社会人としての経験が浅いためとの理由で、すぐに求人を紹介してもらえなかったので、残念でした。(アンケート調査より)
丁寧にわからないことを教えてくれた
30代女性 軽度知的障害 事務職
★★★☆☆3
軽度知的障害とのこともあり、普通の人より理解力がないなか丁寧にわからないことを教えてくださいました。悪かった点としても希望の求人数があまりにも少なく、他の都道府県の求人ばかり障害されたことが悪かったといいますが不満に思った点です。(アンケート調査より)
dodaチャレンジの基本データ
タイプ転職エージェント
利用料金無料 ※障害者手帳が必要
対象地域東京、大阪、名古屋(WEB対応可)
対象障害すべて※精神障害も対応
求人件数1,393件
運営会社パーソルキャリア株式会社(企業HP
Pマークあり(確認はこちら
公式サイトhttps://doda.jp/challenge/

※2023/3/1時点の数値

3位. atGPエージェント

atGP(アットジーピー)は、株式会社ゼネラルパートナーズが運営する、全国トップクラスの求人を保有する障がい者向け転職サービスです。

基本的には首都圏、関西エリアの事務職求人が中心ですが、他の大手エージェントと違って、地方エリアや作業員(清掃等)案件にも力を入れています

さらに、時短(週20時間~)案件や、在宅ワーク求人も多く保有しているので、幅広いニーズに応えられる点はatGPならではの強みと言えるでしょう。

atGP(アットジーピー)の特徴
  • 全国で求人数がトップクラス
  • 時短や在宅ワーク求人が豊富
  • 首都圏や関西の事務職求人が中心
  • 地方や作業系案件でも他社より充実

また、エージェント機能をつけずに求人を眺めたり、スカウトを待ったりすることも可能なので「良い案件があれば」という方にもおすすめできます。

【公式】https://www.atgp.jp/

ちなみに、就労移行支援事業所(atGPジョブトレ)も運営しているので、働くことに不安があり、まずは準備からしていきたい方は、併せて利用してみてください。

佐々木
atGPは多くの方に利用されている大手サービスなのでおすすめです。アンケート調査でも約5~6人に1人が利用しており、満足度評価が高い傾向にありました!

◆利用した方の口コミ(一部抜粋)

希望通りに紹介してくれて助かった
40代男性 左大腿1/2以上欠損 事務職
★★★★★5
こちらの要望に応えて求人を探してきてくれて、ずっと親身になって相談を聞いてくれた。こちらからの質問に対してすぐに回答してくれた点もありがたい。(アンケート調査より)
わからないことをすぐに教えてくれる
20代女性 双極性障害 事務職
★★★★★5
良かった点は、自分が気になっているが、少し雇用条件の部分が気になった求人をすぐに対応してくださり、雇用条件の確認などがスムーズでとても好感にもてたことです。わからないことをすぐに聞けるので安心できました(アンケート調査より)
特性を活かせる職場を探してくれた
30代女性 発達障害/統合失調症 事務職
★★★★★5
自分の障害における特性や、疲れやすさ等をすごく理解して下さって嬉しかったです。自分の特性の良いところを活かせる様に、色々親身になって話を聞いてくれて動いて下さり、ありがたかったです。(アンケート調査より)
細かい職種条件にも応えてくれる
20代男性 うつ病 事務職
★★★★☆4
職種の条件について細かい要求をしたが、自分にあった求人をしっかりと探してくれて、見つかり次第連絡してくれた。都心でないと少し求人数は物足りない印象を受けたが、在宅求人も紹介してもらえたのでおすすめです。(アンケート調査より)
atGP(アットジーピー)エージェントの基本データ
タイプ転職エージェント
利用料金無料 ※障害者手帳が必要
対象地域関東・関西・名古屋エリア
対象障害全て
求人件数1,143件(非公開求人は不明)
うち610件は精神障害の採用実績あり
運営会社(株)ゼネラルパートナーズ(企業HP
Pマークあり(確認はこちら
公式サイトhttps://www.atgp.jp/

※2023/3/1時点の数値

4位.ランスタッドチャレンジド

ランスタッドチャレンジドは、世界最大の人材企業ランスタッドが運営する障がい者向け転職エージェントで、取り扱い求人の年収やレベルが高いことが特徴です。

実際の求人も、正社員のフルタイムが大半を占めているので、フルタイムでの就業を直近2~3年継続していて「キャリアアップしたい!」と考えている方におすすめです。

もとは外資系企業なのでドライなイメージを持つかと思いますが、そういったことは一切なく、求職者に寄り添ったオーダーメイド求人をはじめ、親身なサポートが高評価でした。

ランスタッドチャレンジの特徴
  • 年収高めのフルタイム求人
  • 全国対応(精神障害は一都三県のみ)
  • 事務職や製造業職の人気求人を多数保有

ランスタッドの保有求人の多くは非公開であり、大企業を中心に多くの転職支援実績があるので、どのような求人があるかだけでもみてみると良いでしょう。

【公式】https://www.randstad.co.jp/challenged/

ただ、基本的にはフルタイム求人がメインなので、経歴に自信がない方、週3~4勤務から段階的に復職したい方は、LITALICO仕事ナビatGPを利用するようにしてください。

◆利用した方の口コミ(一部抜粋)

比較的条件の良い求人が多かった
30代男性 下肢障害5等級 IT関連
★★★★★5
通勤に負担がかかるのでテレワーク中心で働くことができる仕事を探していました。障害者雇用の割にランスタッドは比較的条件の良い求人が多かった印象です。正社員の案件が多いので仕事に支障が出ずに働ける方にはおすすめですね。(アンケート調査より)
担当が障害や配慮に詳しく安心できた
40代女性 内部障害1等級 事務職
★★★★★5
担当者が障害に詳しかったので安心して配慮事項をお伝えすることができました。結果的に希望の条件で無事転職することができたのですが、事前に配慮事項を調整してくれたおかげで受入環境も良く、快適に働けています。(アンケート調査より)
スキルアップできる職場を紹介してくれた
30代男性 上肢障害6等級 IT技術職
★★★★★5
障害者雇用の場合だと簡単な事務作業しか任せてもらえないものと諦めていましたが、経験が浅いながらスキルアップできる職場を紹介してくれました。障害以外の部分での職務適正をみたうえで細かくサポートしてくれたので感謝しています。(アンケート調査より)
諦めずに一緒に頑張ってくれた
30代女性 統合失調症 事務職
★★★★★5
精神障害なので最初はうまくいかなかったのですが、担当の方は明るく励ましてくれて支えになってくれました。途中で挫けそうにもなりましたが、諦めずに一緒に頑張ってくれたので無事に希望の仕事に就くことができたんだと思います。(アンケート調査より)
ランスタッドチャレンジの基本データ
タイプ転職エージェント
利用料金無料 ※障害者手帳が必要
対象・身体障害のある方(全国対応可能)
・精神障害のある方(一都三県のみ)
求人件数314件 ※障害種別の内訳は不明
運営会社ランスタッド株式会社(企業HP
Pマークあり(確認はこちら
公式サイトhttps://www.randstad.co.jp

※2023/3/1時点の数値

5位.エージェント・サーナ

エージェント・サーナは、創業から30年間、身体障がいや内部障がいを中心に、障がい者の転職支援を行い続けている特化型の転職エージェントです。

求人傾向としては、東京、埼玉、神奈川といった首都圏エリアの求人がメイン(全体の75%)で、事務職や営業販売職を中心に取り扱っている特徴があります。

また、求人情報を一般公開しておらず、保有求人の85%が完全独自案件とのことなので、ぜひ一度、どのような求人があるのか確認してみてください。

エージェントサーナの特徴
  • 身体障害・内部障害に特化
  • 事務職と営業販売職が中心
  • 首都圏メイン(愛知県や関西も対応)
  • 限定求人が85%を占めるとのこと

【公式】https://www.agent-sana.com/

◆利用した方の口コミ(一部抜粋)

担当が障害に詳しく話がスムーズ
30代男性 下肢障害5等級 事務職
★★★★★5
やはり障害者雇用となると一人ひとり身体の状態が違うのでなかなか理解してもらいにくいのですが、担当の方は事情に詳しくスムーズに話が進みました。さまざまな新しい情報が知れてよかったです。(アンケート調査より)
求人数が多く担当が配慮に詳しい
40代女性 聴覚障害2等級 事務職
★★★★★5
都心の求人数は多いように感じました。独自求人が多いとのことで、実際に他のエージェントにはないような会社も多かったような印象です。どこまで配慮してもらえるものかが気になっていたので、担当の方が詳しくすり合わせてくれて助かりました。(アンケート調査より)
きめ細やかなサポートが心強い
30代男性 内部障害1等級 事務職
★★★★★5
前の職場で勤務しながら転職活動を進めていたので、面接できる時間は限られていたのですが、うまくセッティングしてもらえました。職務経歴書の添削や面接対策など、きめ細やかなサポートが心強かったです。(アンケート調査より)
明るく根気強くサポートしてくれた
40代女性 下肢障がい6等級 事務職
★★★★★5
車椅子は利用していませんが下肢障害があるので通勤には負担がかかります。そのため、業種は問わずにテレワーク中心で働ける仕事を探していました。未経験業種なので最初は全然うまくいかなかったのですが担当の方が明るく元気づけ、根気強くサポートしてくれました。(アンケート調査より)
エージェントサーナの基本データ
タイプ転職エージェント
利用料金無料 ※障害者手帳が必要
対象地域関東(東京・神奈川・埼玉・千葉)
関西(大阪・京都・兵庫)・愛知
対象障害身体障害・内部障害、精神障害等
求人件数1,007件
※うち367件は精神障害者も応募可
運営会社株式会社イフ(企業HP
Pマークあり(確認はこちら
公式サイトhttps://www.agent-sana.com/

※2023/3/1時点の数値

よくある質問と回答/転職ノウハウ

最後にFAQ形式で転職ノウハウをまとめます。少しでも参考になれば幸いです。

▼障害者関連

▼転職エージェント関連

▼特例子会社関連

▼就労移行支援関連

▼その他

Q. 精神障害者の就職は難しい?

まだ難しいです。2018年の障害者雇用促進法の改正を機に、長期的には改善する見通しではあるものの、目に見えない障害である“精神障害”の就職は依然、難しさを抱えています

Q. 障害者手帳の種類は?

障害者手帳には「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。

  • 身体障害者手帳
    身体・内部障害のある方が取得可能
  • 療育手帳
    知的障害のある方が取得可能
  • 精神障害者保険福祉手帳
    精神・発達障害がある方が取得可能

参考:厚生労働省 障害者手帳

Q. 障害者枠と一般枠の違いは?

違いを表に整理しました。

障害者枠一般枠
求人数△少ない◯多い
給与△やや低い◯やや高い
定着率◯1年後継続率70%△1年後継続率30~50%

上記からわかるように、条件の良い求人は探しやすいが長期継続しにくいのが「一般枠」で、条件の良い求人は少ないものの長期継続しやすいのが「障害者枠」です。

障害の内容が仕事に支障をきたしにくく、リモートワークでストレスなく働けるような場合であれば一般枠で探しても問題はありませんが、それ以外であれば基本的には障害者枠をおすすめしています。

Q. 障害ごとで就職の難しさは違う?

一人ひとりの症状の種類や重さ、そして応募する仕事(給与水準)によるので、一概に断定することはできません。ただ、下記の“傾向”はあります。

障害別の就職難易度

内部障害・身体障害>>>発達障害・精神障害

身体障害や内部障害であれば、職場で必要な配慮がわかりやすく、業務に支障が出にくいので、障害者雇用枠を狙えば就職は難しくありません。

一方で、精神障害や発達障害は、症状が目に見えないために配慮がしにくく、身体障害者に比べると就職は難しくなります。

ただ、発達障害であれば、同じ「精神障害者保健福祉手帳」を持つ精神障害者(うつ病等の気分障害、統合失調症)と比べると、まだ配慮がしやすいので、就職しやすい傾向があります。

Q. 2018年の障害者雇用促進法の改正で何が変わった?

変更点は下記の通りです。

障害者雇用促進法の改正に伴う変更点

①精神障害者が「障害者雇用義務」の対象に加わる
②精神障害者の短時間勤務(週20~30時間)の雇用率算定方法が「0.5→1.0」に変更
③民間企業の法定雇用率が「2.0%→2.2%」に変更

※なお上記の「精神障害者」とは、精神障害者保健福祉手帳を所有する方を指すので、発達障害の方も含まれます

上記の変更(特に①②)に伴い、民間企業が精神障害者(発達障害含む)を雇用するメリットが増えたので、2018年を基点として障害者雇用がグッと加速する結果となりました。

▼雇用されている精神障害者(発達含む)の推移

厚生労働省 令和3年障害者雇用状況の集計結果より編集部作成
※雇用義務のある民間企業(43.5人以上規模)における雇用人数

上記グラフのように、厚生労働省が公開している最新情報(2021年時点)を見ると、2018年の障害者雇用法改正以降、急激に増加していることがわかります

Q. 障害者の面接でよく聞かれる質問は?

聞かれる質問は企業ごとに異なる傾向にありますが、障害者雇用では「長期的に就業し続けてくれること」が重要なので、下記は必ず確認されます。

  1. 就業意欲があるか
    例:なぜ働きたいのか、志望動機
    例:何を成し遂げたいか、ビジョン
  2. 就労準備ができているか
    例:勤務中の体調不良の対処方法
    例:自分の体調と管理方法を理解しているか
    例:自身で問題なく通勤可能か
    例:規則正しい生活、睡眠は食事はできているか
    例:支援機関がついているか
  3. 必要な配慮内容
    例:前職でストレスに感じたこと
    例:会社に配慮してほしいことは?
  4. 職務能力(できること、できないこと)
  5. 仕事における価値観、協調性

このように、障害者雇用枠の場合だと「長期継続」が求められるので、協調性があり安定して働くことができる状況かが重要視されます。

特に、IT関連や技術職に応募しない限り、そこまで求められるスキルは高くはない(事務職なら最低限のPC操作ができればOK)ので、安心してください。

Q. 特例子会社のメリットとデメリットは?

特例子会社のメリットとデメリットはそれぞれ下記の通りです。

特例子会社で働く“メリット”
  1. 配慮した環境が整っていて安定して働ける
  2. 周囲に障害者しかいないので居心地が良い
  3. 大企業傘下だと福利厚生が充実している
特例子会社で働く“デメリット”
  1. とにかく給料が低い
  2. 単純作業が多く、専門スキルが身につかない
  3. 他の様々な障がい者に配慮をする必要がある

このように、配慮が行き届いた環境で安定して働きやすい反面、給料が低くスキルが身につかないというデメリットがあるのが特例子会社です。

Q. 特例子会社と一般の障害者枠どっちがいい?

結論として、居心地の良い環境で安定して働きたいなら特例子会社障害が軽度で年収やスキルアップを諦めたくないなら障害者雇用枠がおすすめです。

  • 特例子会社がおすすめな人
    ①体調や働きやすさを重視したい
    ②給料を上げるよりも長期就業したい
    ③他の障害者と助け合って働きたい
  • 一般の障害者枠がおすすめな人
    ①専門分野でスキルアップしたい
    ②たくさん働いて年収を上げていきたい
    ③より仕事熱心な人と働いて刺激を得たい

特例子会社と障害者雇用枠のどちらで働くかによって「職場の居心地や働きやすさ」「年収やスキルアップのしやすさ」が変わるので注意しましょう。

特に、3級だと障害年金をもらえないので、特例子会社だと給料が低くて生活が厳しくなるかもしれません。現在、一人暮らししている(できるくらいに軽い)なら特例子会社はおすすめしません。

悩んだら、両方を受けてみた上で比較すると良いでしょう。実際のところ「就職して馴染めるか」は職場や上司との相性によるところが大きいので、自分の目で確認するのがベストです。

Q. 障害者ではなくても利用して良い?

不可です。

障害者枠求人は、障害者手帳を保有している方でないと就職することができないので、以下条件に該当する必要があります。

  • 現在すでに障害者手帳を保有している
  • これから障害者手帳を保有する予定がある

Q. 転職エージェントはなぜ無料?

転職エージェントで利用者が無料なのは、そもそも人材紹介業では利用者から金銭を取ることが法律で禁止されているからです。代わりに採用企業から報酬(年収の35%が相場)をもらっています。

Q. 転職エージェントの仕組みは?

転職エージェントは、採用企業に対して転職希望者を紹介することで、採用となった場合に成果報酬を受け取るビジネスをしている「人材紹介事業所」のことです。

そのため、転職希望者は無料で使うことができますが、転職エージェントにとってのクライアントはあくまで採用企業なので、信用しすぎないように注意してください。

転職エージェントにとって、クライアント企業は一度や二度ではなく長期的に取引をすることになるので、ビジネス構造上どうしても「転職希望者は商品」となります。

結果として、中には「転職希望者を騙してでもクライアント企業に入社させようとする」といった不誠実な対応をとる悪質なコンサルタントもいるので注意してください。

Q. 転職エージェントは複数利用すべき?

転職エージェントによって保有求人や対応の質が全く異なるので、比較するため、かつより多くの非公開求人を集めるためにも、必ず、複数利用すべきです。

Q. 転職エージェントは何社利用するのがいい?

結論、転職エージェントは「3社」利用することをおすすめします。

実際に、転職エージェント利用者向けのアンケート調査(有効回答数1,515件)でも、利用社数に応じて、転職活動における満足度が大きく変わり、以下のことが判明しています。

利用社数と転職成功率の統計結果
  • 1社だと、成功確率が低く、失敗確率が高い
  • 3社までは成功確率が上がり失敗確率も下がる
  • 4社以上利用しても3社とそう大きな差がない

▼利用社数と転職成功率の分布(有効回答数1,515件)

利用社数満足/成功普通不満/後悔
1社のみ66.5%
低い
24.5%
(-)
8.9%
高い
2社70.5%
(普通)
22.2%
(-)
7.3%
(普通)
3社74.3%
高い
20.6%
(-)
5.1%
低い
4社75.0%
高い
20.5%
(-)
4.5%
低い
5社以上74.0%
高い
22.0%
(-)
4.1%
低い

このように、1社のみを利用した場合に比べて、3社以上を利用することで、「満足した割合が10pt近く高くなる」「転職に不満を持っている割合が半分になる」といった差が出ています。

佐々木
ただ、4社以上利用してもあまり結果が変わらないのと、同時に多く併用すると連絡が大変になってしまうので、悩んだら「3社」をおすすめします!

Q. 転職エージェント利用のメリット

ここではうつ病、精神疾患をお持ちの方が転職エージェントを利用するメリットについて解説していきます。

ストレス要因に合わせて最適な求人を探してくれる

まず、あなたのストレス症状を理解したうえで、精神疾患を悪化させにくい最適な求人探しを手伝ってくれます。特に、精神疾患への理解がある職場はとても少ないので、自身で転職サイトから探すと時間がかかってしまうでしょう。

なにより、企業側が自ら求人掲載するタイプの転職サイトより、転職エージェントの方が多くの求人数を取り扱っている傾向にあるので、ずっと求人を見つけやすくなります。

企業にプッシュしてくれるので通過率が上がる

また、転職エージェントはあなたのことを企業側に推薦してくれるので、単純に選考通過率が上がるというメリットがあります。おそらく、一人で転職活動をしていると書類がほとんど通らないかと思いますが、エージェント経由なら2社に1社くらいは通る方が多いです。

選考通過率が上がる理由

エージェントは、求職者側からお金を取らない代わりに、求職者が内定したときに企業側から報酬をもらっているので、なんとしても内定させようと企業側に猛アタックしてくれるのです。

精神疾患の症状に寄り添った転職支援をしてくれる

また、症状に寄り添った転職支援(書類対策や面接練習)をしてくれるというのも、選考通過率が上がる理由の一つです。

転職エージェントは転職のプロでもあるので、書類や面接練習をしてもらうことで、内容がブラッシュアップされていきます。それこそ、うつ病を患っているとなると選考過程や質問内容がやや特殊なものになるので、相応の対策を受けることが大きなポイントになるのです。

実際、対策をしているかしていないかでは大きな差が出てしまうので、他のライバルに負けないようにするためにも、転職エージェントを有効活用するようにしてください。

Q. 転職エージェントの裏事情は?

ここでは、無料で利用できて求人紹介からサポートまでしてくれるエージェントの、利用する前に認識すべき裏事情について紹介していきます。

  1. ビジネス上、求職者は「商品」である
  2. 売れない商品に時間を割いてはくれない
  3. 障害者を欲しがるクライアントが少なくサポートしてもらえないケースがある

匿名だからこそ語れる裏事情を包み隠さず公開していきます。転職エージェント全般における一般論として参考にしてくださいね!

佐々木
元転職エージェントとしての筆者の経験を踏まえつつ、赤裸々に裏事情を解説していきます。

①ビジネス上、転職希望者は「商品」である

まず転職エージェントの仕組み(ビジネスモデル)ですが、以下のように、転職希望者を転職させることで、企業から採用報酬をもらっています。

その報酬は大まかに決定年収の30%前後と言われているので、年収400万円で転職させれば、120万円が成果報酬として支払われることになります。

そのため、転職希望者は、クライアント(採用に困って転職エージェントを利用している企業)に納品するための『商品』という考え方が、ビジネス上における正しい認識です。

特に、採用企業は報酬を支払ってくれて継続的に取引をすることになる相手ですが、転職希望者は一円も払わず一度しか利用(転職)しないので、どうしてもビジネス上の優先度は異なります。

佐々木
どんなに親身で優しいキャリアアドバイザーだったとしても、ビジネスとしての実態がある以上「商品」と認識している側面は、少なからずあるものです。

②売れない商品に時間を割いてはくれない

ビジネス上、転職希望者はクライアント企業に納品するための「商品」ですが、売れない商品に無駄に時間を割くことは、ビジネスにおいて賢い行動ではありません。

そのため、以下のような方は「売れない商品(転職できない求職者)」という烙印を押されてしまい、合理的なキャリアアドバイザーからは相手にされなくなります。

  • 希望条件の求人がほとんどない
    →納品できるクライアントがいない
  • 求職者の市場価値が低い
    →商品として売ることができない

そのため、転職エージェント側に「売れないな」と思われてしまったら、満足に案件紹介やサポートをしてもらえなくなってしまうので、注意してくださいね。

反対に「この転職希望者は売れる!」と期待をかけてもらえれば、たくさん求人を紹介してもらえて、内定するためのサポートも丁寧にしてもらえますよ!

佐々木
本来、市場価値の低くて自力での転職が難しい利用者にこそ、丁寧なサポートが必要なのですが、時間をかけられないジレンマがあるのです。

③障害者を欲しがる企業は少なく、サポートしてもらえないケースがある

障害者雇用制度」によって、大手企業を中心に障害者の雇用は進められているものの、それでもまだ障害のある方を採用したがる企業はそう多くありません。

実際、厚生労働省が令和2年に公開した調査でも、就職率(就職件数/新規求職申込件数)が42.4%と低く、就職したいが就職できていない方がまだ多くいる現状があります。特にコロナによる業績の悪化により、ますます就職が厳しくなっています(前年差-3.8pt)

そのため、「求職者に対して求人案件が足りていない(競争倍率が高い)」状況が続いてしまうので、企業側が欲しがるような人材でない場合、相手にしてもらえないケースがあります。特に、仕事に支障をきたしにくい身体障害であればまだしも、精神障害だと転職が厳しいのが現実です。

そのため、①②で説明したように、エージェントは就職できない可能性が高い利用者を相手にしないため、登録してもサポートしてもらえないことが頻発するのです。

佐々木
もちろん試す価値はありますが、サポートしてもらえない場合は就労移行支援やハローワークを利用するようにしましょう!

Q. 転職エージェントに登録したら会社にバレる?

転職エージェントに登録をしても、転職活動中であることが今の会社にバレることはまずありません。理由は以下の通りです。

登録しても今の会社にバレない理由

<理由①>
企業側は応募前の求職者情報を見れないため
└求職者の情報を見れるのはコンサルタントのみ
└本人同意なしで企業に個人情報は開示されない

<理由②>
転職エージェントが情報管理を徹底しているため
└情報漏洩は、会社の信用・ブランドが失墜する
└有料職業紹介事業の許可取り消しすらありえる

<理由③>
各コンサルタントが最大限注意しているため
└そもそもあえて情報を漏洩するメリットがない
└漏洩のデメリットが大きすぎる(懲戒処分)

特に転職エージェント側の管理不足によって個人情報が漏洩した場合、有料職業紹介事業の許可を取り消されるリスクすらあるので最大限注意されています。

転職エージェント事業所の情報管理の取り組み
  • 盗難の防止策
  • 事業所への入退室の管理
  • 個人情報の移送や送信時のリスク対策
  • 個人情報保護の社内マニュアル/ルール

ただ、転転活動をする際には、以下のような点に注意をしないと、今の会社にバレる可能性があるので注意していきましょう。

転職活動をする時の注意点
  • 職場では話さない、同僚には話さない
  • 社内PC、アドレスを使って登録しない
  • 会社のカレンダーに面接予定を記載しない
  • 企業スカウトありの転職サイトに注意する
  • Facebookで担当者と繋がるときは注意する
  • 面接と同僚の営業訪問がかぶっていないか確認

Q. 転職エージェント利用の流れ

基本的にどの転職エージェントも上記の手順を踏んでいくことになりますが、特に重要なのが初回面談です。今後紹介していく求人の内容をすり合わせる場になので、希望条件や譲れない条件などは事前に整理してしっかりと伝えるようにしましょう。

また、面談は一度限りではなく、必要に応じて随時頼むこともできるので、書類添削や面接対策などをしてほしければ積極的に依頼するようにしてください

Q. 転職エージェント活用ポイント

転職エージェントを利用する流れの中で、効果的に活用するためのポイントを整理すると、以下のようになります。

  1. 応募フォームから登録・申し込み
    ・転職エージェントは複数登録する
    ・事前に転職活動用のメールアドレスを作る
  2. 担当コンサルタントと面談
    ・事前に経歴と希望条件を整理しておく
    ・経歴を盛るとしても嘘にならない程度に
    ・担当者と合わなければ担当変更を依頼する
    ・その後コンサルタントにはこまめに返信する
  3. 選考対策(書類添削、面接練習)
    ・自分から依頼する
    ・面接の想定質問を事前に聞いておく
    ・フィードバックが少ない担当は変更する
  4. 求人紹介、応募
    ・応募時の推薦文を必ず確認する
    ・応募企業の業界内での立ち位置を聞く
    ・むやみやたらに求人へ応募しない
    ・その企業を退職した人から一次情報を集める
  5. 面接、選考フィードバック
    ・その企業でされやすい質問を聞く
    ・その企業に聞くべき逆質問を聞く
    ・選考で見送りになったら対策を依頼する
  6. 内定、入社前後の最終調整
    ・妥協しない
    ・言いなりにならず自分で決める

Q. 特例子会社ってどれくらいあるの?

2021年時点で562社あります。

出典:厚生労働省 障害者雇用状況の集計結果(令和3年)

Q. 特例子会社はどのような障害者が多い?

多い順に、知的障害(52%)、身体障害(29%)、精神障害(19%)となります。

出典:野村総合研究所(2018年12月)

Q. 特例子会社のメリットとデメリットは?

特例子会社のメリットとデメリットはそれぞれ下記の通りです。

  • 特例子会社で働くメリット
    ①配慮した環境が整っていて安定して働ける
    ②周囲に障害者しかいないので居心地が良い
    ③大企業傘下だと福利厚生が充実している
  • 特例子会社で働くデメリット
    ①とにかく給料が低い
    ②単純作業が多く、専門スキルが身につかない
    ③他の様々な障がい者に配慮をする必要がある

このように、配慮が行き届いた環境で安定して働きやすい反面、給料が低くスキルが身につかないというデメリットがあるのが特例子会社です。

Q. 特例子会社と一般の障害者枠どっちがいい?

結論として、居心地の良い環境で安定して働きたいなら特例子会社障害が軽度で年収やスキルアップを諦めたくないなら障害者雇用枠がおすすめです。

  • 特例子会社がおすすめな人
    ①体調や働きやすさを重視したい
    ②給料を上げるよりも長期就業したい
    ③他の障害者と助け合って働きたい
  • 一般の障害者枠がおすすめな人
    ①専門分野でスキルアップしたい
    ②たくさん働いて年収を上げていきたい
    ③より仕事熱心な人と働いて刺激を得たい

特例子会社と障害者雇用枠のどちらで働くかによって「職場の居心地や働きやすさ」「年収やスキルアップのしやすさ」が変わるので注意しましょう。

悩んだら、両方を受けてみた上で比較すると良いでしょう。実際のところ「就職して馴染めるか」は職場や上司との相性によるところが大きいので、自分の目で確認するのがベストです。

Q. 特例子会社はなんでそんなに給料が低いの?

特例子会社の給料が低い理由は、下記の通りです。

  1. 市場価値の低い仕事が多いため
    誰でもできる単純作業ばかりなので給料はでません
  2. 事業として利益が出ていないため
    給料は利益から決まるので、利益が少ないと給料が出ません
  3. 低い給料でも障害者が応募するため
    特例子会社は人気なので給料を上げる理由がありません

Q. 就労移行支援とは?

就労移行支援とは、一般企業での就職を目指している障害者の方向けに、就労準備やスキルアップ、職探しを手助けしてくれる福祉サービスのことです。

佐々木
言い換えれば、障害のある方が就職するための“学校”のようなものですね!

就労移行支援で受けられるプログラムには、下記のようなものがあります。

就労移行支援事業所のプログラム一覧
  1. 就労準備
    • 生活のリズムや体調管理
    • 障害への自己理解を深める(重要!!
  2. スキルアップ講座
    • 基礎スキル(コミュニケーション等)
    • 専門スキル(職業ごとの実践的訓練)
  3. 就職活動の支援
    • 書類作成や面接練習
    • 障がい者向け求人の紹介
佐々木
就労移行支援には「なにを指導すべき」という具体的なルールが存在しておらず、事業所によって得意としている障害や、訓練できる職種がバラバラなので、詳しく確認することをおすすめしますよ!

Q. 就労移行支援を利用するまでの流れは?

下記の流れで利用できます。

  1. お問い合わせ
  2. 無料見学・面談
  3. 無料体験
  4. 利用申請手続き(受給者証発行)
  5. 利用開始(利用できるのは2年間まで)

ちなみに、お問合せから利用開始までは、長くても1~2ヶ月です。

Q. 就労移行支援の料金は?

おおむね1日あたり500~1,200円(事業所による)ですが、前年度の世帯年収によって上限額が設定されており、9割以上の方が無料で利用しています

なお「世帯年収」とは、本人と配偶者の金額の合計であり、親の収入は換算されません。

世帯年収の目安負担上限
生活保護生活保護受給世帯
(~約156万円)
0円
低所得市町村民税非課税世帯
(約156~約300万円)
0円
一般1約300~約600万円9,300円/月
一般2約600万円以上37,200円/月

出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」

言い換えると、下記のようなイメージです。

  • 無料で利用できる方
    • 生活保護を受けている人
    • 昨年ほとんど働いていなかった人(独身)
    • 昨年ほとんど働いていなかった人(配偶者が年収300万円以下)
  • 料金が発生する方
    • 昨年フルタイムで働いていた人
    • 配偶者が年収約300万円以上の人

実際にいくらかかるかは、事業所で確認してみると良いでしょう。

Q. 就労移行支援の利用条件は?

下記の3つの条件を満たしている方が対象になります。

  1. 18歳〜65歳未満の方
  2. 身体・知的・精神障害や難病のある方
  3. 企業等での就労または開業を希望する方で、就労が可能と見込まれる方

利用するときには、障害福祉サービス受給資格を取得する必要があるので、障害者手帳がない場合は医師の診断書が必要になります。(※障害者手帳がなくても利用可能です。)

お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に問い合わせてみてください。もしわからなければ、就労移行支援事業所のスタッフが詳しく解説してくれます。

Q. 就労移行支援に向いている人は?

下記に該当するのであれば、就労移行支援の利用をおすすめします。

  1. 今すぐの就職に自信がない
    • 週4~5勤務は自信がない
    • 1日8時間働くのは厳しい
  2. 障害特性や配慮事項が明確でない
  3. 職業訓練でスキルアップしたい

悩んだら、一般企業や就労移行支援までを幅広く紹介しているエージェント(LITALICOdodaチャレンジatGPなど)に相談してみると良いでしょう。

Q. 就労移行支援に向いていない人は?

下記に該当するのであれば、就労移行支援を使うべきではありません。別のサービスを利用するようにしましょう。

  1. 今すぐ就職できる体調やスキルがある
    →転職エージェントを利用しよう
  2. 安定して通所し続けることができない
    →自立訓練を利用しよう

悩んだら、就労移行支援から自立訓練までを幅広く紹介している大手のLITALICOに相談してみてくださいね。

Q. 就労移行支援と転職エージェントの違いは?

障害者が利用できる就職支援サービスには「就労移行支援」と「転職エージェント」の2種類があります。それぞれの特徴は下記の通りです。

就労移行支援とエージェントの特徴
  • 就労移行支援
    • 就労に向けたトレーニングが中心
    • 就労できる準備が整っていない方向け
    • フルタイム勤務に自信がない方におすすめ
  • 転職エージェント
    • 求人紹介と選考サポートが中心
    • 就労できる準備が整った方向け
    • 障害が軽度の方におすすめ

このように、就労できる自信がない方向けにリハビリをおこなうのが就労移行支援で、就労できる準備が整った方向けに就職支援をするのが転職エージェントです。

詳しいサービス内容の違いを表で整理しました。

就労移行支援エージェント
説明会や見学会◯あり×なし
体調管理トレーニング◯あり×なし
スキルのトレーニング◯あり×なし
求人紹介◯あり◎多い
書類作成サポート◯あり◎強い
面接練習サポート◯あり◎強い
入社時の条件交渉×なし△会社次第
入社後の職業定着支援◯あり△浅い

このように、就労移行支援は満遍なくサポートを受けることができる一方で、転職エージェントは求人紹介と転職支援に特化していることが大きな違いです。

もちろん併用することが可能なので、自信がない方は、まずは就労移行支援を利用してリハビリしつつ、慣れてきたら転職エージェントも登録して効率的に就職活動をおこなう、といった使い方もできます。

Q. そもそも仕事の選び方を知りたい

仕事の選び方は、以下の3ステップを順に進めながら選びましょう。

仕事の選び方(3ステップ)
  • Step1. 視野を広げて情報収集する
  • Step2. 自分が大切にしたいものを知る
  • Step3. 仕事を比較して選択肢を絞り込む

詳しくは以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください!

今後のキャリアについて徹底的に考えたいなら、ポジウィルキャリアのようなキャリアコーチングサービスを利用するのも一つの手です。

初回の45分相談は無料で受けることができるので、ぜひ一度、どういったサービスを受けることができるのが相談してみましょう。

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Q. 給与交渉はして良い?

問題ありません。むしろ市場価値が高いのであれば積極的にすべきです。ただ、交渉方法やタイミングを間違えてしまうと心象が悪くなってしまうので注意しましょう。