知性化とは?無意識に働く防衛機制〜合理化との違いを具体例を用いてわかりやすく解説|心理学用語

知性化とは、受け入れ難い感情や欲求に対して、無意識に「知識」を用いて対処する「防衛機制」のことを指します。

少しウンチクっぽくはなるものの、知識を用いて客観的に受け入れようとする点が特徴です。いくつか例をあげてみましょう。

例)好きな女の子にフラれたとき
  • 「告白してフラれる確率は○○%だから、たまたまハズレを引いただけだ」
    と文献を漁ったり、
  • 「高校生の自分が、今後出会う女性の人数を計算すると、、」
    と計算し始めること
例)ダイエットで運動をしたくない場合
  • 「そもそも少し太っていた方が、長生きするんだよな」
    と原点に立ち返る
  • 「女性の1日の摂取カロリーは2,000kcalだから、1個54kcalのりんごは1日37個までなら食べていいか」
    と食べ物のカロリーを調べて計算を始める

このように、人間が感じた欲求や感情が、受け入れがたいものであった場合、無意識に「防衛機制」が働くことが知られています。

では詳しく「知性化」について見ていきましょう。

「知性化」は防衛機制の一つ

防衛機制とは、認めがたい自分自身の感情や欲求から、不安や葛藤といったつらい感情を感じずに済ませるための対処法のことです。

受け入れがたい感情を感じた際に「どう対処するか」で分類されています。

防衛機制の例
  • 抑圧
    感情を、無意識に押し込める
  • 否認
    感情を、現実として認めない
  • 投影
    感情を、他者のもののように思う
    つまり、他者の中にその感情を投影する
  • 反動形成
    感情を押し殺すために、
    その感情と反対の言動・行動をする
    例)好きな子をいじめる
  • 昇華
    欲求をそのまま表現できない場合に、
    代わりに社会的に良しとされる活動にその欲求のエネルギーを向ける
    例)恋愛感情を絵や歌にする
  • 同一化
    自分ではどうにも出来ない事柄を、
    既に叶えている他者になったかのように振舞って充足感を得る
  • 合理化
    自分に都合の良いように事実を歪曲したり、
    論理的な理由をつけて自分は正しいのだと納得する
    例)好きな女の子にフラれたときに「性格が悪いから付き合いたくない」と思い込む

このように、人は様々な防衛機制による対処を取りながら、生活しています。

特に「知性化」は、受け入れ難い事実を、自分の持つ「知識」によって「客観的」に理解しようとするので、感情的にならずに済むというメリットがあるのです。

ちなみに、知性化による対応が出来るということは、それだけの知的水準に達しているということと、同時にある程度は感情に流されず、物事を客観視できるということでもあります。

「知性化」と「合理化」の違い

知性化と合理化は、名前からして似ているように見えますが、その性質は全く異なっています。

事実、知性化は「知識を用いて客観的に理解」しようとすることで、合理化は「論理的な根拠を主観的に用意」することです。

例えば、女性に告白してフラれた場合だと、以下のような違いがあります。

知性化と合理化の違い
  • 知性化の例
    「女性の告白成功率に比べると、男性の告白は成功率低いっていうしな。。」
  • 合理化の例
    「あの子は頭も悪ければ、性格も悪い。だから付き合いたくない。」

このように合理化は、自分自身の思考や行動について、論理的に受け入れられる説明をつけることで、

都合よく事実を捻じ曲げることが特徴です。

つまり、主観的には一見筋を通せていても、客観的に見ると全く論理的ではありません。

合理化の有名な例:すっぱいブドウ

有名な例えとしてはイソップ童話「すっぱいブドウ」でしょう

ある日、お腹をすかせたキツネは立派なブドウの実をつけた木を見つけます。

なんとかして葡萄を食べたいキツネは飛んだり手を伸ばしたり…あの手この手で取ろうとしますが、結局、ぶどうは取れませんでした。

その結果に対してキツネは「どうせ、あのぶどうはまだ熟していないすっぱいブドウに違いない。だから、届かないのだ。」と考えます。

このように、キツネがブドウの実を食べることが叶わなかったのはキツネ側の要因なのですが、あたかもブドウの木に原因があるかのような屁理屈によって、葛藤を乗り越えようとします。

知性化と似た概念のように思われますが、知性化は現実を踏まえた上で知識を用いて(論理的思考をすることで)対処しようとするのに対し、合理化は現実を都合の良いように捻じ曲げることで対処しようとします。

つまり、知性化は、合理化に比べるとより高度な防衛機制と言えるでしょう。

参考:ここでいう「無意識」とは

「無意識」は、オーストリアの精神科医フロイトの「局所論」によって提唱された、心の層の一つで、他には「意識」と「前意識」があります。

そして、「意識」は自分として体験できるもの、「前意識」は普段は意識していないが注意を向ければいつでも意識できるもの、「無意識」は自覚していない部分を指します。

また、「人間は忘れる生き物だ」と言いますが、意識的・無意識的に無意識化する(心理学では抑圧されるものと言います)ことで、何とかやっていこうとするメカニズムでもあるのです。

とはいえ、それが病的なものへ繋がるケースもあり、フロイトは無意識を否定的に扱っていました。

しかし、現在は様々な観点から無意識の、ひいては防衛機制の働きは、こころの健康を保つためにも重要であるとの考えも広がっています。

「知性化」の日常事例|4パターン

知性化は日常的に様々なところで見られます。

では軽く説明していきます。

猫アレルギーなのに、猫の飼い方に詳しい

ネコアレルギーの人が、飼ってもいないのに、ネコの飼い方についての知識が豊富というのも知性化の例です。

猫アレルギーの場合、残念なことに、いくらネコが好きで飼いたくても、ネコを飼うことが出来ません。

そこで、飼いたいのに飼えないという葛藤が生じ、この葛藤に対処するため、無意識に知識を求めた行動を取っていくという訳なのです。

恋人がいないはずなのに、恋愛理論に詳しい

他にも恋人のいない青年が、恋愛についての理論を展開するのも知性化です。

何故、恋人がいないのか問われて「ニュースか何かで見たけれど、最近の同世代の半数は恋人がいないっていうし、そんなものだよ」と答えるなど、知識だけは豊富なのです。

この例は、本当は恋人が欲しいけれどできない、という葛藤に知識によって対処しようとしたものです。

ダイエットで運動をせず、カロリー計算に勤しむ

ダイエットで食べたら運動しようと言って、食べたもののカロリー計算を始めたりするのも知性化にあたります。

運動は出来ればしたくないし、するとしてもできるだけ軽めが良いので、食べたもののカロリーを計算することで、運動することへの葛藤へ対処しようとするという具合です。

就活の不安をなくすためにセミナーに参加

そして、多くの方が経験したであろう就職活動も見方によっては知性化として捉えることができます。

就職活動における不安を軽減するために、大した意味もないセミナーにやたらと参加したり、先輩から体験談を聞いたりと、動いていないと気が済まないのです。

このように、初めての出来事への不安に対して事前に知識を得て、その知識によって不安を少しでも軽減しようとすることが確認されています。

ビジネスでは合理化より知性化が働きやすい

また、採用面接を受ける前や新しいクライアントの情報を集めるというのも、面接や仕事に対しての不安や葛藤を少しでも和らげようとするのもあるでしょう。

仕事となれば、どうしても普段の生活に比べると不安や葛藤が生じやすく、仕事をする上では自身の都合の良いようにだけ考える(合理化)訳にはいかないですから、知性化の防衛機制が働きやすい場面です。

「知性化」の注意点

知性化は、自分の感情を押さえ込み、知的な方向で受け止める防衛機制であるため、ストレスを抱え込みやすい注意点があります

特に、仕事の場面では、比較的知性化が働きやすい傾向にあり、それだけ自分の感情を抑え込み、知的に対応せざるを得ない場面が多いともいえるでしょう。

また、感情の抑圧により、自分の中に生じている感情を自覚しにくく、知性化という防衛機制を行っている自覚すらない場合が多くあります。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

知性化とは、受け入れ難い感情や欲求に対して、無意識に「知識」を用いて対処する「防衛機制」の一つで、こころの健康を守るためにも必要なものです。

このページを読んだあなたの人生が、
より豊かなものとなることを祈っております。