認知バイアスとは|思考における偏りで合理的になれない心理現象を一覧化して解説!

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって「合理的でない」認識や判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

では詳しく見ていきましょう。

認知バイアスとは|不合理な認知の歪み

人は、事実を正しく認識できずに不合理な(事実にそぐわない)意思決定をしてしまうことがあります。

私たちの脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

こうした脳が犯す認識や判断における過ちの傾向を、心理学では「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。

バイアスとは思考における偏りのこと

「バイアス(bias)」はもともと英語で「かたより(偏り)」という意味で、心理学においては「人の思考における偏り」を指します。

言い換えると、「思い込み」や「先入観」、「偏見」「差別」といったものから、「傾向」という軽度なものまですべて「バイアス」です。

そして、思考にバイアスのない人間は存在せず、全ての人間は、あくまで限定された合理性しか持ち得ないというのがポイントでしょう。

認知バイアスは社会問題に発展するケースがある

認知バイアスは個人的な問題と捉えられがちですが、場合によっては大きな社会問題に発展するリスクもあるものです。

繰り返しになりますが、人はさまざまな内的・外的要因から、しばしば非合理な思考や言動を起こすことがあり、これが認知バイアスです。

これが個人の中で完結するものであれば深刻な問題にはならないのですが、その個人がいわゆる権力を持っている場合には注意する必要があります。

例えば、会社の責任者や、経営者、はたまた首相や大統領など、世界を動かす立場の人であれば、認知バイアスで引き起こされる問題は決して看過できるものではありません。

そのため、認知バイアスについてしっかりと理解を深め、日ごろから意識をしておくことは、個人のあやまちに限らず周囲を巻き込んだトラブルを起こさないためにも重要といえるでしょう。

【一覧】認知バイアス16選

個人レベルから集団レベルまで、さまざまな認知バイアスが存在します。

  1. 確証バイアス
  2. 正常性バイアス
  3. 一貫性バイアス
  4. 自己中心性バイアス
  5. 感情バイアス
  6. 生存バイアス
  7. 後知恵バイアス
  8. バーナム効果
  9. クレショフ効果
  10. ダニングクルーガー効果
  11. コンコルド効果
  12. ハロー効果
  13. リスキーシフト
  14. 錯誤相関
  15. 根本的な帰属の誤り
  16. アンカリング効果

では、それぞれ解説していきます。

確証バイアス

確証バイアスとは、自分の仮説や信念を検証しようとするような場合に、自分を支持するものばかりを集め、反対意見を無視したり、否定的な情報を避けたりする認知バイアスです。

恋愛で例をあげると、相手がダメな人でも「この人はいい人だ」と盲信してしまい、いいところだけに目を向けて、欠点については見て見ぬふりをすることが挙げられます。

正常性バイアス

正常性バイアスとは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする、という思考の偏りのことで、別名「正常化の偏見」とも呼ばれます。

例えば、地震が起きたときに避難警報が出されてもそれを無視して「わたしは大丈夫」「今回の地震はたいしたものではない」と思い込んでしまうような状態です。

結果として避難が遅れたりするような事態を招くため、できれば避けたい認知バイアスのひとつです。

一貫性バイアス

一貫性バイアスは、ある人物の過去の言動や態度が、現在や将来も一貫して変わらないと信じ込んでしまう認知バイアスです。

なおこれは、自分ではなく他者への印象に対して働く認知バイアスです。

自己中心性バイアス

自己中心性バイアスとは、人が他者の心理を推察しようとするときに、無意識的に自分の現在の状態を参考にしてしまう心理現象のことです。

例えば、「自分はこういう思いをしてきたから、この人もきっとこう思いをしているに違いない」のように、他者に対して働く認知バイアスとして知られています。

感情バイアス

感情バイアスは2つに分けられる認知バイアスです。

  1. 事実と反する証拠があっても、自分にとってポジティブな感情をもたらすものを信用しようとすること
  2. 自分にとって不快で好ましくないもの、精神的に苦痛をもたらすような事実は受け入れようとしないこと

感情バイアスは人間にとって当たり前の思考のように思えますが、これも自分の判断にかたよりを生む認知バイアスなのです。

生存バイアス

生存バイアスは、生き延びた、現代でいえば「ビジネスで成功した」人物ばかりに注目し、失敗した人については考えようとしない認知バイアスです。

例えば、ダイエット商品や基礎化粧品の体験談や口コミなどで、高評価ばかりに目を向けてしまうことも、生存バイアスといえるでしょう。

後知恵バイアス

後知恵バイアスは、なにかものごとが起きたあとに、それはすべて予測可能であったかのようにとらえようとする心理現象のことを指しています。

バーナム効果

バーナム効果とは、誰でも該当するような曖昧で抽象的、一般的な性格特徴を、まるで自分に当てはまる性格だと信じ込んでしまう認知バイアスです。

例えば、占いなどで、

「恋をするとのめり込む性格です」
「一部のことに関しては神経質な性格です」

などと言われ、「確かにそうかも!」と思ってしまう現象がバーナム効果に該当します。

クレショフ効果

クレショフ効果とは、前後の脈絡がない映像や写真の羅列に対し、前後のつながりを無意識に関連づけ、勝手に意味を解釈してしまう「認知バイアス」の1つです。 このように、猫とご飯の写真が一緒に写っているだけで、「クレショフ効果」が発動します。

  • 猫がご飯を食べたがっている
  • 猫が「この缶詰が食べたい」「このごはんを買って欲しい」と消費者に訴えかけている

というストーリーとして、この2つの写真を無意識に関連づけてしまうのです。

ダニングクルーガー効果

ダニング・クルーガー効果とは、能力の低い人ほど自分を高く評価するという現象のことで、根拠がないのに自身を過大評価をすることから「優越の錯覚」とも呼ばれる認知バイアスです。

コンコルド効果

コンコルド効果とは、人やモノ、サービスへの金銭的・時間的・精神的な投資を行い続けることで自分に損失があることに気づいているにもかかわらず、これまでかけたコストを惜しんで、投資をやめることのできない認知バイアスです。

本来であれば、将来の損失につながるためにやめるべきことであるはずなのに、過去にかけた投資という要因が思考に歪みを起こし、やめることができなくなるわけです。

なお、コンコルド効果は「コンコルド錯誤」や「サンクコストの誤謬(ごびゅう)」と呼ばれることもあります。

ハロー効果

ハロー効果(光背効果)とは、ある人を評価をするときに、「見た目」や「肩書」といった目立ちやすい特徴によって、評価内容が歪められてしまう認知バイアスのことを指します。

例えば、見た目だけで、

「あの人は頭が良さそうだ…」
「きっとあの人はだらしない性格に違いない」

など、その人のことをよく知りもせず、決めつけてしまうケースがハロー効果に該当します。

リスキーシフト

リスキーシフトとは、個人では犯さないような「誤った意思決定」を、組織が行ってしまうことを指す、組織における認知バイアスです。

これは、「普通」な意見や言動は注目されない組織だからこそ、極端だったり、突拍子のないものだったり、常識の範疇を超えた意見が注目を集めるというものです。

そして、組織において構成員一人ひとりの意思決定は責任が分散されて軽くなるために、個人では至らないような意見や言動が、集団では同意を得やすくなるのです。

錯誤相関

錯誤相関は、特に目に留まる出来事において、2つの変数(になりうるもの)に関係がないにも関わらず、相関があると思い込んでしまう認知バイアスです。

例えば、以下のようなケース。

  • 満月の夜には、不吉な事が起きる

  • 四葉のクローバーを見つけると、幸せになる

このように、全くの関係はない2つの要素ですが、結びつけて考える方が多いでしょう。

根本的な帰属の誤り

根本的な帰属の誤りとは、自分の身に起こったことは外部要因に原因づけるのに対し、それが他人の場合は、その人の性格特性の原因だとしてしまうものです。

アンカリング効果

なにかを評価するとき、最初に提示されたヒント(特徴や数値的なデータ、価格など)が一番の判断の基準となり、のちの行動を大きく左右するというものです。

認知バイアスを防ぐための2ポイント

認知バイアスを意識的に防ぐためには、いくつかの方法があります。

ではそれぞれ解説していきます。

ものごとを批判的に考える

認知バイアスに陥るのを防ぐためには、「なにごとも疑ってかかる」ということが重要です。 例えば以下のように批判的に考えましょう。

  • 自分の思っていることは客観的なのか
  • まわりの意見は公平で公正か
  • 情報は出どころは正しいものなのか
  • 反対意見にはどのようなものがあるのか

このように、ものごとをさまざまな角度から複眼的にとらえることができれば、認知バイアスに陥りにくくなります。

ただし、根っこから認知バイアスに両足を突っ込んでしまっている人は、そもそもこのクリティカルシンキング(批判的思考)を持てないので、注意しましょう。

第三者の意見を参考にする

認知バイアスは自身の考えに客観性を持てなくなる心理現象なので、「第三者の意見を借りる」というのが効果あります。

例えば、自分にとって利害関係のない相手であったり、自分にとって都合の悪いこともきちんと率直に言ってくれる相手がおすすめです。

ただ、あまりに主観的だとその人が確証バイアスに囚われている可能性があるので、相談できる相手は慎重に選ぶようにしましょう。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって「合理的でない」決断や言動を行ってしまう認知心理学の概念です。

一部良い影響はあるものの、誤った判断を招く可能性があるので、認知バイアスにかからないためにも、まずは注意をすることから始めましょう。

このページを読んだあなたの人生が、
より豊かなものとなることを祈っております。