権威効果とは
権威効果とは、『地位』や『肩書き』といった権威的特徴によって、その人物や発言内容に対する評価が高く歪められてしまう心理効果のことを指しています。
権威効果の例
- 社長が言うから、間違いない
- 医師が監修しているから、この記事は正しい
- あの芸能人がオススメしているから、良い商品に違いない
つまり、『何を言ったか』ではなく『誰が言ったか』が大事なのです。
このように、権威がある地位や肩書きによって、評価が歪められてしまう心理効果を『権威効果』と呼びます。詳しくみていきましょう。
権威効果の事例:広告のキャッチコピー
権威効果は、広告のキャッチコピーによく活用されています。
というのも、とある商品を売る際に、権威のある人や著名人の名前を使うことで、商品の魅力を増す効果に期待できるためです。
通常 | ⇔ | 『権威効果』を用いたキャッチコピー |
「ファッション性の高いスニーカー」 | ⇔ | 「あの有名選手が使用しているスニーカー」 |
「10代にぴったりのワンピース」 | ⇔ | 「アイドルグループ○○着用のワンピース」 |
「質の良い高級茶葉」 | ⇔ | 「イギリス王室御用達の由緒ある茶葉」 |
「有名なブランドです!」 | ⇔ | 「ファッション雑誌△△で紹介されました!」 |
「知る人ぞ知る隠れ家レストラン」 | ⇔ | 「芸能人の□□さんがお忍びで訪れる隠れ家レストラン」 |
「キレイになれる美容化粧品」 | ⇔ | 「●●大学教授お墨付きの美容化粧品」 |
「最高におもしろい書籍!」 | ⇔ | 「▲▲氏絶賛!10万部突破のベストセラー!」 |
このように「あの人が使っているなら」「専門家の言うことなら」と、商品に対する魅力度や信頼性の増加が期待されて、CMや広告では当たり前のように活用されています。
実際に、誰も知らない一般人がテレビで商品の宣伝をすることはなく、ほとんどの場合、商品イメージに合った俳優や芸能人が起用されているのです。
権威効果の応用
「誰が言ったか」が高く評価される権威効果は、ビジネスを中心に様々な分野で活用されています。
ではそれぞれ紹介していきます。
ビジネスシーン
営業の仕事をされている方が、清潔な髪型できちんとクリーニングされたスーツ、丁寧な言葉遣いで柔らかい物腰で対応をしてくれると、好感度が高いのではないでしょうか。
なおこれは退避すると分かりやすく、スタイリングをしていない寝癖のある伸びきった髪の毛、シワの目立つワイシャツやジャケットにスラックス、粗野な言動の目立つプライベートのような会話をする方には、あまりいい印象を持たないでしょう。
もしその人が紹介する商品やサービスがどんなに優れたものであっても、です。
もちろん人は見た目がすべてではありませんが、ハロー効果が実験によって立証されている以上、ないがしろにしてもよい部分ではありません。
恋愛シーン(デート)
初デートで現れた相手の身だしなみがきちんとしていないと、相手の印象はあまりよくならないという点では、ビジネスシーンと同じです。
したがって、清潔感は言うまでもなく、できればよそゆきの服装を選ぶほうが無難といえるでしょう。
また、女性をエスコートする男性のテクニックとして、権威効果を使うことができます。
ディナーの際、「今日は食べログで見てみて美味しそうなお店を予約しておいたんだ」というのと、「今日はミシュランガイドに乗っている有名なシェフが開いているお店を予約しておいたんだ」と、女性受けがよさそうなのは…おそらく後者でしょう。
もちろん気の置けない間柄になればそこまでこだわる必要もないのでしょうが、デートは最初の数回が重要です。
女性の心を掴むのに権威効果をうまく利用してみてください。
権威効果とハロー効果の違い
権威効果に類似した概念として、『ハロー効果』という認知バイアスがあります。
このハロー効果とは、ある人を評価をするときに、「見た目」や「肩書」といった目立ちやすい特徴によって、評価内容が歪められてしまう『対人認知バイアス』のことです。
ハロー効果の例
- あの人は外国の有名大学を卒業しているから、きっと仕事ができる
- あの人は年収が高いから、結婚相手としてふさわしい
- あの人は髪の毛がボサボサで服も汚れているから、貧乏に違いない
- メガネをかけているから、知的に見える
- 物腰が柔らかいから、信頼できる人に見える
権威効果は肯定的な評価にのみ歪みますが、ハロー効果は肯定的な評価だけでなく否定的な評価にも歪むことが1番の違いです。