確証バイアスとは|自分にとって都合良い情報ばかりに意識が向かう認知バイアス

確証バイアスとは

確証バイアスとは、自分の仮説や信念を検証しようとするような場合に、自分を支持する情報ばかりを集め、逆に、反対意見は無視、あるいは軽視する認知バイアスです。

要するに「自分が信じたいものを信じる」ということですね。いくつか具体例をあげていきます。

確証バイアスの具体例
  • 彼氏の浮気
    • 彼氏の浮気がバレても「君が一番だよ」と言われると信じてしまう
  • ビジネスにおける意思決定
    • 自身が実現したいプランを後押しする都合良いデータ、事例だけ収集する

このように、自分が信じたい部分だけの情報を集める一方で、自分にとって都合が悪い情報を無視、軽視してしまうのが確証バイアスです。

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように「思い込みをしやすい」というデメリットはあるものの「膨大な情報量を素早く処理できる」というメリットがあるので、人間の脳への負荷を減らすために必要な機能ですね。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。

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引用元:ミイダス

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確証バイアスの具体例3つ

確証バイアスは日常的に起こりえるので、ここではその例を3つ紹介していきます。

では見ていきましょう。

神さまを信仰する人・しない人

「神さまは存在する」と信じている人は、すべてのものごとを「神さまがいるからだ」という前提で考えるので、存在を否定する人の意見はなかなか聞き入れません。

また、稀有なできごとに遭遇したときも「神さまのおかげだ、ありがたい」とその結果を過大評価します。

そして、逆の心理現象が「神さまの存在を信じない人」にも当てはまり、例えば勧誘行為などには一切耳を貸さずに、全てにおいて、現実的で論理的な解釈を支持するようになるのです。

就職や転職活動における大手志向

就活や転職における確証バイアスの例としては、「大手企業に入れば生涯安泰」という考え方が挙げられるでしょう。

最近では社会情勢も相まってそのような風潮でもなくなってきたものの、一部ではまだ根づよく残っています。

例えば、そういった志向の方たちは就職や転職活動をする際に、自身のキャリアプランや、入社後の職務内容ではなく、まず「大手企業に入社すること」をゴールにします

また、ライフプランも安定志向なので、「冒険をする」「リスクを冒して挑戦する」という取り組みに関する情報は興味を持ちません。

そして、もし「大企業でも倒産する」などという情報を耳にしても、自分には対岸の火事だと無視してしまうわけです。

恋愛相手のいいところしか見えない

恋愛における確証バイアスの例としては、相手がダメな人でも「この人はきっといい人だ」と信じ込んでしまうことが挙げられます。

この場合、相手を好きなあまり、いいところしか目を向けようとしなくなり、相手の欠点については見て見ぬふりを無意識にしてしまいます。

さらに、いつも何もしてくれない相手であっても、極々稀に自分のためになにかをしてくれると、「やっぱりこの人はいい人だ」という過大評価に陥るのです。

確証バイアスの実証実験|ウェイソン選択課題

確証バイアスの実験は、イギリスの認知心理学者であるペーター・カスカート・ウェイソン(Peter Cathcart Wason)が1996年に行った「ウェイソン選択課題」がもっとも有名です。

ウィルソンの選択課題は、実際に体験することができるので、みなさんが確証バイアスに陥っているかどうか、ぜひテストしてみてください。

ウィルソンの選択課題

反対側の見えない、4枚のカードが机の上に置かれていて、表には数字が、そして裏には色が塗られています。

  1. 3と書かれたカード
  2. 8と書かれたカード
  3. 赤いカード
  4. 青いカード

この場合、以下の質問の答えを考えてみてください。

表面に偶数の数字が書かれたカード」の裏面は「赤色」である

という仮説を証明するために、どのカードをひっくり返すべきか、最小限の枚数は?

「②、④の2枚」が正解です。

ウィルソンの選択課題【解説】
  1. 3と書かれたカード
    与えられた仮説は偶数についてなので、ひっくり返す必要はありません。
  2. 8と書かれたカード
    裏面が青だと仮説に反するため、ひっくり返す必要があります。
  3. 赤いカード
    もし表面が奇数でも「仮説には関係がない(仮説は奇数について言及していない)」ので、ひっくり返す必要はありません。
  4. 青いカード
    表面が偶数だと仮説に反するため、ひっくり返す必要があります。

実は、このウィルソンの実験では90%の人が「②と③」と答えたのです。

これがまさに確証バイアスの例で、多くの人は、自分の与えられた情報である「偶数」と「赤色」という「仮説を支持する」情報を積極的に収集しようとするのです。

本来、この問題を解くには「仮説に反する証明をすること」がカギなのですが、人は与えられた情報に反する情報を収集する傾向を無意識に避けてしまう傾向にあります。

確証バイアスには自信に繋がるメリットもある

ここまでの内容を踏まえると、確証バイアスは「悪」と感じる方も多いかもしれませんが、実はメリットとして、自分に自信を持てるようになる効果もあります。

なぜなら、確証バイアスによる思い込みで、客観的でも公平公正でもないものの、自分の信念をなにがなんでも貫こうとする感情や行動が生まれるからです。

もしそれが突き抜けてしまえば、仕事や人生のターニングポイントにおいて、よい結果を「引き寄せる」可能性もゼロではありません。

例えば、プロのスポーツ選手が幼少期に「自分は絶対にプロになれる」と思い込むことが典型例でしょう。

このように、自分を貫くことはときに軋轢を生むこともありますが、確証バイアスに支配されている状態も決して悪いことではないのです。

認知バイアスを防ぐためのポイント

確証バイアスは認知バイアスの一種です。

認知バイアスは共通して「過去の経験や直感による思い込み」で非合理的になってしまう心理現象なので、意識して対策することで、一定は緩和することができます。

ではそれぞれ解説していきます。

①認知バイアスの理解を深める

まず「確証バイアス」という認知バイアスの存在を知らなければ、防ぎようがありません。自身がバイアスに陥る可能性があることを認識しましょう。

また、「確証バイアス」以外にも日常的に陥りやすい認知バイアスはたくさんあるので、一通り、目を通しておくことをお勧めします。

認知バイアス説明・具体例
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない、現実を見ない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
確証バイアス自分の信念を裏付ける情報を探し求め、それ以外を見ない
例:大好きな彼氏はココが良い!ココも素敵!
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
自己奉仕バイアス自身に好意的な認識を持ちやすい傾向がある
例:成功は自分の能力が高いおかげ。失敗は外部環境のせい。
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
保守性バイアス新しい情報を取り入れて、考え方や行動を変えることに躊躇する
例:革新的な新技術が出ても、使わず、従来のやり方に固執する
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む効果
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価しやすい心理効果
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
バンドワゴン効果多くの人々が支持する意見や行動に信頼感を抱く効果
例:子どもが、他のみんなと同じオモチャを欲しがる
フレーミング効果同じ情報でも伝え方によって受け取り方が異なる効果
例:電池残量が「残り50%もある」と「残り50%しかない...」
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える効果
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)
アンダードッグ効果不利な立場の負け犬を同情・応援したくなる効果
例:バレンタインに縁がなさそうな人にチョコをあげたくなる
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる効果
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
バックファイア効果信念に反する情報を提示すると、裏目になる効果
例:大好きな彼氏を批判されると、かえって愛情が増す、守る
真理の錯誤効果繰り返された情報を真実だと思い込む効果
例:「最高品質」と効果を連呼するTVCMを繰り返しみて信じる
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アロンソンの不貞の法則知らない人からの褒め言葉を、より嬉しく感じる法則
例:家族よりも、他人から認められると嬉しい
代表性ヒューリスティックある対象の判断を、既知概念の代表的特性との類似性で判断する
例:「尻尾が丸い動物」→「うさぎかな?」
可用性ヒューリスティックある判断をするとき、すぐに思い出せる事例や情報から判断しやすい
例:馴染みのものや、人気ブランド、記憶に浮かぶ商品を選びがち。
選択肢のパラドックス選択肢が多ければ多いほど不満を感じやすくなる
例:レストランのメニュー、料金プランの種類など

②認知バイアスの診断を受ける

次は、自身が「どういったバイアスを持ちやすいのか」という思考の癖を知ることをおすすめします。ミイダスで診断可能ですね。(確か、無料でできる診断は唯一だと思います。)

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引用元:ミイダス

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③ものごとを批判的に考える

認知バイアスに陥るのを防ぐためには、「なにごとも疑ってかかる」ということが重要です。 例えば以下のように批判的に考えましょう。

批判的に考えるための問い
  • 何が事実で、何が解釈か
  • 情報は正しいものなのか
  • 反対意見には何があるか
  • 別の観点から考えると解釈は変わるか

このように、ものごとをさまざまな角度から複眼的にとらえることができれば、認知バイアスに陥りにくくなります。

ただし、根っこから認知バイアスに両足を突っ込んでしまっている人は、そもそもこのクリティカルシンキング(批判的思考)を持てないので、注意しましょう。

④第三者の意見を参考にする

認知バイアスは自身の考えに客観性を持てなくなる心理現象なので、「第三者の意見を借りる」というのが効果あります。

例えば、自分にとって利害関係のない相手であったり、自分にとって都合の悪いことも率直に言ってくれる相手がおすすめですね。

他の認知バイアス【一覧と具体例】

認知バイアスには、さまざまな種類があります。個人レベルから集団レベルまで、さまざまな認知バイアスが存在しているので表で整理しました。

認知バイアス説明・具体例
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない、現実を見ない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
確証バイアス自分の信念を裏付ける情報を探し求め、それ以外を見ない
例:大好きな彼氏はココが良い!ココも素敵!
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
自己奉仕バイアス自身に好意的な認識を持ちやすい傾向がある
例:成功は自分の能力が高いおかげ。失敗は外部環境のせい。
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
保守性バイアス新しい情報を取り入れて、考え方や行動を変えることに躊躇する
例:革新的な新技術が出ても、使わず、従来のやり方に固執する
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む効果
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価しやすい心理効果
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
バンドワゴン効果多くの人々が支持する意見や行動に信頼感を抱く効果
例:子どもが、他のみんなと同じオモチャを欲しがる
フレーミング効果同じ情報でも伝え方によって受け取り方が異なる効果
例:電池残量が「残り50%もある」と「残り50%しかない...」
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える効果
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)
アンダードッグ効果不利な立場の負け犬を同情・応援したくなる効果
例:バレンタインに縁がなさそうな人にチョコをあげたくなる
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる効果
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
バックファイア効果信念に反する情報を提示すると、裏目になる効果
例:大好きな彼氏を批判されると、かえって愛情が増す、守る
真理の錯誤効果繰り返された情報を真実だと思い込む効果
例:「最高品質」と効果を連呼するTVCMを繰り返しみて信じる
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アロンソンの不貞の法則知らない人からの褒め言葉を、より嬉しく感じる法則
例:家族よりも、他人から認められると嬉しい
代表性ヒューリスティックある対象の判断を、既知概念の代表的特性との類似性で判断する
例:「尻尾が丸い動物」→「うさぎかな?」
可用性ヒューリスティックある判断をするとき、すぐに思い出せる事例や情報から判断しやすい
例:馴染みのものや、人気ブランド、記憶に浮かぶ商品を選びがち。
選択肢のパラドックス選択肢が多ければ多いほど不満を感じやすくなる
例:レストランのメニュー、料金プランの種類など

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。