ハロー効果(光背効果)とは|見た目や肩書きで評価が歪む認知バイアス

ハロー効果とは

ハロー効果とは、ある人を評価をするときに「見た目」や「肩書」といった目立ちやすい特徴によって、評価内容が歪められてしまう認知バイアスです。(別名:光背効果)

例えば、「あの人は頭が良さそうだ…」「きっとあの人はだらしない性格に違いない」と、その人のことをよく知りもせず、「見た目」だけで決めつけてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。この思い込みこそが、ハロー効果によるものです。

他にも例をあげますね。

ハロー効果の具体例
  • 仕事での評価
    • 見た目が清潔で綺麗だから、仕事ができそう
    • 営業成績が良いと、分析やマーケもできそう
    • 太っているから、自己管理能力が低い
  • 教育現場での生徒の評価
    • 礼儀正しい生徒は、成績も優秀そうだと思う
    • ある1教科の成績が優秀だと、全教科優秀だろうと思う
  • 日本のことわざ
    • 色白は七難を隠す
    • 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

このように「ハロー効果」は、人間が物事を評価するときに、他の特徴に引っ張られて評価が歪んでしまう認知バイアスです。

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように「思い込みをしやすい」というデメリットはあるものの「膨大な情報量を素早く処理できる」というメリットがあるので、人間の脳への負荷を減らすために必要な機能ですね。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。

由来は、後光を表す『halo』

ハロー効果の起源は、心理学者エドワード・ソーンダイクが1920年に発表した論文にあります。

語源は、絵画で天使や聖人の頭上や後頭部によく描かれる光輪(halo)のことで、英語圏の挨拶として使われる「hello」ではないので注意してください。

×(hello)○(halo)

ポジティブハロー効果/ネガティブハロー効果

ハロー効果は、バイアスの良し悪しで2つに分かれています。

  • ポジティブハロー効果
  • ネガティブハロー効果

評価する対象の顕著な特徴によって、どちらのバイアスがかかるのか決まります。

ポジティブハロー効果とは

ハロー効果の中で、より起こりやすく、評価の対象にポジティブなバイアスがかかるものを、ポジティブ・ハロー効果と呼びます。

容姿の優れた人は性格も良く見えるというバイアスも、ポジティブ・ハロー効果の一例です。

ポジティブハロー効果の具体例
  • いつも楽しそうにしているから、悩み事などないはずだ
  • 走るのが早いから、他のスポーツも得意だろう
  • 学歴が高いから、どの仕事をやらせてもできるだろう
  • イケメンだから、性格も良いに違いない
  • 高級そうなスーツを着ているから、裕福に違いない

上記のように、ポジティブ・ハロー効果は、対象の見かけや情報のうち特に優れている部分から、評価をします。

ネガティブハロー効果とは

ネガテイブハロー効果とは、評価対象のネガテイブな部分を如実に感じ、印象を悪い方向に歪めてしまう現象のことです。(別名:負のハロー効果、デビル効果)

ネガティヴハロー効果の具体例
  • 大人しいから友達がいない
  • 太っている人は自己管理能力が低い
  • 最終学歴が高校だから、大学卒には劣っている
  • この店のカレーは美味しくなかったから、オムライスも美味しくない
  • 学校での素行や日常生活に問題があるから、成績も悪い
  • CMに起用された有名人が不祥事を起こすと、商品の売れ行きが落ちる

以上のように、ネガテイブ・ハロー効果では、対象の一部の悪い所が、対象全体のネガテイブなイメージに広がるのです。

ハロー効果の活用方法

ここでは、ハロー効果の活用方法を紹介していきます。具体的には下記の通りです。

  1. 初頭効果を意識して立ち回る
  2. 権威効果でハローを操作する

①初頭効果を意識して立ち回る

初頭効果とは、ヒトは他者に対して「最初に抱いたイメージを長期的に持ち続けやすい」という心理効果です。最初の印象はしばらく残ります。

  • 最初の挨拶が大事
  • 初対面は服装や所作が大事

などと言われるのはこれが理由です。初対面の人に会うときは、自分がどのような人物だと捉えられたいかを意識して、服装や雰囲気を演出しましょう。

②権威効果でハローを操作する

権威効果とは、権威のある肩書きや権威があるように見える容姿によって、相手の評価が著しく変わってしまう心理効果です。

権威効果の具体例
  1. メガネをしている人は、頭が良い
  2. 白衣を着ている人は、論理的で賢い
  3. 会社の社長は、みんなお金持ち
  4. 美容の専門家は、肌がきれい
  5. 高級ブランド品を持っていると、お金持ち

相手に持たせたい印象によって、上記のような「なにかしらの権威」を被ることで、自分の評価に紐づくハロー(後光)を操作することが可能です。

他の認知バイアス【一覧と具体例】

認知バイアスには、さまざまな種類があります。個人レベルから集団レベルまで、さまざまな認知バイアスが存在しているので表で整理しました。

認知バイアス説明・具体例
確証バイアス自分が信じたい情報だけを信じる
例:大好きな彼氏♡こーんなに素敵♡
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価するという現象
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない心理効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。

認知バイアスを防ぐためのポイント

ハロー効果を含む認知バイアスを意識的に防ぐためには、いくつかの方法があります。

ではそれぞれ解説していきます。

①認知バイアスへの理解を深める

まず、どういった認知バイアスが存在するのかを知らなければ、意識して防ぎようがありません。改めて目を通しておくと良いでしょう。

認知バイアス説明・具体例
確証バイアス自分が信じたい情報だけを信じる
例:大好きな彼氏♡こーんなに素敵♡
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価するという現象
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない心理効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)

ハロー効果においても同様です。自身がバイアスに陥る可能性をがあることを認識することで、一定は防ぐことができます。

②意思決定の癖を知る診断を受ける

次は、自身が「どういったバイアスを持ちやすいのか」という思考の癖を知ることをおすすめします。ミイダスで診断可能ですね。(確か、無料でできる診断は唯一だと思います。)

▼ミイダスがおすすめ

引用元:ミイダス

ミイダスはもともと、いくつかの質問から市場価値を計測できる転職アプリですが、「バイアス診断ゲーム」をはじめとした心理学系の診断がいくつかあります。誰でも登録できるので、興味があれば試してみてください。

【公式】https://miidas.jp/

③ものごとを批判的に考える

認知バイアスに陥るのを防ぐためには、「なにごとも疑ってかかる」ということが重要です。 例えば以下のように批判的に考えましょう。

批判的に考えるための問い
  • 自分の思っていることは客観的なのか
  • まわりの意見は公平で公正か
  • 情報は出どころは正しいものなのか
  • 反対意見にはどのようなものがあるのか

このように、ものごとをさまざまな角度から複眼的にとらえることができれば、認知バイアスに陥りにくくなります。

ただし、根っこから認知バイアスに両足を突っ込んでしまっている人は、そもそもこのクリティカルシンキング(批判的思考)を持てないので、注意しましょう。

④第三者の意見を参考にする

認知バイアスは自身の考えに客観性を持てなくなる心理現象なので、「第三者の意見を借りる」というのが効果あります。

例えば、自分にとって利害関係のない相手であったり、自分にとって都合の悪いこともきちんと率直に言ってくれる相手がおすすめです。

ただ、あまりに主観的だとその人が確証バイアスに囚われている可能性があるので、相談できる相手は慎重に選ぶようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ハロー効果(光背効果)とは、ある人を評価をするときに、「見た目」や「肩書」といった目立ちやすい特徴によって、評価内容が歪められてしまう『対人認知バイアス』のことを指します。

例えば、

見た目がいいから、性格もいいだろう
学歴が低いから、仕事ができないだろう

などが当てはまり、因果関係のない『偏見』であることがほとんどです。

しかし、その効果の絶大さは計り知れず、良い効果にも悪い効果にも働くので、意識して気をつけるに越したことはないでしょう。

このページを読んだあなたの人生が、
より豊かなものとなることを祈っております。