コンコルド効果とは?サンクコストで引くに引けない心理を日常事例もとに解説!

コンコルド効果とは、特定の対象(人やモノ、サービスなど)への金銭的、時間的、精神的な投資を行い続けることが、

これからも自身の損失につながるとわかっているにも関わらず、それまで費やした投資を惜しむことで投資をやめることのできない状態、を指す認知バイアスです。

例えば、UFOキャッチャーで、「全く取れそうにない」と思いながらも、「結構お金使ったし..ここでやめたらもったいない」と続投を続けることなどが挙げられます。

別名「コンコルド錯誤」「コンコルドの誤り」「埋没費用効果」「サンクコストの誤謬(ごびゅう)」とも呼ばれ、日常的に陥りやすい心理現象です。

そこで今回は、コンコルド効果について解説していきます。

「コンコルド効果」は認知バイアスの1つ

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって「合理的でない」認識や判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

コンコルド効果の他にも様々な認知バイアスがあります。

認知バイアスの例
  • 確証バイアス
    自分の仮説や信念を検証するとき、都合良い情報ばかりを集め、都合の悪い情報を見なくなる心理現象
  • 正常性バイアス
    自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする心理現象

ちなみに、「バイアス」とは思考の偏りのことを指しています。

そもそもバイアスとは

「バイアス(bias)」はもともと英語で「かたより(偏り)」という意味で、心理学においては「人の思考における偏り」を指します。

言い換えると、「思い込み」や「先入観」、「偏見」「差別」といったものから、「傾向」という軽度なものまですべて「バイアス」です。

これらのバイアスは、脳が「知覚し・感情を生起させ・記憶を形成し・行動に至ったりする」といった全プロセスに影響を与えるため、ときに大きな判断ミスに繋がることもあります。

そして、思考にバイアスのない人間は存在せず、全ての人間は、あくまで限定された合理性しか持ち得ないというのがポイントです。

認知バイアスとは|思考における偏りで合理的になれない心理現象を一覧化して解説!

「コンコルド効果」の由来は超音速旅客機

世界規模で商業的失敗を遂げた超音速旅客機「コンコルド」が名称の由来となっています。

コンコルドは1960年代に開発が始まり、世界初の超音速旅客機として、未来的な機体や高度な機能が高い評判となり、世界中から注文が殺到しました。

しかし、開発コストや維持費の高さ、燃費の悪さ(当時はオイルショックも重なりました)、あまりにも高すぎる価格、収容可能人数の少なさ、設備投資の必要(長い滑走路)など、

多くのデメリットが浮き彫りになったことからキャンセルが相次ぎ、開発を継続しても利益は望めないことまでわかりました。

しかし、ここでこれまでにかけた莫大な埋没費用を考慮してしまい、不合理な判断のもとでプロジェクトは途中で終了することなく進んでしまったため、

結局機体は16台しか製造されず、結果としてさらなる大赤字に終わってしまったというエピソードがあります。

「コンコルド効果」は進化生物学と経済学の理論から誕生した

コンコルド効果は、もともとは心理学ではなく、生物学において広まった概念です。

アメリカの進化生物学者であるロバート・トリヴァース(Robert L. Trivers)が1972年に提唱した「親の投資理論」が、コンコルド効果を説明する大元の理論になっています。

親の投資理論

親(ここでは動物全般を指します)に2匹の子がいてその2匹の成長に差があった場合、親は子を死なせないために、大きな子を優先して守り、育てるはずだと予測しました。

すなわち、子孫を繁栄させることは動物にとって「利益」であり、子を育てることは「投資」であるという主張です。

なお、この説明に対し、1976年にイギリスの進化生物学者・動物行動学者のリチャード・ドーキンス(Clinton Richard Dawkins)とタスミン・カーライル(Tamsin Carlisle)は、子の数を最大化させるためには小さな子をひいきする傾向が進化するはずだと指摘しています。

ただどちらにおいても子を育てることが投資であり、最終的に利益になるという観点は同様です。

これらの説明を立脚として、経済学において「埋没費用」と人の判断との関連性が、「コンコルド効果」として言及されるようになりました。

埋没費用とは「サンクコスト」とも呼ばれ、事業や人、ものごとに投資した資金や労力といったコストのうち、これらを撤退、縮小、中止しても回収のできないコストを指します。

コンコルド効果は、この埋没費用を考慮した結果、人がしばしば合理的でない判断を下すことがあるというものです。

「コンコルド効果」の代表例:映画

コンコルドの効果を説明するものとしてよく挙げられる例を2つ紹介します。

では見ていきましょう。

例1:つまらない映画を見続けるか

仮に1,800円を払って2時間の映画を見始めたものの、10分後に「この映画がつまらない」と感じたとき、以下2つの選択肢があります。

  1. つまらなくても見続ける
  2. すぐに退出して残りの時間を有効に使う

このとき前者における埋没費用は「チケット代の1800円と上映時間の2時間」であり、後者の場合は「チケット代の1,800円とすでに観てしまった10分」なので、

経済学的な判断基準においては、この1,800円という埋没費用を除外し、以下の2択に本来はなるはずなのです。

  1. これから映画が面白くなるかもしれない可能性に賭ける
  2. 観賞を中止して別のことで有意義な時間に過ごす

しかし、本来は除外すべき「1,800円」を含めた判断、つまり「せっかくお金を払ったしもったいないから映画を見続けよう」と思ってしまう人が、実に多いのです。

例2:紛失したチケットを再度購入するか

こちらは少しややこしいですが、1,800円を出して映画のチケットを購入したあと、紛失してしまった場合はどうでしょう。

再度チケットを買い直すとしても、経済学的な判断基準は「この映画には1,800円の価値があるかどうか」という部分に変わりはなく、

もともとは1,800円の価値があると判断をして買ったチケットなので、「再度購入する」というのが合理的な判断と言えるでしょう

しかし、人は埋没費用を考慮するため、2回目のチケット購入時は「この映画に3,600円の価値があるかどうか」と価値を上乗せした不合理な判断をしてしまう人が多いのです。

「コンコルド効果」の日常生活での事例

旅客機製造のような大規模な埋没費用でなくとも、映画館の例のようにコンコルド効果はわたしたちの生活においてしばしば影響を及ぼします。

例えば、投資や、ビジネス(新規プロジェクトの進行や土地開発など)、入試(これまでの努力と志望校の偏差値において)など、さまざまな場面でコンコルド効果は起こりえます。

他にも以下のようなシーンで起こり得ます。

ではそれぞれ簡単に紹介していきます。

ゲームへの課金が止まらない

スマートフォンにおける「ガチャ」というシステムは聞いたことがある人も多いでしょう。

簡単にいえば「くじを引いて、ランダムに特典(ゲーム内で使用するカードやキャラクター、アイテムや装備品など)がもらえる」というものです。

もちろん無料ガチャもありますが、ほとんどは有料課金と併用されていることが多く、無料ガチャは課金を煽る目的のために導入されています。

ガチャで引くことのできるレアな特典は、「天井」と呼ばれるシステムによって上限額まで課金をするとはずれが続いても必ず入手できるように定められているのですが(これは「景品表示法」の規制によるものです)、それでも天井に届くまでには数万円はかかることがしばしばあります。

このガチャが、コンコルド効果の「これまで1万円使ったから当たるまで引かないともったいない」といった心理状態を招き、わかってはいながらも、やめられないのです。

ギャンブルで負け続けても、なかなか台から離れられない

パチンコやスロットなどで負け続けても

  • ここまで粘ったのだからもうちょっと続けよう
  • 今までの負け分をどうにかして取り戻すまではやめるわけにいかない

と、なかなか台から離れられない心理がまさにコンコルド効果によるものです。

ガチャのシステムがギャンブルに似ていると感じたことのある人は多いかと思われますが、まさにその通りです。

別れたくても、かけた時間を無駄にしたくなくて、別れられない

これは金銭ではなく「時間」を主なコストとした場合です。

別れたいと内心思っていても、「これまで一緒に過ごした時間の長さを無駄にすることになる」と後ろ髪を引かれて関係を継続してしまう場合はやはりコンコルド効果に該当します。

恋愛ではありませんが、ナイトクラブやホストクラブなどで「この人に何十万円も費やしたから今さら通うのをやめられない」という声がしばしば聞かれるのも同様です。

スポーツで成績が出なくても引退を踏み切れない

怪我などで成績を残せなくなってもなかなか引退に踏み切れない選手などがまさに該当します。

練習やトレーニング、本番に情熱を注いで生きてきた人たちにとって、競技をやめるという決断は苦渋のものでしょう。

これも、これまで費やしてきた時間を埋没費用として捉えているためです。

商売で赤字が続いても、店を畳めない

赤字が続いているにもかかわらず、初期費用やこれまでのランニングコストがもったいないと考えて店を畳むことをどんどん先延ばしにしてしまうケースです。

事業がうまくいく算段が立っていないのに継続してしまい、借金に借金を積み重ねて破産してしまうケースもあるでしょう。

戦争で犠牲を払いすぎて引くに引けない

日常生活で起きないことを祈りますが、「これまで多くの犠牲を払ってきたのだから」と自ら争いをやめられない国が組織的にコンコルド思考に陥っている例です。

「コンコルド効果」を防ぐには

コンコルド効果を完全に防ぐことは正直難しいのですが、コンコルド効果が起きている状態を自覚することはできます。

一度冷静になってサンクコスト、すなわち埋没費用を考慮せずに「経済学的な観点の合理的な判断」にのっとって結論を下すことが重要です。

先ほど一度使いましたが「後ろ髪を引かれる」思いにもなるでしょうし、「苦渋の決断」でもあるでしょうし、「断腸の思い」でもあるはずです。

しかし、これらは逆の観点からすれば「百害あって一利なし」。

一度コンコルド効果から脱却できると、自分を縛っていた呪縛から逃れて気持ちも晴れやかになり、似たような場面でもより容易に、決断ができるようになるでしょう。

「コンコルド効果」の活かし方

ギャンブルなどはまさにそうですが、コンコルド効果は、購買を促す心理をうまく操作することもできます。

定期購入や、毎月の購入を続けることで最終的な商品が完成するものなどが主に該当します。

例えば、ゲームやギャンブルなど、人の「ここまでやったからもったいない」を刺激することで購買効果を高めることも可能となるでしょう。

参考:「コンコルド効果」に関するSNS口コミ

さいごに

いかがでしたでしょうか。

コンコルド効果とは、特定の対象への投資を行い続けることが損失につながるとわかっているにもかかわらず、それまで費やした投資を惜しむことで継続してしまう心理現象のことでした。

ビジネスシーンをはじめ、日常で非常におこりやすい心理現象である分気をつける必要があるので、一度冷静になって「客観的かつ合理的な判断」を下すよう意識する必要があるでしょう。

このページを読んだあなたの人生が、
より豊かなものとなることを祈っております。