将来の夢がないときの全対策|無理に作る必要はない理由を解説

「将来の夢がない、、、」「どうやって見つければいいのだろう」と悩みますよね。

私も「将来の夢はなんですか?」と聞かれるたびに違和感を感じ、なんて答えるのが正解なんだろう、と考えを巡らせたものです。

このページでは、将来の夢がなくて悩んでいる方に向けて、夢がなくても良い理由と対処法について解説していきます。

この記事を書いた専門家
佐々木
佐々木
東証プライム上場企業の管理職。企業側として新卒・中途採用をしている経験と、自身が転職した体験談から記事を執筆。

将来の夢はなくても良い

まず結論として、将来の夢がなくても無理に作る必要はありません。少なくとも”夢はあるべき”という固定観念に屈して自分自身を騙すのはやめてください。

漫画やアニメでも「夢や目標に向かって頑張り続けること」が美談として語られるケースが多く、小さい頃から「将来の夢は?」と、まるで夢があることが当たり前かのような教育が行われているので勘違いされやすいのですが、夢は必要ありません。

心にない夢を掲げて自分を騙す方が恥ずかしい

夢が必要だと勘違いしているせいで、就職活動になった途端、急に「貧困をなくしたい」「◯◯で人々を幸せにしたい」と語る人々が増殖します。

しかし、本気で考えていないので、夢が叶うまでの道筋を具体的に言語化することができず「どうしたら理想が実現するのか」「自分の人生をどう使うのか」が曖昧なことがほとんどです。

むしろ恥ずべきは、本心で納得していないのに、”夢はあるべき”という固定観念に屈し、自身を騙してしまうことではないでしょうか。自分を曲げてまで、ない夢を作る必要はありません。

予測できない未来を深く考えても仕方がない

そもそも未来のことは予測できないので数年先まで考えても仕方ありません。なにより「専門家の予想ですらほとんど外れている」という残酷な統計があります。

実際、心理学者フィリップ・テトロックの調査では、1980年~2000年でされた専門家の予測(3万件近く)はほとんどが外れていました。

さらに2011~2015年の追加調査でも、予測が当たるのは1年先が限界で、5年先になると全く当たらないとされています。(出典:21世紀の啓蒙 上: 理性、科学、ヒューマニズム、進歩 (草思社)

このように、専門家ですら未来の予測精度が当てずっぽうレベルということを踏まえると、一般人である我々が、遠い未来を思い描いても仕方ないような気もします。

将来の夢がないことは至って自然

「将来の夢がないこと」を真面目に深く悩む必要はありません。それが普通なので安心してください。本気で叶えたい夢がある人間は5%もいないと思います。

  • 幸せになりたい
  • 今より良い生活をしたい
  • 死ぬ時に後悔がないようにしたい
  • 結婚して幸せな家庭を作ってみたい

みんなこれくらいの漠然とした将来像です。ほとんどの人間は、なんとなく日々を生きて、小さな幸せを味わいながら歳を取り、偉業なんて成さずに人生を終えます。それで良いのです。

夢を維持することは難しいので、ないのが自然

そもそも同じ夢を持ち続けられるのは、ほんの一握りの「才能ある人」だけです。どんなに努力を重ねても届きそうにない目標に、向かい続ける人はいません。

興味の対象を成し遂げるまでのプロセスが、自分の能力やスキルに合致していないと、不安や挫折、あるいは退屈さを感じて、自然とやめてしまうものです。

  • 医者になりたいけど、勉強が苦手
  • スポーツ選手になりたいけど、運動音痴

といったように、たいていの人は「やりたい!」と憧れはありつつも、自分の能力に限界を感じ、諦め、挫折を繰り返していきます。夢を夢のまま追い続けられるのは、才能と機会に恵まれたごく一部の人だけです。

いま将来の夢がないのは、経験不足だから

あなたにいま、将来の夢がない理由は、単純に「経験不足」です。本当の夢は、可能性の芽が閉じて収束していく段階でしか見つかりません。

様々な物事と出会い、合う合わない、できるできないといった試行錯誤を繰り返し、自分にはこれがピッタリだ(これしかない)と思える事柄と出会ってからでないと、本当にやりたいと思えるものは見つかりません。

反対に、小さい子どもが夢を掲げやすいのは、まだ脳が発達途中で無知だからです。自分に今後どのような選択肢があるのかを知らず「いま見えている世界がこの世の全てだ」と信じるからこそ、自信満々に語れます。

実際、ほとんどの子どもは、夢を聞かれると「職業」を答えます。しかし、おそらく幸せになるために「働くこと」が必要な人間はほとんどいないでしょう。

将来ではなく”今をどう生きるか”が重要

変化が激しい現代においては、いま見えている世界から「将来のこと」を決めてしまうのではなく「今を全力で生きること」の方がずっと重要です。

事実、有名なキャリア理論「計画された偶発性理論」においても、個人のキャリアの8割は偶発的な出来事で決まるとされています。過去に決めた”夢”ではありません。

そして、キャリアを良い方向に導く出来事は、5つの行動特性(好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心)で呼び込めるとされています。たとえ現時点で夢や目標がなくても”今を集中して生きる”ことで、いつか遠くない未来で意味を成すことが説かれているのです。

補足:スティーブ・ジョブズのスピーチ

スタンフォード大学の卒業式スピーチにて、スティーブ・ジョブズが取り扱った有名な話を紹介します。Connecting the dots(点と点が繋がる)。つまり過去の経験が、未来のどこかで、その当時は思いもよらなかったことに繋がっている状況を指しています。

引用:Text of Steve Jobs’ Commencement address (2005) |STANFORD UNIVERSITY

自分の興味の赴くままに潜り込んだ講義で得た知識は、のちにかけがえがないものになりました。たとえば、リード大では当時、全米でおそらくもっとも優れたカリグラフの講義を受けることができました。キャンパス中に貼られているポスターや棚のラベルは手書きの美しいカリグラフで彩られていたのです。

退学を決めて必須の授業を受ける必要がなくなったので、カリグラフの講義で学ぼうと思えたのです。ひげ飾り文字を学び、文字を組み合わせた場合のスペースのあけ方も勉強しました。何がカリグラフを美しく見せる秘訣なのか会得しました。科学ではとらえきれない伝統的で芸術的な文字の世界のとりこになったのです。

もちろん当時は、これがいずれ何かの役に立つとは考えもしなかった。ところが10年後、最初のマッキントッシュを設計していたとき、カリグラフの知識が急によみがえってきたのです。そして、その知識をすべて、マックに注ぎ込みました。美しいフォントを持つ最初のコンピューターの誕生です。

もし大学であの講義がなかったら、マックには多様なフォントや字間調整機能も入っていなかったでしょう。ウィンドウズはマックをコピーしただけなので、パソコンにこうした機能が盛り込まれることもなかったでしょう。もし私が退学を決心していなかったら、あのカリグラフの講義に潜り込むことはなかったし、パソコンが現在のようなすばらしいフォントを備えることもなかった。

もちろん、当時は先々のために点と点をつなげる意識などありませんでした。しかし、いまふり返ると、将来役立つことを大学でしっかり学んでいたわけです。

繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。

だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。

引用: 「ハングリーであれ。愚か者であれ」 ジョブズ氏スピーチ全訳|日本経済新聞

彼が説いているのは、今やりたいことに全力を注げ、ということです。今を全力で生きているからこそ、次に活かせる学びに繋がり、過去やったことが思わぬ形で繋がってくるのです。

将来の夢がなくて困ったときの対策

もし、将来の夢を聞かれて困ったら、下記のように答えましょう。いくつかのパターンを出しておきます。

  1. まだないので探し中です!
  2. 幸せになること
  3. 死ぬときの後悔を少しでも減らすこと
佐々木
いくつか組み合わせて使うのも有効です。それぞれ具体的に解説していくので、ぜひ活用してみてくださいね。

①まだないので探し中です!

まず、おすすめなのが「まだないので探し中です!」と答えることです。夢を見つけたいが、まだ見つけられていない。そして、自分が生涯かけて成し遂げたい事を見つけたい!と目をキラキラさせてアピールしましょう。

  • 本気で熱くなれる夢が欲しい!
  • でも、まだ見つけられていない><
  • だから、色々挑戦して見つけていきたい!
  • 皆さんの熱い夢の話を聞かせてください!

上記のような流れで答えれば、無難に回避できます。もともとの質問(将来の夢は何か)には回答していませんが、ないものはないので仕方ありません

「ありません」と端的に回答するよりずっとマシです。「探し中」と前向きに回答したうえで、「聞かせてください」と他者に焦点を替えることができれば、うまく逃げられます。

おすすめポイント
  • 夢信者を敵に回しにくい
    • 夢の必要性に同調する姿勢を出せる
    • 話を聞かせてください!で好感度UP
  • 周りに応援してもらいやすい
    • 素直に悩んでいるアピールで好感度UP
    • やってみない?と誘いをもらえることも

下手に理屈を捏ね回さないので、一番丸くおさまる方法かもしれません。どのようなシーンでも使えます。

佐々木
まだ見ぬ冒険にワクワクしている少年少女のように、美味しいご飯やスイーツを探す時のようなテンションで、楽しそうに話すことがポイントです。あなたの演技力に期待しています。

②幸せになること

次に、「幸せになること」と回答するのもありです。どうしても何かしら答えなくてはならない環境に追い込まれたら使いましょう。幸せになりたくない人間はいないので、間違いではありません。

ただ、当たり前の大前提なので、「幸せになることです。以上。」だけだと面白くはない(シラける可能性がある)ので、『自分が何に幸せを感じるのか』を細分化、言語化できるとベストです。

それこそ人間は、欲求が満たされたときに幸せを感じるので、三大欲求と絡めて回答するのもよいですし、欲求のフレームワークとして代表的なマズローの欲求5段階説を用いるのも良いでしょう。

引用元:マズローの5段階欲求とは

「マズローの欲求五段階説」とは、人間には五段階(+自己超越)の欲求階層があり「1つ下の欲求が満たされると、次の欲求を満たそうとする」とした理論です。例えば、ご飯がなくて餓死しそうな時に「友人が欲しい」とか「尊敬されたい」とは思いませんよね。

佐々木
ちなみに、私は就活の時に「自分はまだ、将来の夢(自己実現や自己超越)を抱けるほどには、低層の欲求が満たされていないので、少しずつ成長しながら満たしていきたいです!」といったことを話していました。ぜひ使ってください!

③死ぬときの後悔を少しでも減らすこと

また「死ぬときの後悔を少しでも減らすこと」というのもおすすめです。意外と他者から共感されやすいので、よく使っていました。人間はどうせ後悔する生き物なので全部なくすことは難しいですが、減らしていくことはできるでしょう。

いくつか統計が取られているので下記に紹介していきます。ピンとくるものがあれば使ってください。いずれもランキング1位から順に記載しています。

書籍①死ぬ瞬間の5つの後悔
  1. 自分に正直な人生を生きればよかった
  2. 働きすぎなければよかった
  3. 思い切って自分の気持ちを伝えればよかった
  4. 友人と連絡を取り続ければよかった
  5. 幸せをあきらめなければよかった

出典:死ぬ瞬間の5つの後悔(ブロニー・ウェア/著 、仁木めぐみ/訳)

上記では、自分の気持ち(願望)に素直になればよかった、といったものが多い印象ですね。もう一件、別の書籍から統計を見てみましょう。

書籍②死ぬときに後悔すること25
  1. 愛する人に「ありがとう」と伝えなかったこと
  2. 美味しいものを食べておかなかったこと
  3. 自分の生きた証を残さなかったこと
  4. 自分のやりたいことをやらなかったこと
  5. 行きたい場所に行かなかったこと

出典:死ぬときに後悔すること25(著)大津 秀一(新潮文庫)

これらは、あなたとは世代の違う方々が、老人になってからした回答なので、あなたが死ぬときに同様の感情を抱くかはわかりませんが、少しは参考になるはずです。

そして「自分の場合、どんな後悔をしたくないだろう」と考えることで、あなたが大切にしたい価値観が見えてきます。納得できるまで考えてみてください。

将来の夢がない場合の進路選択

将来の夢が明確にある場合は、それが叶えられる確率が高い進路を選びましょう。ただ、将来の夢がなければ、やりたいことが見つかったときに切り替えやすい進路を選ぶことをおすすめします。

  1. 高校の文理選択
  2. 大学選び、学部選択
  3. 就職活動、転職活動
佐々木
それぞれのケースで簡単に説明していきますね!少しでも参考になれば嬉しいです。

①高校の文理選択

結論として、理系就職(専門職や研究職など)に現時点で惹かれているなら理系。それ以外なら文系をおすすめします。つまり、将来の夢がないなら文系一択です

なぜなら、文系のほうが、やりたいことができたときに時間が制約されないからです。二倍の差があった記憶です。

  • 理系:研究や実験で時間がない
  • 文系:時間があるので挑戦しやすい

大学4年間はある意味、一番自由な期間です。アルバイトや長期インターン、留学にボランティア、サークルなど、社会人になる前に自分が挑戦したいことができるようになります。悩んだら、可能性が広がる方向、自由が得られる道へ進んでください

佐々木
いま振り返ると、大学生のときに時間を有効に使えたので、文系学部に進んで本当に良かったと思っています。当時は理系科目が得意だったので理系を選択したのですが、文系選択にすべきでしたね。

②大学選び、学部選択

自身が将来やりたい仕事があるなら、それが叶う学部を選ぶべきです。ただ、それ以外ならブランド力と入りやすさで選びましょう。難関大学でも、学部によっては偏差値が低いことがあるので、興味のない学部でも狙うことをおすすめします。

なぜなら日本は学歴社会だからです。大学ブランドが、就職活動をはじめとした今後の人生に大きく響きます。それこそ文系なら、どうせ授業で学ぶことはないので、学部はどこでも同じです。ブランド力で選んでください。

佐々木
体感として、ほとんどの文系大学生は、学部と関係のない進路に進みます。授業で学ぶことはないのでどこでも良いと思います。それくらい自由です。

③就職活動、転職活動

就職活動で将来の夢がない場合は、いま興味を持てる仕事を選ぶようにしましょう。どのような仕事があるのかをトコトン探せば、興味を持てる仕事は必ずあります。

仕事を選ぶときは、視野を広げて「どのような仕事があるのか」を知り、徹底的に比較しながら、選択肢を狭めていくことが重要です

仕事の選び方(3ステップ)
  • Step1. 視野を広げて情報収集する
    1. 最低限譲れない条件で求人サイトを見る
    2. 興味のある分野でさらに情報を収集する
  • Step2. 自分が大切にしている軸を知る
    1. 自身の理想を考える
    2. 統計的に重要な項目で考える
    3. 自己分析ツールを使ってみる
    4. キャリアカウンセリングを受ける
  • Step3. 仕事を比較して選択肢を絞り込む
    1. 事前に調査できることは調査する
    2. 事前調査してわからないことは直接聞く
    3. 余裕があれば実際に職業体験する

最後に|いま夢中になれることをしよう

夢や大きい目標を持つことが美徳と盲信されている現代だからこそ「将来の夢がないこと」で悩んでしまう、あなたの心のモヤモヤを、この記事が少しでも晴らせたら幸いです。

たとえ、現時点で夢や目標がなくても、無理に作ろうとせず、いつか遠い未来で点と点が繋がることを信じて、常に今を全力で生きてください。

いま興味があることに全力を尽くしましょう。ありもしない空虚な夢ではなく、今この瞬間を一生懸命駆け抜けることに命を燃やしましょう。

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佐々木
佐々木
東証プライム上場企業の管理職。企業側として新卒・中途採用をしている経験と、自身が転職した体験談から記事を執筆。