ダニングクルーガー効果(優越の錯覚)とは|能力が低い人ほど自分を高く評価する認知の歪み

ダニング・クルーガー効果とは

ダニング・クルーガー効果とは、能力の低い人ほど自分を高く評価するという現象のことで、根拠がないのに自身を過大評価をすることから「優越の錯覚」とも呼ばれる認知バイアスです。

「自信」と「知識・経験」には、下記グラフのような傾向があると知られています。近年は、キャッチーな言葉で、馬鹿の山、絶望の谷、などと表現されることが多いですね。

ダニング・クルーガー効果

このように、ダニング・クルーガー効果は「自己評価の誤り」を引き起こしてしまうので、自己改善や学習の機会を見逃す可能性がある認知バイアスです。

「馬鹿の谷」で慢心すると、それ以上の努力をしなくなりますからね。あるいは「絶望の谷」で挫折し、諦めてしまうケースもよく見られます。

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように「思い込みをしやすい」というデメリットはあるものの「膨大な情報量を素早く処理できる」というメリットがあるので、人間の脳への負荷を減らすために必要な機能ですね。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。

ミイダスというアプリでは、自身が「どういったバイアスを持ちやすいのか」という思考の癖を知る診断があります。(無料でできる診断は唯一だと思います。)

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引用元:ミイダス

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ダニング・クルーガー効果の具体例

ここでは具体例を解説します。ちょっとやっただけで自信が湧いてきた経験があれば、無知ゆえの勘違い、つまりダニング・クルーガー効果に該当します。

ダニング・クルーガー効果の具体例
  • ゲームをちょっとやっただけで簡単だなと思う
  • 英語の文法をちょっと覚えただけで「英語って意外と簡単だな」と勘違いする
  • 新入社員が仕事を始めて「意外と簡単だな」と思うも、5月から部署に配属され、先輩たちとの差に気づき、自信がなくなってくる

最初に無駄な自信がつき、より優秀な方をみて自信がなくなる、という点で共通してきます。その後、結局は行動や知識を蓄えながら成長する他ありません。

ダニング・クルーガー効果の実証実験

ダニング・クルーガー効果はその名の通り、コーネル大学のダニング博士とクルーガー博士の共同の研究によって名付けられたものです。

博士たちはいくつかの研究を通して、このダニング・クルーガー効果を提唱しました。

実験内容はこちら。

ダニング・クルーガー効果の実験

参加者にテストを実施(テスト内容はユーモア、理論的思考、英文法)

そして、彼らに「自身のテストの出来」と「他者がどの程度の成績だったか」について尋ねたもの。

そして、実験の結果、

  • テストのスコアが高い人ほど、自分は出来ていないと評価
  • テストのスコアが低い人ほど、自分は出来ていると評価

という結果になりました。

また、他者の能力における評価は、さほど正確性がないことが確認されました。

また実験結果から、以下のようなこともわかったとされています。

ダニングクルーガーの実験によってわかったこと
  1. 自分の能力が期待水準に達していないことを認識できない
  2. 自分の能力がどの程度、不足しているかの認識が十分ではない
  3. 他人の能力評価についても正確性に欠ける
  4. 対象となる能力についてのトレーニングを受けた後であれば、トレーニングを受ける前よりも自分自身の人の能力がいかに不足しているかを認識することができる

そもそも、自分の能力をきちんと認知できない理由は評価基準などをはっきり理解せず、なんとなく判断しているためです。

そのため、自分自身または他者に対する評価を客観的に認知する力はトレーニングによって養うことができるとされています。

認知バイアスを防ぐためのポイント

ダニング・クルーガー効果は認知バイアスの一種です。

認知バイアスは共通して「過去の経験や直感による思い込み」で非合理的になってしまう心理現象なので、意識して対策することで、一定は緩和することができます。

ではそれぞれ解説していきます。

①認知バイアスの理解を深める

まず「ダニング・クルーガー効果」という認知バイアスの存在を知らなければ、防ぎようがありません。自身がバイアスに陥る可能性があることを認識しましょう。

また、「ダニング・クルーガー効果」以外にも日常的に陥りやすい認知バイアスはたくさんあるので、一通り、目を通しておくことをお勧めします。

認知バイアス説明・具体例
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない、現実を見ない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
確証バイアス自分の信念を裏付ける情報を探し求め、それ以外を見ない
例:大好きな彼氏はココが良い!ココも素敵!
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
自己奉仕バイアス自身に好意的な認識を持ちやすい傾向がある
例:成功は自分の能力が高いおかげ。失敗は外部環境のせい。
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
保守性バイアス新しい情報を取り入れて、考え方や行動を変えることに躊躇する
例:革新的な新技術が出ても、使わず、従来のやり方に固執する
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む効果
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価しやすい心理効果
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
バンドワゴン効果多くの人々が支持する意見や行動に信頼感を抱く効果
例:子どもが、他のみんなと同じオモチャを欲しがる
フレーミング効果同じ情報でも伝え方によって受け取り方が異なる効果
例:電池残量が「残り50%もある」と「残り50%しかない...」
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える効果
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)
アンダードッグ効果不利な立場の負け犬を同情・応援したくなる効果
例:バレンタインに縁がなさそうな人にチョコをあげたくなる
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる効果
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
バックファイア効果信念に反する情報を提示すると、裏目になる効果
例:大好きな彼氏を批判されると、かえって愛情が増す、守る
真理の錯誤効果繰り返された情報を真実だと思い込む効果
例:「最高品質」と効果を連呼するTVCMを繰り返しみて信じる
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アロンソンの不貞の法則知らない人からの褒め言葉を、より嬉しく感じる法則
例:家族よりも、他人から認められると嬉しい
代表性ヒューリスティックある対象の判断を、既知概念の代表的特性との類似性で判断する
例:「尻尾が丸い動物」→「うさぎかな?」
可用性ヒューリスティックある判断をするとき、すぐに思い出せる事例や情報から判断しやすい
例:馴染みのものや、人気ブランド、記憶に浮かぶ商品を選びがち。
選択肢のパラドックス選択肢が多ければ多いほど不満を感じやすくなる
例:レストランのメニュー、料金プランの種類など

②認知バイアスの診断を受ける

次は、自身が「どういったバイアスを持ちやすいのか」という思考の癖を知ることをおすすめします。ミイダスで診断可能ですね。(確か、無料でできる診断は唯一だと思います。)

<ミイダスがおすすめ>

引用元:ミイダス

ミイダスはもともと、いくつかの質問から市場価値を計測できる転職アプリですが、「バイアス診断ゲーム」をはじめとした心理学系の診断がいくつかあります。誰でも登録できるので、興味があれば試してみてください。

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③ものごとを批判的に考える

認知バイアスに陥るのを防ぐためには、「なにごとも疑ってかかる」ということが重要です。 例えば以下のように批判的に考えましょう。

批判的に考えるための問い
  • 何が事実で、何が解釈か
  • 情報は正しいものなのか
  • 反対意見には何があるか
  • 別の観点から考えると解釈は変わるか

このように、ものごとをさまざまな角度から複眼的にとらえることができれば、認知バイアスに陥りにくくなります。

ただし、根っこから認知バイアスに両足を突っ込んでしまっている人は、そもそもこのクリティカルシンキング(批判的思考)を持てないので、注意しましょう。

④第三者の意見を参考にする

認知バイアスは自身の考えに客観性を持てなくなる心理現象なので、「第三者の意見を借りる」というのが効果あります。

例えば、自分にとって利害関係のない相手であったり、自分にとって都合の悪いことも率直に言ってくれる相手がおすすめですね。

他の認知バイアス【一覧と具体例】

認知バイアスには、さまざまな種類があります。個人レベルから集団レベルまで、さまざまな認知バイアスが存在しているので表で整理しました。

認知バイアス説明・具体例
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない、現実を見ない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
確証バイアス自分の信念を裏付ける情報を探し求め、それ以外を見ない
例:大好きな彼氏はココが良い!ココも素敵!
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
自己奉仕バイアス自身に好意的な認識を持ちやすい傾向がある
例:成功は自分の能力が高いおかげ。失敗は外部環境のせい。
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
保守性バイアス新しい情報を取り入れて、考え方や行動を変えることに躊躇する
例:革新的な新技術が出ても、使わず、従来のやり方に固執する
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む効果
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価しやすい心理効果
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
バンドワゴン効果多くの人々が支持する意見や行動に信頼感を抱く効果
例:子どもが、他のみんなと同じオモチャを欲しがる
フレーミング効果同じ情報でも伝え方によって受け取り方が異なる効果
例:電池残量が「残り50%もある」と「残り50%しかない...」
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える効果
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)
アンダードッグ効果不利な立場の負け犬を同情・応援したくなる効果
例:バレンタインに縁がなさそうな人にチョコをあげたくなる
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる効果
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
バックファイア効果信念に反する情報を提示すると、裏目になる効果
例:大好きな彼氏を批判されると、かえって愛情が増す、守る
真理の錯誤効果繰り返された情報を真実だと思い込む効果
例:「最高品質」と効果を連呼するTVCMを繰り返しみて信じる
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アロンソンの不貞の法則知らない人からの褒め言葉を、より嬉しく感じる法則
例:家族よりも、他人から認められると嬉しい
代表性ヒューリスティックある対象の判断を、既知概念の代表的特性との類似性で判断する
例:「尻尾が丸い動物」→「うさぎかな?」
可用性ヒューリスティックある判断をするとき、すぐに思い出せる事例や情報から判断しやすい
例:馴染みのものや、人気ブランド、記憶に浮かぶ商品を選びがち。
選択肢のパラドックス選択肢が多ければ多いほど不満を感じやすくなる
例:レストランのメニュー、料金プランの種類など

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。