中途採用の給与の決め方4パターン|上場企業部長が解説

中途採用はスキルや経歴がバラバラなので、適切な給与の決め方に悩まれる方は多いです。少なくとも、本人が納得して、現場社員の不満にならないようにしなくてはなりません。

そのためには「同一労働同一賃金(職務範囲が同じであれば、同一の賃金が支払われるべき)」という考え方にあるように、職務と給与には整合性が取れ、かつ公平性が保たれている必要があります。

この記事を書いた専門家
佐々木
佐々木
三度の転職経験(年収500→730→950→1200万円)で転職サービスを使い倒し、現在は事業部長として新卒・中途採用に注力。自身の転職経験と企業目線の両軸からポジショントーク抜きの本質的な情報発信にこだわっている。

中途採用の給与オファー額の決め方

ここでは中途採用でのオファー額の決め方を説明していきます。

転職のオファー年収を決める4要素
  1. 自社給与テーブルから決める
  2. 競合企業のオファー額以上にする
  3. 候補者の前職給与を参考にする(前職考慮)
  4. 採用して得られる利益を考える(原価的な考え方)

①自社給与テーブルから決める

中途採用のオファー金額を決める上で、一番主流な決め方なのが「自社の相場(給与テーブル)」によって決めるというものです。期待される役割によって給与が決まる「ミッショングレード制」で給与テーブルを定義していきましょう。

<例:給与テーブル>

等級役職給与ベース
5役員800万円~
4部長600~800万円
3課長・マネージャー500~600万円
2主任・リーダー400~500万円
1一般スタッフ300~400万円

ただ、自社の給与テーブルが低く設定されている場合、優秀な人材を確保しにくくなってしまうデメリットがあります。それこそ上の例の場合、課長職でも上限が600万円と低いので、優秀な人材は採用しにくくなってしまいます。

例外は賞与やSOで融通を効かせよう

月額支給額は、給与テーブルから大きくずらすことはできませんが、「賞与」や「SO(ストックオプション)」であれば経営陣の采配で柔軟に支給することができます。

それこそ、前職の給与が高い中途の候補者を採用したいとき、月額支給の給与だとやや下がってはしまうものの、年収だと同水準になるようにオファーを出すことが可能です。

②競合企業のオファー額以上にする

オファー年収を決める要素として「業界や競合他社の給与水準」の理解も欠かせません。なぜならスキルや経験の”市場価値”で年収が決まるからです。

それこそ、どの企業も高い年収でオファーを提示しているのに、自社だけ低い年収で募集を出しているようなでは、優秀な人材は集まりません。少なくとも業界の主要プレイヤーの相場以上にはしましょう。

③転職前の給与と比較(前職考慮)

前職の給与」も参考になる要素です。特に、転職後の慣れない仕事と給与減額のダブルパンチでパフォーマンス低下が懸念されるので「年収は下げない」が基本です。

参考|クレスピ効果

これまで一定だった報酬が少しでも下がると、それ以上にモチベーションが下がる心理効果

なにより多くの方の転職理由(本音)は「年収アップ」が多いので、年収が上がらないと辞退される可能性があります。これではせっかくの機会を逃しかねません。

④採用して得られる利益を考える(原価的な考え方)

やや特殊な事例ですが、中途候補者を採用することで得られる利益の額が大きく、確実性が高い場合には、原価的な考え方で、転職後の給与を優遇した方が良い場合があります。

例えば、候補者がコンサルや代理店勤務でいくつかの太客を担当していて、転職するときにその顧客を引っ張ってこれる場合、採用するメリットは大きくなります。

カモがネギを背負ってきたようなものです。仮に、中途転職者が顧客を引っ張ってくることで得られる利益が3億円あるなら、中途転職者に賞与を2億円出しても、自社側に1億円残ります。

採用面接から給与決定までの流れ

ここでは面接から給与決定までの流れをご紹介します。給与は、企業側にとってはあくまで「人件費」かもしれませんが、求職者にとっては生活がかかっている大事なお金です。透明性や公平性を確保するのはもちろん、誠意を持って説明することが今後の信頼関係を築く上でも重要になります。

Step1.面接時に現職給与や希望は丁寧に確認する

まずは面接時に、現職給与の水準と希望を確認しましょう。もちろん希望は「高ければ高い方がいい」ですが、転職するしないを決める最低希望額はあるはずです。

また少なくともほとんどの方は、前職から下がらない給与を希望することが多いので、その場合は、年収を下げない前提で面接し、採用可否を決める旨を伝える必要があります。

Step2.オファー面談で、オファー内容や昇給基準を伝える

次に、内定を出すことを決めたらオファー面談をおこない、報酬や昇給基準を伝えるようにしてください。たとえ現職や他社オファーに条件が負けていたとしても「評価の透明度が高く、昇給しやすい」と思ってもらえれば選んでもらえる可能性が高まります。

絶対に避けるべきは「社外秘だから」と評価や昇給基準を伝えないことです。転職する動機は夢や希望に満ちているかもしれませんが、社会人である以上、生活がかかっているので、聞かれなくとも伝えてください。

Step3.オファー条件を「内定通知」として送付する

最後にオファー条件を内定通知として『すぐに』送付するようにしましょう。「オファー面談で条件を伝えたから大丈夫だ」と後回しにする方が多いですが、求職者にとって生活がかかっているので、書面でスピード感を持って対応することが信頼につながります。

また、一般的には回答期限を切って送ることが多いですが、こちらから一方的に指定せずに、相手の都合を聞いたうえで設定すると良いでしょう。採用したいのはわかりますが、一方的な対応をとると信頼を失い、入社の意欲がグッと低下するものです。(実体験)

中途採用の給与を決める際の注意点

試用期間を評価期間として給与を決定する

面接という短い期間では給与を決めることが難しければ、試用期間を評価に使い、試用期間終了後に改めて正式に給与を提示する方法もあります。

この場合、企業側にとって「能力に見合わない給与を支払続けること」を防ぐことができ、中途入社側にとっても「自分の能力次第で給与は維持される」ので納得してくれる可能性もあります。

ただこのような方法をとる場合、オファー面談の段階(内定通知書を送る前)で、しっかりと説明し、内定者の了承を得ておくようにしましょう。また基本的には「維持」か「下がる」ものだと認識されるので、評価基準をすり合わせることも重要です。

就業規則、給与規定に明記する

給与に関する事柄(昇給や降格、賞与について)は必ず、就業規則や給与規定といった、従業がいつでも見れるような形で用意しておきましょう。特に、入社直後は給与支給のアレコレがわからないので、気になって見にいくものです。

一定の給与が安定して支給され続けることは、従業員が安心して労働し続けるための前提になっているので、不安にならないように透明性のある形で用意しておくようにしましょう。

公平性を保ち、不満が生じないようにする

給与の公平性が保たれないと不満につながるので注意しましょう。実際、自身より職務能力が劣っている中途入社の方が、より高い給与をもらっていると強い不満を生むものです。

おそらく役割に応じた給与設計(ミッショングレード制)を取られているかと思いますが、中途入社者が入る際には、既存の従業員に「なぜその方をその役割で採用したのか」を説明する必要があります。

まとめ

ここまで中途社員の給与の決め方について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。高い給与を出すことも重要ですが、それ以上に透明性や公平性が重要になります。

特に、中途採用はスキルや経歴がバラバラなので、適切な給与を決めるのは難しいですが、社内規定に照らし合わせて柔軟に対応し、採用力を強めてください。

この記事を読んだあなたの人生がより豊かなものとなることを祈っております。