バーナム効果とは|誰にでも当てはまる特徴でも自分に強く当てはまると感じる心理効果

バーナム効果とは、誰でも該当するような曖昧で抽象的、一般的な性格特徴であるにも関わらず、まるで自分だからこそ当てはまる特徴だと強く感じる心理効果のことです。

「恋をするとのめり込む性格ですね」
「一部のことにこだわりが強い性格ですね」

などと言われると「確かにそうかも!」「なんで私のことをそこまで知っているの!?」と思えてくるのではないでしょうか。今回はそんなバーナム効果の影響や事例について解説していきます。

バーナム効果は、認知バイアスの1つ

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって「合理的でない」認識や判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

バーナム効果の他にも様々な認知バイアスがあります。

認知バイアスの例
  • 確証バイアス
    自分の仮説や信念を検証するとき、都合良い情報ばかりを集め、都合の悪い情報を見なくなる心理現象
  • 正常性バイアス
    自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする心理現象

ちなみに、「バイアス」とは思考の偏りのことを指しています。

そもそもバイアスとは

「バイアス(bias)」はもともと英語で「かたより(偏り)」という意味で、心理学においては「人の思考における偏り」を指します。

言い換えると、「思い込み」や「先入観」、「偏見」「差別」といったものから、「傾向」という軽度なものまですべて「バイアス」です。

これらのバイアスは、脳が「知覚し・感情を生起させ・記憶を形成し・行動に至ったりする」といった全プロセスに影響を与えるため、ときに大きな判断ミスに繋がることもあります。

そして、思考にバイアスのない人間は存在せず、全ての人間は、あくまで限定された合理性しか持ち得ないというのがポイントです。

「バーナム効果」の事例は占いが有名

バーナム効果の例で代表的なのが、占いで、「血液型占い」「星占い」「誕生日占い」など、そのほとんどがバーナム効果によって信じられています。

例えば、血液型占いでしばしば言及される「A型は神経質である」といった性格特性ですが、科学的根拠は一切ありません。

しかし、血液型占いを信じるA型の人は、「あなたは神経質ですか?」と聞かれたときに「わたしは神経質なはずだ」と思い込んでしまい、YESと答えるというものです。

実際のところ、神経質な人はA型に限らず多くいるはずなのに、自分の神経質な部分だけに目を向けてしまい、自分は神経質だと捉えてしまうわけです。

さらに「A型はうつ病になりやすい」とその人に伝えたとして、その人がストレスにさらされるたび「わたしはうつ病になりやすい、ストレスには気をつけよう」と思ってしまうことも同様です。

はたまた、血液型占いを同様に信じる別の人が「あの人は神経質だからきっとA型だろう(なぜならA型は神経質だから)」と決めつけてしまうことも、バーナム効果の影響だといえます。

なお、血液型占いの他には星占い、誕生日占いなどが該当します。

また、エゴグラムなど一部の性格診断も、心理学の知見から統計的手法によって考案されたものなので当てはまりません

「バーナム効果」の由来はグレイテスト・ショーマンの主人公「フィニアス・テイラー・バーナム」

バーナム効果は、「興行師(サーカスや芝居などを開催する人)」である「フィニアス・テイラー・バーナム(Phineas Taylor Barnum)」の名前をとってつけられています。

名前だけでピンとくる人は少ないかと思われますが、これは2017年に世界中で大ヒットした映画「グレイテスト・ショーマン(THE GREATEST SHOWMAN)」の主人公であるバーナムと同一人物です。

彼が述べたとされる「We’ve got something for everyone.(誰もが当てはまるものをみんな持っている)」という言葉が語源を由来としています。

また、バーナム効果を実証したのはバートナム・フォアラー(Bertram R. Forer)というアメリカの心理学者で、バーナム効果は彼の名をとって「フォアラー効果」と呼ばれることもあります。

ファアラーによる「バーナム効果」の実証実験

1948年、フォアラーは学生を対象にバーナム効果を検証する実験を行いました。

あらかじめ学生たちに心理検査を行い、「心理検査から導かれたあなたの性格」と称した10項目を提示しました。

そして、これらの項目が自分の性格にどれだけ当てはまるかを「0(全く異なる)」から「5(非常に当てはまる)」の5段階で回答させたところ、結果は4.26と高い数値を示しました。

ここからが実験の本題なのですが、実は先ほどの「心理検査から導かれたあなたの性格」の10項目は、各人の心理検査とはまったく関係のない、星占いをもとに作られた一般的な誰にでも当てはまる内容であり、しかも「すべての学生で同じ内容」だったのです。

この結果から、誰にでも当てはまるような性格特性でも、自分に当てはまると言われると自分のことのように信じ込んでしまうことが証明されました。

なお、のちの研究で、以下のような条件の場合、バーナム効果が強まることが知られています。

バーナム効果を高める3条件
  1. 自分だけに当てはまるものと信じている場合
  2. 権威のある人に指摘された場合
  3. 前向きな内容ばかりである場合

これを踏まえると、高名な占い師に言われた内容を自然と受けてしまう理由は、これらが多いのかもしれません。

広告宣伝における「バーナム効果」の活用

例としては、占いがフォーカスされがちなバーナム効果ですが、商談や広告宣伝の領域で応用できるといわれています。

では、それぞれ説明していきます。

相手の興味や関心を引きたいときの導入文

個人のお客様に何か商品を売りたいとき、誰にでも当てはまるような悩みを「○○という悩みがありませんか?」と聞くことで、相手の興味や関心を引きやすいといわれています。

このときのポイントは、バーナム効果を高める条件である以下3点を抑えていくことです。

バーナム効果を高める条件
  1. 自分だけに当てはまるものと信じている場合
  2. 権威のある人に指摘された場合
  3. 前向きな内容ばかりである場合

例えば、①を活かす形で作ると、

「あなたのような□□な人(血液型占いでいうところのA型のようなグルーピング)には、○○という悩みが多いのですが、やはりあなたにも当てはまるのではないですか?」

などが効果的でしょう。

広告のキャッチコピー

Webサイトやチラシで販促を行う際に、

  • 「最近肌がくすんできたあなたへ」
  • 「ぽっこりお腹が気になりませんか?」

など、見たことがある方も多いのではないでしょうか。

これは、自分ごとに捉えられないと反応しない「傍観者効果」と逆の理論で、自分ごととして捉えやすいコピーは反応されやすい傾向があるとされているためです。

バーナム効果の観点からいえばターゲットを絞らず抽象的にしたほうが効果的とされていますが、例えば、広告のキャッチコピーにおいては、ターゲットを絞ったほうが効果的だったりもするのです。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

バーナム効果とは、誰でも該当するような曖昧で抽象的、一般的な性格特徴を、まるで自分や自分が属する集団に当てはまる性格だと信じ込んでしまう心理現象でした。

その代表例は占いで、仮に科学的根拠がなかったとしても、まるで自分の事のように感じて、信じてしまうほど、効果は絶大なのです。

そのため、広告といったマーケティング領域で日常的に広く使われており、みなさんも仕事においても機能することも多いでしょう。

このページを読んだあなたの人生が、
より豊かなものとなることを祈っております。