一貫性バイアスとは|人の行動や言動に一貫性があると思い込む認知バイアス

一貫性バイアスとは

一貫性バイアスとは、他者に対して、過去の言動や態度が、現在や将来も一貫して変わらないと考えてしまう認知バイアスです。

ある人が特定の行動をしているのを見たとき、その人は「過去にも同じ行動をしてきた」かつ「これからも同じ行動を続けるだろう」と思い込む傾向を指します。

具体例は下記の通りです。

一貫性バイアスの具体例
  • 遅刻された場合
    • 知り合いが遅刻をしたら「よく遅刻をする人なんだろうな」と思う
  • ナンパされた場合
    • ナンパされたら「よくナンパしているんだろうな」と思う

一貫性バイアスが働くと、他人の行動を「過去や未来に引き伸ばして評価する」ことに繋がるので、好印象を形成することに役立ちます。(もちろん悪印象も形成されるので、注意してください。)

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように「思い込みをしやすい」というデメリットはあるものの「膨大な情報量を素早く処理できる」というメリットがあるので、人間の脳への負荷を減らすために必要な機能ですね。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。

一貫性バイアスのメリット

一貫性バイアスを知っていると、相手に効果的に好印象を与えることができます。1つの印象を、過去や未来に引き伸ばせるということです。

24時間365日全力で良い人でいなくとも、自分が狙った相手の目の前で好印象を与えるような行動をすれば、相手は勝手に、好印象を過去や未来にまで引き伸ばして、自分に良い印象を抱いてくれる可能性が高いからです。

一貫性バイアスのデメリット

一貫性バイアスが働いていると、相手の過去の態度や行動によって形成されているイメージのまま、現在の相手を認識したり評価したりしてしまっています。

例えば、前回反応が良くなかった営業先であったとしても、次回営業に行くまでの間に相手の状況が変わっていて、次行けば反応が良いかもしれません。

ところが一貫性バイアスによって、無意識的に「前回ダメだったから、今回も反応は悪いだろう」と思い込んでしまい、消極的になってしまうのです。

もし、一貫性バイアスの存在を知っていれば、「前回はダメだったけれど、今回は状況が違うから…」と現実をしっかりと検証して行動をとることができたはずです。

一貫性バイアスはそれ自体をなくすことはできませんが、意識して自覚することで、思い込みを修正して適切な行動をとることができます。

「一貫性バイアス」は、脳が勝手に省エネして現実の検証を怠けてしまっている状態なので、自分にとって大事な場面や相手に臨む際には、しっかりと現実の検証を行うよう習慣づけておくことが大切です。

他の認知バイアス【一覧と具体例】

認知バイアスには、さまざまな種類があります。個人レベルから集団レベルまで、さまざまな認知バイアスが存在しているので表で整理しました。

認知バイアス説明・具体例
確証バイアス自分が信じたい情報だけを信じる
例:大好きな彼氏♡こーんなに素敵♡
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価するという現象
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない心理効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。

認知バイアスを防ぐためのポイント

一貫性バイアスを含む認知バイアスを意識的に防ぐためには、いくつかの方法があります。

ではそれぞれ解説していきます。

①認知バイアスへの理解を深める

まず、どういった認知バイアスが存在するのかを知らなければ、意識して防ぎようがありません。改めて目を通しておくと良いでしょう。

認知バイアス説明・具体例
確証バイアス自分が信じたい情報だけを信じる
例:大好きな彼氏♡こーんなに素敵♡
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価するという現象
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない心理効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)

一貫性バイアスにおいても同様です。自身がバイアスに陥る可能性をがあることを認識することで、一定は防ぐことができます。

②意思決定の癖を知る診断を受ける

次は、自身が「どういったバイアスを持ちやすいのか」という思考の癖を知ることをおすすめします。ミイダスで診断可能ですね。(確か、無料でできる診断は唯一だと思います。)

▼ミイダスがおすすめ

引用元:ミイダス

ミイダスはもともと、いくつかの質問から市場価値を計測できる転職アプリですが、「バイアス診断ゲーム」をはじめとした心理学系の診断がいくつかあります。誰でも登録できるので、興味があれば試してみてください。

【公式】https://miidas.jp/

③ものごとを批判的に考える

認知バイアスに陥るのを防ぐためには、「なにごとも疑ってかかる」ということが重要です。 例えば以下のように批判的に考えましょう。

批判的に考えるための問い
  • 自分の思っていることは客観的なのか
  • まわりの意見は公平で公正か
  • 情報は出どころは正しいものなのか
  • 反対意見にはどのようなものがあるのか

このように、ものごとをさまざまな角度から複眼的にとらえることができれば、認知バイアスに陥りにくくなります。

ただし、根っこから認知バイアスに両足を突っ込んでしまっている人は、そもそもこのクリティカルシンキング(批判的思考)を持てないので、注意しましょう。

④第三者の意見を参考にする

認知バイアスは自身の考えに客観性を持てなくなる心理現象なので、「第三者の意見を借りる」というのが効果あります。

例えば、自分にとって利害関係のない相手であったり、自分にとって都合の悪いこともきちんと率直に言ってくれる相手がおすすめです。

ただ、あまりに主観的だとその人が確証バイアスに囚われている可能性があるので、相談できる相手は慎重に選ぶようにしましょう。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

一貫性バイアスとは、人の行動や言動に対して、時間的な一貫性があると思い込んでしまう認知バイアスのことを指していました。

一部良い影響はあるものの、誤った判断を招く可能性があるので、一貫性バイアスにかからないためにも、まずは注意をすることから始めましょう。

このページを読んだあなたの人生が、
より豊かなものとなることを祈っております。