古典的条件付け(レスポンデンド条件付け)とは|意味のない刺激から条件反射を誘発できる条件付け

古典的条件付けとは、中性刺激(特に意味のない刺激)のあとに、条件刺激(何か反射を誘発する刺激)の提示を繰り返すことで、中性刺激によって反射が誘発されるようになるという現象です。

別名、レスポンデンド条件付けや、パブロフ型条件付けとも呼ばれ、例をあげると「梅干しを見ただけで、食べていないのに、唾液が出る」などが当てはまります。

では早速、古典的条件付けについて解説していきます。

「古典的条件付け」の由来は、パブロフの犬

別名、パブロフ型条件付けとも呼ばれる「古典的条件付け」は、その名の由来の通りパブロフによって発見されました。

内容は至ってシンプル。

イヌに、メトロノームの音を聞かせた後に、エサを与えるということを繰り返したところ、次第に、イヌはメトロノームの音を聞くだけで、唾液が分泌されるようになったというものです。

そしてこれは、動物だけではなくヒトにも当てはまることがわかっています。

ジョン・ワトソンによる実験(恐怖条件付け)

ヒトを対象に行われた古典的条件付けの実験では、ジョン・ワトソンによるアルバートの実験が有名でしょう。

生後11ヶ月のアルバート君に、白いネズミと共に、恐怖を喚起するような大きな音を同時に提示すると、アルバートは白いネズミを見ただけで、怯えるようになったというものです。

さらに、「般化」と呼ばれる現象で、白いネズミを連想させるような白いものを見るだけでも恐怖感情は喚起されたというので、効果は絶大。

このように、世間一般でいう「トラウマ」は古典的条件付けが関連しているのです。

恐怖条件付けの他の実験(電気ショック)

光や音、場所などの中性刺激と、電気ショックなどを対提示することで、光を見るだけで恐怖反応を示すという内容の実験もあります。

参考:ガルシア効果(味覚嫌悪学習)

この古典的条件付けは、特に「食べ物の味/匂いでの学習速度が早い」ことが知られています。

実験として、ラットに甘みのついた水を飲ませた後、食あたりの症状を引き起こす注射をしたところ、翌日同じラットに同じ甘味水を与えると、摂取量は激減、というのが確認できています。

人間の例であげると、牡蠣に当たってお腹を下してしまった人は、牡蠣を本能的に嫌いになる、といったようなものです。

おそらく、生存において毒を避けられるようにプログラムされているのでしょう。

「古典的条件付け」の日常における事例

古典的条件付けの例としては、「梅干しやレモンを見ると唾液が出てしまう」というのが有名です。

これは、梅干しを食べた時の酸味が唾液の分泌を引き起こすため、レモンや梅干しの形を見ただけで唾液の分泌が起きるというものです。

また、身近なものとしては、広告にも使用されています。

例えば、テレビCMなどでは、ある商品や企業名を、好感情を喚起する映像や音楽とともに呈示することで、認知度や好感度を高める操作がなされることがあります。

さらに、味覚嫌悪学習の例として、「生牡蠣を食べて、ひどい食あたりを起こした人は、生牡蠣を食べることに対して抵抗を持つ」というものもあげられるでしょう。

「古典的条件付け」の注意点

ビジネス・転職上での失敗場面において、注意が必要です。

例えば、転職の面接において、何か失敗してしまった事によって緊張状態に陥るということが数回繰り返されると、面接という条件だけで過度の緊張状態に陥ってしまうかもしれません。

また、ビジネスにおいても同じ状況や条件での何かストレスを引き起こすことが繰り返し続くと、その状況や条件だけでストレス反応が引き起こされてしまう可能性があります。

例えば、嫌な上司から毎日ハラスメントを受けていると、その上司の存在を意識するだけで、気分が悪くなってしまうというものです。

「古典的条件付け」の活かし方

古典的条件付けは、どちらかというと悪い方向に働く事例が強いのですが、プラスの方向に活かすことも可能です。

実際に、「緊張をほぐす、集中力を高める」といった効果を引き出す「ルーティーン」として機能することが知られています。

音楽でリラックスできるルーティーン

例えば、転職の面接前などにしてしまう緊張に向けて、「リラックス」という条件反射を誘発する条件刺激をあらかじめ用意しておくという活用法が考えられるでしょう。

実際に、「リラックス効果のあるアロマをたく時に、決まった音楽を聞く」という流れを何度も繰り返すと、次第に音楽を聞くだけでリラックスした気分になることができるのです。

また、仕事をする集中力を高めることにも、同様の手法が使えます。

集中力が高まるルーティーン

例えば、ゲームであればいつも集中ができるという人は、そのゲームをやる時に決まった音楽などを流すと良いでしょう。

それを繰り返し行っていけば、集中力を高めたい時に、その音楽を流すことで集中状態に入ることができると考えられます。

以上のように、古典的条件付けの原理を考えると、普段のルーティンワークと、何か別の刺激を紐付けることで、スムーズにリラックス状態や集中状態に持っていくことができるでしょう。

「古典的条件付け」とオペラント条件付けの違い

古典的条件付けとしばしば比較されるものに、「オペラント条件付け」というものがあります。

オペラント条件付けとは、報酬や罰(嫌悪刺激)によって、自発的に行動を行うように「学習」をするという理論です。

そのため、生得的な反応と無関係な反応とを結びつける古典的条件付けとは一切関係がなく、報酬によって行動が促されるのがオペラント条件付けなので、注意しましょう。

最後に

いかがでしたでしょうか。

古典的条件付けとは、中性刺激(特に意味のない刺激)のあとに、条件刺激(何か反射を誘発する刺激)の提示を繰り返すことで、中性刺激によって反射が誘発されるようになるという現象です。

一般にはネガティブな影響が知られていますが、「ルーティーン」として染み込ませることでプラスに機能することも確認されています。

ぜひこれを機に、ルーティーンを確立してはいかがでしょうか。

このページを読んだあなたの人生が、
より豊かなものとなることを祈っております。