認知バイアスとは?一覧と具体例、防ぐためのポイントを解説

認知バイアスとは

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

「バイアス(bias)」はもともと英語で「かたより(偏り)」という意味で、心理学においては「人の思考における偏り」を指します。

言い換えると、「思い込み」や「先入観」、「偏見」「差別」といったものから、「傾向」という軽度なものまですべて「バイアス」です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように「思い込みをしやすい」というデメリットはあるものの「膨大な情報量を素早く処理できる」というメリットがあるので、人間の脳への負荷を減らすために必要な機能ですね。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。

認知バイアス17選【一覧と具体例】

認知バイアスには、さまざまな種類があります。個人レベルから集団レベルまで、さまざまな認知バイアスが存在しているのでいくつか紹介していきますね。

認知バイアス説明・具体例
確証バイアス自分が信じたい情報だけを信じる
例:大好きな彼氏♡こーんなに素敵♡
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価するという現象
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない心理効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)

では、それぞれ解説していきます。

確証バイアス

確証バイアスとは、自分の仮説や信念を検証しようとするような場合に、自分を支持する情報ばかりを集め、逆に、反対意見は無視、あるいは軽視する認知バイアスです。

要するに「自分が信じたいものを信じる」ということですね。いくつか具体例をあげていきます。

確証バイアスの具体例
  • 彼氏の浮気
    • 彼氏の浮気がバレても「君が一番だよ」と言われると信じてしまう
  • ビジネスにおける意思決定
    • 自身が実現したいプランを後押しする都合良いデータ、事例だけ収集する

このように、自分が信じたい部分だけの情報を集める一方で、自分にとって都合が悪い情報を無視、軽視してしまうのが確証バイアスです。

正常性バイアス

正常性バイアス(normalcy bias)とは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする、という思考の偏りのことです。(別名:正常化の偏見)

以下にその具体的な例をいくつか挙げます。

正常性バイアスの具体例
  • 自然災害
    • 洪水が起きても大丈夫だと思う
    • 大地震が起きても大丈夫だと思う
  • 健康への問題
    • 体調が悪い気がするけどたぶん大丈夫
    • 喫煙者が肺がんになるリスクを過小評価する
    • 食生活や睡眠習慣が乱れても問題ないと思う
  • 勉強や仕事の締め切り
    • 明日テストで全く勉強してないけど大丈夫
    • 仕事の納期まで時間ないけどなんとかなる

これらの具体例からわかるように、正常性バイアスは、人間がリスクそのもの過小評価し、適切な対策を講じる能力を阻害する可能性があります。

どんなリスクがあっても「まあでも、それってあくまで統計上の話だよね?さすがに大丈夫でしょ。」と現実を直視しません。

一貫性バイアス

一貫性バイアスは、他者に対して、過去の言動や態度が、現在や将来も一貫して変わらないと考えてしまう認知バイアスです。

ある人が特定の行動をしているのを見たとき、その人は「過去にも同じ行動をしてきた」かつ「これからも同じ行動を続けるだろう」と思い込む傾向を指します。

具体例は下記の通りです。

一貫性バイアスの具体例
  • 遅刻された場合
    • 知り合いが遅刻をしたら「よく遅刻をする人なんだろうな」と思う
  • ナンパされた場合
    • ナンパされたら「よくナンパしているんだろうな」と思う

一貫性バイアスが働くと、他人の行動を「過去や未来に引き伸ばして評価する」ことに繋がるので、好印象を形成することに役立ちます。(もちろん悪印象も形成されるので、注意してください。)

自己中心性バイアス

自己中心性バイアスとは、他者の心理を推察するときに、無意識的に自分だけが知っている情報に左右されてしまう認知バイアスのことです。

要は「自分の目線でしか物事を考えられない」という状態ですね。やや価値観の押し付けに近いものがあるかもしれません。他にも具体例を紹介します。

自己中心性バイアスの例
  • 自分の価値観を押し付ける
  • 自分にしかわからない専門用語を使う
  • 自分の行動が他人に与える影響を考えない
  • 自分だけがみている情報で判断してしまう
    • 例えば、夫婦間の家事分担で、自分ばかりが頑張っていると思ってしまう(相手の行動を把握していないのに)

このように、自分本位な捉え方をしてしまうので、人間関係のトラブルの原因になることがあります。克服するために、以下の点に注意しましょう。

  • 相手の立場や気持ちを理解しようとする
  • 自分の行動が他人に与える影響を考える
  • 自分の意見を押し通すのではなく、相手の意見も尊重する

これらを意識してトラブルを防ぎましょう。

投影バイアス

投影バイアスとは、自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識してしまう認知バイアスです。以下にその例をいくつか挙げてみます。

投影バイアスの具体例
  • 自分が好きなものは相手も好きだと思う
    • 音楽や食べ物、アイドルやスポーツチーム等
    • 自分が好きなものを誕生日に送る、等
  • 自分が簡単なことは、相手も簡単だと思う
    • 見ればすぐわかるよ!
    • なんでこんな簡単なこともできないの?

これらは、特に子どもに強く現れる認知バイアスですね。成長過程で「ヒトはみんな違うこと」を認識して、段階的に弱まっていきます。

感情バイアス

感情バイアス(emotional bias)とは、人々の意思決定や判断が「感情」によってプラスマイナスの影響を受ける認知バイアスのことです。簡単な例だと「好きだから良い、嫌いだから悪い」という判断がありますね。

以下にその具体的な例をいくつか挙げてみましょう。

感情バイアスの具体例
  • 人間関係での贔屓
    • 好きな人がミスしても寛容
    • 嫌いな人には厳しく当たる
    • 憧れの人の意見を正しいと信じる
  • 購入における意思決定
    • 幼少期から愛着のある食品を買う
    • 性能が劣っていても好きなブランドを買う
  • ビジネス
    • 過去の成功体験に依存した意思決定
    • 未知への不安や恐怖から挑戦できない

このように、機能や経済的な合理性を無視して、感情的に好ましいものを優遇し、感情的に好ましくないものを冷遇する傾向を「感情バイアス」と言います。

生存バイアス

生存バイアス(survivorship bias)とは、現在、生存している事例(成功例)のみを分析することで、全体像を誤解する認知バイアスのことです。失敗して消えていったケースが分析から除外されるため、結果として誤った結論を導く可能性があります。

具体例を見てみましょう。

生存バイアスの具体例
  • ビジネス全般
    • 成功した事例だけを探す
    • 失敗した事例を探さない
    • 大物起業家の意見だけを参考にする
  • 勉強方法や受験
    • 成功体験談だけ見る
    • うまくいかなかった事例を見ない

このように「なぜ成功したのか」に焦点は当たるものの「なぜ失敗したのか」にはなかなか焦点が当たりません。何かに新しく挑戦する時は、両方とも重要なのに、です。

後知恵バイアス

後知恵バイアス(hindsight bias)とは、事象が起こった後に「それは予測可能だった」「そうなって当然だよね」と誤って思い込む認知バイアスです。

後知恵バイアス
  • ゲームやスポーツの試合
    • 試合後に解説者が「予測できましたね」
    • ゲームで負けて「こうすれば勝てたじゃん!」
  • 株式市場の株価変動
    • 投資家「この動きは予見できた(キリッ」
  • 仕事での上司のフィードバック
    • 「市況的にこうなるってわかるでしょ」
    • 「競合がこうしたら勝てないってわかるでしょ、なんで最初から対策しないの?」

確かに、言われればその通りではあるのですが、「事前に選択肢を出すことはできても、100%その通りになると予測するのは無理」です。まさに下記の具体例ですね。

▼やや極端な例

引用元:Twitter

このように、後知恵バイアスは「過去の出来事を評価する方法」に影響を及ぼし、事象の予測が容易であると誤った印象を与えるものです。

結果として、学習や改善の機会を見逃すうえに、自己評価を過大にする可能性があります。

バーナム効果

バーナム効果は、誰にでも該当するような「曖昧で一般的な性格の特徴」にも関わらず「自身に強く当てはまる特徴」として思い込む認知バイアスです。(別名:フォラー効果)

有名な例として、占い、心理テスト、手相などがありますね。「言われるとそんな気がする」と感じる例をいくつか紹介します。

バーナム効果の具体例
  • あなたは情熱的で、他人に対して深い共感を持っていますね
  • あなたは他人との関係を深く大切にする一方で、時には自己主張が強くなりすぎることもありますね
  • あなたは新しい人々との出会いを楽しむ社交的な一面がある一方で、自分だけの時間を必要としますね

このように、誰にでも一定は当てはまる特徴であっても、言われてみると「確かにそうかも!」と強く感じてしまうのが「バーナム効果」です。

クレショフ効果

クレショフ効果とは「前後の脈絡がない映像や写真の羅列」に対して「前後のつながりを無意識に関連づけ、勝手に意味を解釈してしまう」認知バイアスです。

例えば、以下の画像を見てください。

クレショフ効果の具体例

猫はどんな気持ちだと思いますか?

  • 猫がご飯を食べたがっている
  • 猫がご飯を食べれず、いじけている
  • 猫がご飯を狙っている

と「猫」と「ご飯」を関連づけて、猫の表情を解釈したら、それがクレショフ効果による影響です。本来、この2枚の写真には一切関係がありません。

このように、クレショフ効果は、視聴者の感情や解釈を操作するための強力なツールとなります。広告やブランディングで活用される事例が多いですね。

ダニングクルーガー効果

ダニング・クルーガー効果とは、能力の低い人ほど自分を高く評価するという現象のことで、根拠がないのに自身を過大評価をすることから「優越の錯覚」とも呼ばれる認知バイアスです。

「自信」と「知識・経験」には、下記グラフのような傾向があると知られています。近年は、キャッチーな言葉で、馬鹿の山、絶望の谷、などと表現されることが多いですね。

▼ダニング・クルーガー効果

このように、ダニング・クルーガー効果は「自己評価の誤り」を引き起こしてしまうので、自己改善や学習の機会を見逃す可能性がある認知バイアスです。

「馬鹿の谷」で慢心すると、それ以上の努力をしなくなりますからね。あるいは「絶望の谷」で挫折し、諦めてしまうケースもよく見られます。

コンコルド効果

コンコルド効果とは、人やモノ、サービスへの「金銭的・時間的・精神的な投資」を行い続けることで、さらに損失となると気づいているにも関わらず、これまでの回収できていないコストを惜しみ、投資を続けてしまう認知バイアスです。(別名:サンクコスト効果)

特に、UFOキャッチャーで「あと少しで取れるから!」と景品が取れるまでやり続けてしまう例が有名ですね。他には下記のものがあります。

コンコルド効果の具体例
  • レストランや映画など
    • どんなに不味くても、つまらなくても、すでにお金を払ったので、途中で退室しない
  • ビジネスの新規事業
    • 新製品の開発に多大な資金を投じたので、ヒットしなくても、さらなる投資をやめられない
  • 副業ブロガー
    • 100記事書いたけど全然PV伸びない。でもここまで頑張ったから辞められない

他にも「口説きたい女性への貢ぎものを辞められない」「当たるまでパチンコ台から退けない」などもありますね。

このように、将来の損失を回避するためにすぐ止めるべきでも「ここでやめたら、もったいない!」と、過去の投資を惜しんでやめることができないのです。

ハロー効果

ハロー効果とは、ある人を評価をするときに「見た目」や「肩書」といった目立ちやすい特徴によって、評価内容が歪められてしまう認知バイアスです。(別名:光背効果)

例えば、「清潔感があって見た目が良い人は、頭がよくて、仕事もできるのだろう」といったように、全く因果関係がない要素を結びつけて評価してしまいます。他にも例をあげますね。

ハロー効果の具体例
  • 仕事での評価
    • 見た目が清潔で綺麗だから、仕事ができそう
    • 営業成績が良いと、分析やマーケもできそう
  • 教育現場での生徒の評価
    • 礼儀正しい生徒は、成績も優秀そう
    • 1教科の成績が優秀だと、他も優秀そう
  • 製品の評価
    • デザインが美しいと、その他の性能も高いと思い込む

このように「ハロー効果」は、人間が物事を評価するときに、他の特徴に引っ張られて評価が歪んでしまう認知バイアスです。

リスキーシフト

リスキーシフトとは、人間は、集団内で意思決定を行う場合だと、リスクがより高い選択をしやすくなる、という認知バイアスです。

個人ではなく、集団だからこそ起きるもので、原因としては下記のものが知られています。

リスキーシフトのメカニズム
  1. 集団だと「極端な意見」が注目されやすい
  2. 個人の責任が軽いので、強気に決めやすい
  3. 同調圧力で反対意見も主張しにくい

ビジネスなら責任の所在が明確(管理職、経営陣)なので問題となりにくいですが、明らかなリーダーがいない集団だと「赤信号、みんなで渡れば怖くない」となりやすいですね。

例を見てみましょう。

リスキーシフトの具体例
  • スポーツの戦術決定
    • 戦術に責任を持つ監督がいないと、リスクが高いものが採用されやすくなります。
  • 社会的な行動全般
    • 友人と一緒だとリスクのある行動を取りやすくなります。集団内での行動は、個人での行動よりも社会的なリスクが少ないので(例:過度な飲酒や、危険なスポーツ)

このように、リスキーシフトは「集団内での意思決定」に影響を及ぼす認知バイアスです。責任の所在を明確にし、全体を俯瞰した冷静な意思決定を行うほかありません。

錯誤相関

錯誤相関とは、とある二つの事柄に、本来は相関関係が存在しないものの、まるで相関関係があるように錯誤(思い違い)してしまう認知バイアスのことです。

たまたま、何度かタイミングが重なったり、統計上のデータ推移が重なったりした時に起こり得ます。例をあげてみますね。

錯誤相関の具体例
  • 雨男、雨女
    • たまたま何度か重なっただけです
  • 四葉のクローバーを見つけると幸せになれる
    • 迷信です。関係ありません。
  • インターネットの普及が自殺率を上げている
    • データ推移が近いだけです。関係ありません。

この錯誤相関は、その事象同士が、記憶に浮かびやすい出来事(例:珍しい、ネガティブ)であった場合に発生しやすい心理現象として知られています。

根本的な帰属の誤り

根本的な帰属の誤りとは、自分の身におこった場合は原因を外部(環境、他人)に帰属させるが、他人の場合だと内部(個性や性格)に帰属させる認知バイアスです。

特に、他人の過失における原因は、「当人の性格や行動にある」として、「状況的な要因」を過小評価する認知の歪みに対して使われるケースが多いですね。

根本的な帰属の誤りの具体例
  • 遅刻の原因
    • 当人が無責任で怠惰だと思いやすい
    • 交通事故や予期せぬ事情は考慮しない
  • 職場でのミス
    • 当人が不注意で無能だと判断しやすい
    • ワークフローや事前研修、外部要因は考慮されにいくい

このように「根本的な帰属の誤り」は、他人の評価結果に影響を及ぼし、状況的な要因を過小評価してしまう認知バイアスです。

ビジネス上で過失をした場合は、不遇な評価を受けないためにも(かつ再発しないようにするためにも)、内部要因と外部要因を明確にして、説明責任を果たすようにしてください。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、最初に提示された情報(特徴や数値的なデータ、価格など)が判断基準となり、その後の意思決定や評価を左右するという認知バイアスです。

この最初の提示した判断基準となる情報を「アンカー」と言います。船の碇ですね。よく見慣れた例だと、値引き表示があります。

  • ¥100,000 ¥80,000(20%OFF!!)
  • ¥80,000

おそらく多くの人が前者を得だと感じるはずです。他にもいくつか例をあげてみましょう。

アンカリング効果の具体例
  • 提示する値段
    • アパレル店は、基本セールや値下げばっかりしていますよね
    • 引越し業者は、値下げされる前提で「見積もり金額」を提示しますね
    • 結婚指輪は、店舗入口に高価な指輪がありますよね。金銭感覚をバグらせます
  • その他評価
    • 転職活動においては「前職の年収」もアンカーになります
    • 飲食店の口コミ評価が「4.2」なら相応の期待をして食べますよね
    • 普段、素行の悪いヤンキーが、たまに良いことをするとギャップで、素敵に見えますよね

このように、最初に提示されている評価や値段が、その後の認識や意思決定を左右する基準になります。何かを判断するときには基準が必要ですからね。

認知バイアスを防ぐためのポイント

認知バイアスを意識的に防ぐためには、いくつかの方法があります。

ではそれぞれ解説していきます。

①認知バイアスへの理解を深める

まず、どういった認知バイアスが存在するのかを知らなければ、意識して防ぎようがありません。改めて目を通しておくと良いでしょう。

認知バイアス説明・具体例
確証バイアス自分が信じたい情報だけを信じる
例:大好きな彼氏♡こーんなに素敵♡
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきのナンパ師、絶対いろんな女子に声かけてるよね
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情を推察する
例:一人で焼肉なんて私には耐えられない。かわいそうに
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価するという現象
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない心理効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)

②意思決定の癖を知る診断を受ける

次は、自身が「どういったバイアスを持ちやすいのか」という思考の癖を知ることをおすすめします。ミイダスで診断可能ですね。(確か、無料でできる診断は唯一だと思います。)

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引用元:ミイダス

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③ものごとを批判的に考える

認知バイアスに陥るのを防ぐためには、「なにごとも疑ってかかる」ということが重要です。 例えば以下のように批判的に考えましょう。

批判的に考えるための問い
  • 自分の思っていることは客観的なのか
  • まわりの意見は公平で公正か
  • 情報は出どころは正しいものなのか
  • 反対意見にはどのようなものがあるのか

このように、ものごとをさまざまな角度から複眼的にとらえることができれば、認知バイアスに陥りにくくなります。

ただし、根っこから認知バイアスに両足を突っ込んでしまっている人は、そもそもこのクリティカルシンキング(批判的思考)を持てないので、注意しましょう。

④第三者の意見を参考にする

認知バイアスは自身の考えに客観性を持てなくなる心理現象なので、「第三者の意見を借りる」というのが効果あります。

例えば、自分にとって利害関係のない相手であったり、自分にとって都合の悪いこともきちんと率直に言ってくれる相手がおすすめです。

ただ、あまりに主観的だとその人が確証バイアスに囚われている可能性があるので、相談できる相手は慎重に選ぶようにしましょう。

さいごに

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって「合理的でない」決断や言動を行ってしまう認知心理学の概念です。

一部良い影響はあるものの、誤った判断を招く可能性があるので、認知バイアスにかからないためにも、まずは注意をすることから始めましょう。

このページを読んだあなたの人生が、より豊かなものとなることを祈っております。