正常性バイアスとは|都合の悪い情報を無視・過小評価する認知バイアス

正常性バイアスとは

正常性バイアス(normalcy bias)とは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする、という認知バイアスのことです。(別名:正常化の偏見)

以下にその具体的な例をいくつか挙げます。

正常性バイアスの具体例
  • 自然災害
    • 洪水が起きても大丈夫だと思う
    • 大地震が起きても大丈夫だと思う
  • 健康への問題
    • 体調が悪い気がするけどたぶん大丈夫
    • 喫煙者が肺がんになるリスクを過小評価する
    • 食生活や睡眠習慣が乱れても問題ないと思う
  • 勉強や仕事の締め切り
    • 明日テストで全く勉強してないけど大丈夫
    • 仕事の納期まで時間ないけどなんとかなる

これらの具体例からわかるように、正常性バイアスは、人間がリスクそのもの過小評価し、適切な対策を講じる能力を阻害する可能性があります。

どんなリスクがあっても「まあでも、それってあくまで統計上の話だよね?さすがに大丈夫でしょ。」と現実を直視しません。

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように「思い込みをしやすい」というデメリットはあるものの「膨大な情報量を素早く処理できる」というメリットがあるので、人間の脳への負荷を減らすために必要な機能ですね。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。

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引用元:ミイダス

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正常性バイアスの具体例

正常性バイアスが特に大きく影響する場面が、災害時です。

例えば、自然災害における課題として、「警報が出ていることを知っていても避難しない人」が一定数存在することが指摘されています。

これはまさに正常性バイアスの結果で、自分にとって都合の悪い「避難しないと危険である」という情報を無視したり、「避難するほどではない」と災害を過小評価したり、などが挙げられます。

ではそれぞれ解説していきます。

正常性バイアスの事例(1) 東日本大震災(2011年)

日本において集団に正常性バイアスが働いたとされるもっとも大きな事例は、2011年に発生した東日本大震災こと東北地方太平洋沖地震です。

地震発生直後のビックデータから人々の行動を解析したところ、

ある地域では地震直後にほとんど動きがなく、津波を実際に目で目撃してからようやく避難行動に移っており、避難行動に遅れが生じていたことが後の研究から明らかになっています。

Q.どうして東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で2万人の犠牲者が出たの?
A.津波の高さの過小評価と住民たちが「津波はそんなに来ないだろうから逃げなくても大丈夫だろ」と言う正常性バイアスが働いたのが原因だと考えます。 pic.X(旧Twitter).com/CngCaIpstG

— 長崎いろいろ鉄@スーパー暇人 (@NANKAIsmaii5004) May 6, 2020

正常性バイアスの事例(2) 御嶽山噴火(2014年)

また、2014年の御嶽山噴火でも似たような事象が起きています。

ー朝日新聞

亡くなった人の多くが噴火後もすぐに避難することなく火口付近に留まって噴火の様子を撮影していたことがわかっており、中にはスマートフォンを握り締めたまま亡くなっていた人もいたそうです。

これも正常性バイアスによる影響で「噴火はしているが、大丈夫だろう」と思い込み、危機意識が薄れてしまったことが原因です。

正常性バイアスの事例(3) コロナウイルス(2020年)

2020年初頭から世界中で未曾有の事態に発展しているコロナウイルス感染症に関して、2020年5月、とあるニュースが話題となりました。

一人の女性がコロナウイルス感染の疑いがあったにもかかわらず高速バスで実家に帰省したというものです。

ー朝日新聞

その後彼女はコロナウイルスに感染していることが判明し、一緒に過ごしていた友人にも感染するという深刻な事態となりました。

この状況も、

  • 自分に限って感染しているはずがない
  • 数日の間であれば帰省するくらい何の問題はない

という正常性バイアスが働いた結果だと推測できます。

今回の女性に限らず、外出を控える要請がなされている中で「自分は大丈夫」と無根拠に思い込んで外出を繰り返すことは、まさに強い正常性バイアスがかかった結果による思考と行動です。

正常性バイアスを防ぐことはできるのか?

先ほどもお伝えしたとおり、正常性バイアスは、有象無象に氾濫する外部刺激から自動的に脳を守るための仕組みなので、簡単に防ぐことはできません。

そもそも人は自分の認知に偏りがあることを自分で自覚できないので、正常性バイアスが自分に働いているかどうかの知覚すら難しいわけです。

しかしそうなると、災害時の避難活動にはまったく意味がないことになってしまうので、現在において有効とされる手段について紹介します。

では、それぞれ解説していきます。

訓練を重ねて「想定外」を想定内にする

これはいわゆる防災訓練に該当するものです。

緊急時と同様の事態を疑似的に作り出し、避難活動を身体、そして脳に覚えさせることで、万が一の事態でも「想定外」とはならず、正常性バイアスに陥ることを防ぐことができるといわれています。

また、防災訓練に限らず、日ごろの防災教育や防災意識を高めることも同じように重要であるといえるでしょう。

現に消防や救急、自衛隊などに勤務される方々は普段から訓練を重ねています。

また実際の仕事の中で災害にも幾度となく遭遇していることから、万が一の事態においても正常性バイアスに陥ることなく、常に危機感を持って救命活動ができていると言えるでしょう。

日頃の訓練の結果、正常性バイアスから逃れた実例

実は、先ほど例に挙げた東日本大震災において、岩手県釜石市は他の地域と同様に津波による被害を受けましたが、釜石市の中学生における生存率は99.8%と極めて高いものでした。

これは当時、釜石市では群馬大学の片田敏孝教授による指導の下で、8年にわたる防災教育と防災意識の向上、そして定期的な避難訓練の取り組みがなされていたためとされています。

参考:津波てんでんこ

釜石市には、今では「釜石市の奇跡」とさえ呼ばれている「津波てんでんこ」という教えによって、多くの命が救われたとされています。

「てんでんこ」の語源である「各自」、すなわち「津波の恐れがあるときには各自てんでばらばらに散らばって一刻も早く高台に避難し自分の命を守ること」という意識が、スムーズな避難を可能にしたのです。

震災時にも、校長や副校長らが率先して「逃げろ」「走れ」と指示し、全員が誰を待つこともなく率先するかのように校門を出て、避難所へ逃げることができたとのことです。

ただ、その後の調査で「他人の命を気にせず自分だけ逃げるなんて薄情だ」「自分だけ助かれば良いという自己中心的な考え方だ」と多くの人に捉えられていることが明らかになっています。

逆に、釜石市では地震直後に、みんなで点呼を取って集合して、一緒に福祉施設に逃げたりするような動きもあったそうですが、それでは手遅れになりかねません。

周りは気にせず、率先して避難行動に移る

有事の際は、まわりを気にせず、「誰も逃げていないとしても率先して避難行動に移る」くらいの防災意識を持ちましょう。

実際に、「誰も避難していないからいいや」という感覚は、すでに「逃げない理由」を作るための正常性バイアスによる偏りで、気づいたら手遅れ、という状態にもなりかねません。

そのため、避難率先者になることは、防災教育の中で非常に重要な要素の一つであり、避難訓練の中で避難率先者を意識的に経験するという取り組みもされているほどです。

そもそも、非常事態の際は普段通りに考えたり行動したりすることがそもそも難しくなる状況であり、正常性バイアスに陥らないこと自体が、一般人にはほぼ不可能です。

そのため、正常性バイアスがかかっていることを加味した上で自分自身が率先避難者となるなどの心がけも重要になってくるでしょう。

認知バイアスを防ぐためのポイント

正常性バイアスは認知バイアスの一種です。

認知バイアスは共通して「過去の経験や直感による思い込み」で非合理的になってしまう心理現象なので、意識して対策することで、一定は緩和することができます。

ではそれぞれ解説していきます。

①認知バイアスの理解を深める

まず「正常性バイアス」という認知バイアスの存在を知らなければ、防ぎようがありません。自身がバイアスに陥る可能性があることを認識しましょう。

また、「正常性バイアス」以外にも日常的に陥りやすい認知バイアスはたくさんあるので、一通り、目を通しておくことをお勧めします。

認知バイアス説明・具体例
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない、現実を見ない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
確証バイアス自分の信念を裏付ける情報を探し求め、それ以外を見ない
例:大好きな彼氏はココが良い!ココも素敵!
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
自己奉仕バイアス自身に好意的な認識を持ちやすい傾向がある
例:成功は自分の能力が高いおかげ。失敗は外部環境のせい。
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
保守性バイアス新しい情報を取り入れて、考え方や行動を変えることに躊躇する
例:革新的な新技術が出ても、使わず、従来のやり方に固執する
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む効果
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価しやすい心理効果
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
バンドワゴン効果多くの人々が支持する意見や行動に信頼感を抱く効果
例:子どもが、他のみんなと同じオモチャを欲しがる
フレーミング効果同じ情報でも伝え方によって受け取り方が異なる効果
例:電池残量が「残り50%もある」と「残り50%しかない...」
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える効果
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)
アンダードッグ効果不利な立場の負け犬を同情・応援したくなる効果
例:バレンタインに縁がなさそうな人にチョコをあげたくなる
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる効果
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
バックファイア効果信念に反する情報を提示すると、裏目になる効果
例:大好きな彼氏を批判されると、かえって愛情が増す、守る
真理の錯誤効果繰り返された情報を真実だと思い込む効果
例:「最高品質」と効果を連呼するTVCMを繰り返しみて信じる
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アロンソンの不貞の法則知らない人からの褒め言葉を、より嬉しく感じる法則
例:家族よりも、他人から認められると嬉しい
代表性ヒューリスティックある対象の判断を、既知概念の代表的特性との類似性で判断する
例:「尻尾が丸い動物」→「うさぎかな?」
可用性ヒューリスティックある判断をするとき、すぐに思い出せる事例や情報から判断しやすい
例:馴染みのものや、人気ブランド、記憶に浮かぶ商品を選びがち。
選択肢のパラドックス選択肢が多ければ多いほど不満を感じやすくなる
例:レストランのメニュー、料金プランの種類など

②認知バイアスの診断を受ける

次は、自身が「どういったバイアスを持ちやすいのか」という思考の癖を知ることをおすすめします。ミイダスで診断可能ですね。(確か、無料でできる診断は唯一だと思います。)

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③ものごとを批判的に考える

認知バイアスに陥るのを防ぐためには、「なにごとも疑ってかかる」ということが重要です。 例えば以下のように批判的に考えましょう。

批判的に考えるための問い
  • 何が事実で、何が解釈か
  • 情報は正しいものなのか
  • 反対意見には何があるか
  • 別の観点から考えると解釈は変わるか

このように、ものごとをさまざまな角度から複眼的にとらえることができれば、認知バイアスに陥りにくくなります。

ただし、根っこから認知バイアスに両足を突っ込んでしまっている人は、そもそもこのクリティカルシンキング(批判的思考)を持てないので、注意しましょう。

④第三者の意見を参考にする

認知バイアスは自身の考えに客観性を持てなくなる心理現象なので、「第三者の意見を借りる」というのが効果あります。

例えば、自分にとって利害関係のない相手であったり、自分にとって都合の悪いことも率直に言ってくれる相手がおすすめですね。

他の認知バイアス【一覧と具体例】

認知バイアスには、さまざまな種類があります。個人レベルから集団レベルまで、さまざまな認知バイアスが存在しているので表で整理しました。

認知バイアス説明・具体例
正常性バイアス自分に都合が悪い事実を信じない、現実を見ない
例:連帯保証人になったら友達が音信不通に。でもきっと大丈夫!
確証バイアス自分の信念を裏付ける情報を探し求め、それ以外を見ない
例:大好きな彼氏はココが良い!ココも素敵!
生存バイアス現在、生存している事例(成功例)しか見ない
例:成功した起業家を分析して、失敗例を見ない
後知恵バイアス過去の事象に「それは予測可能だった」と勘違い
例:そのじゃんけん、チョキなら勝てるってわかったよね?
自己奉仕バイアス自身に好意的な認識を持ちやすい傾向がある
例:成功は自分の能力が高いおかげ。失敗は外部環境のせい。
自己中心性バイアス自分を基準に、他者の心情や認知を推察する
例:自分の価値観を押し付ける、相手目線で考えられない
感情バイアス感情的な好き嫌いが意思決定に影響を与える
例:性能は悪いがつい好きなブランド商品を買ってしまう
投影バイアス自分の好み、感情、価値観を他人に投影して認識する
例:まわりの人も自分と同じ意見、感情だと思い込む
一貫性バイアス他者の1行動に一貫性があると思い込む
例:さっきナンパしてきた人、絶対いろんな女子に声かけてるよね
保守性バイアス新しい情報を取り入れて、考え方や行動を変えることに躊躇する
例:革新的な新技術が出ても、使わず、従来のやり方に固執する
バーナム効果曖昧な特徴でも、自分に強く該当すると思い込む効果
例:占い師「あなたは◯◯な人間ですね」→そうかも!
ハロー効果ある事象への評価が、他の目立った特徴に引っ張られる効果
例:清潔感がない人は、仕事もできなさそうだし性格も悪そう
ダニングクルーガー効果能力の低い人ほど自分を高く評価しやすい心理効果
例:もうこのゲームはコツ掴んだな!オレ最強かも!
コンコルド効果過去の投資を惜しんで、追加投資をやめられない効果
例:UFOキャッチャーを取れるまでやってしまう
バンドワゴン効果多くの人々が支持する意見や行動に信頼感を抱く効果
例:子どもが、他のみんなと同じオモチャを欲しがる
フレーミング効果同じ情報でも伝え方によって受け取り方が異なる効果
例:電池残量が「残り50%もある」と「残り50%しかない...」
アンカリング効果最初に提示した情報が基準となり、その後の認識に影響を与える効果
例:商品の値下げ(大きく下がっているとお得に感じますよね?)
アンダードッグ効果不利な立場の負け犬を同情・応援したくなる効果
例:バレンタインに縁がなさそうな人にチョコをあげたくなる
クレショフ効果2枚の関係ない写真に、意味的な繋がりを感じる効果
例:「野菜」「不機嫌な人の顔」→野菜が嫌い?
バックファイア効果信念に反する情報を提示すると、裏目になる効果
例:大好きな彼氏を批判されると、かえって愛情が増す、守る
真理の錯誤効果繰り返された情報を真実だと思い込む効果
例:「最高品質」と効果を連呼するTVCMを繰り返しみて信じる
リスキーシフト集団の中だと、よりリスクの高い意思決定をしやすくなる効果
例:赤信号、みんなで渡れば怖くない
錯誤相関二つの事柄に、相関関係があると錯誤(思い違い)すること
例:雨男/雨女、アイスの売上と溺死数
根本的な帰属の誤り他人の行動の場合、外部要因を過小評価してしまう傾向
例:遅刻の原因で、状況要因を考慮しにくい(性格のせいにしがち)
アロンソンの不貞の法則知らない人からの褒め言葉を、より嬉しく感じる法則
例:家族よりも、他人から認められると嬉しい
代表性ヒューリスティックある対象の判断を、既知概念の代表的特性との類似性で判断する
例:「尻尾が丸い動物」→「うさぎかな?」
可用性ヒューリスティックある判断をするとき、すぐに思い出せる事例や情報から判断しやすい
例:馴染みのものや、人気ブランド、記憶に浮かぶ商品を選びがち。
選択肢のパラドックス選択肢が多ければ多いほど不満を感じやすくなる
例:レストランのメニュー、料金プランの種類など

認知バイアスとは、常識や固定観念、また周囲の意見や情報など、さまざまな要因によって誤った認識や合理的でない判断を行ってしまう認知心理学の概念です。

認知バイアスが起こる仕組み

まず、人間の脳は、自分自身の知覚フィルター(五感)を通して外界に触れ、その刺激が脳に到達して情報処理されることで、外界を認識しています。

しかし、そんな脳は意外とおおざっぱな器官で、わからない部分を勝手に埋め合わせてしまったり、先入観にとらわれて事実をねじ曲げたり、自分に都合よく事実を解釈してしまうのです。

このように、様々な理由で認識が歪んだために、事実を正しく認識できずに不合理な(事実でない)認知をしてしまう「過ち」の傾向を「認知バイアス(cognitive bias)」と呼びます。