サブリミナル効果(閾下知覚)をわかりやすく解説

サブリミナル効果(別名:閾下知覚)とは

サブリミナル効果(別名:閾下知覚)とは、知覚できるぎりぎりの限界値の刺激によって、人の潜在意識にメッセージを刷り込める効果のことです。

これは、視覚・聴覚・触覚の3種類の刺激から、意識の潜在下にメッセージを刷り込むことができるとされています。

なお、広告効果が絶大になることから、サブリミナル広告を配信することはアメリカや日本において禁止されているほどです。

サブリミナル効果の語源

「サブリミナル」は「潜在意識の」という意味の英単語のことで、「知覚できるギリギリの限界値」を、「潜在意識」ととらえたことが由来です。

サブリミナル効果の実証実験

サブリミナル効果の発端は、1897年にアメリカ・イエール大学の心理学者、エドワード・ウィーラー・スクリプチャー(E.W. Scripture)が、

自身の著書「The New Psychology」でその原理を解説したことがきっかけです。

そして1900年、別の心理学者によってとある知覚心理実験が行われました。

実験では被験者に「ミュラーリヤー錯視」を見せている間に閾値以下の「影」を一瞬だけ映すことによって、錯視の判断に影響が生じたとされています。

その後、アメリカの心理学者であるハリー・レヴィー・ホリングワース(Harry Levi Hollingworth)が「サブリミナル効果によるメッセージは広告宣伝に効果がある」と大衆雑誌に発表し、その名が知られるところとなります。

ジェームズ・ヴィカリーによる映画館での実験

サブリミナル効果を初めて商業的に利用したとされているのは、アメリカの市場調査業者のジェームズ・ヴィカリー(James M. Vicary)です。

彼は1957年、映画が投影されているスクリーンの上に、「コカコーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」というメッセージが書かれたスライドを1/3000秒ずつ5分間にわたって繰り返し映すことで、コカコーラとポップコーンの売り上げが増加したとしています。

しかし、その結果はアメリカ広告調査機構の要請にもかかわらず論文として提出されることはなく、翌年の再実験では効果を実証できませんでした。

さらに、数年後にはヴィカリー自身が「十分なデータはなかった」とコメントしていることが明らかになっており、近年では「実験自体が行われていなかった」という指摘も上がっています。

サブリミナル広告は使用禁止

サブリミナル効果を使用した広告は「公の利益に反する」「人を欺こうとしている」という理由から、1974年にアメリカでサブリミナル広告が禁止され、日本でも1999年には全面的に禁止となりました。

とはいえ、決して人体に悪影響を与えるようなものではありません。

サブリミナル効果は決して有害なものではない

サブリミナル効果は今でもメディアでは広告としての利用が禁止されていますが、そもそもの効果が疑問視されていることと、これまでに具体的な健康被害の報告がないことから、決して有害なものであるという指定はされていません。

さまざまなブログで「サブリミナル広告は効果が強すぎるために使用禁止となった」といわれています。

「禁止するということはそれだけ大きな効果があるのではないか」と考えられているようですが、実際には過去の実験を辿るとわかるとおり、

たとえ知覚できないレベルであっても視聴者の承諾を得ないままに宣材目的の映像を流すことは視聴者にとってアンフェアであり、結果として大衆を欺くことになる

という倫理的な側面によるものです。

実際、現在一般的に「広告」とされているものは、視聴者の目や耳で知覚できる形で発信されています。

サブリミナル効果に似た演出が認められていたこともある

実は、日本で2000年から2015年までにサブリミナル効果に似た演出が特許として認められ、実際に使用されていました。

それは、パチンコです。

パチンコを開始後、所定時間が経過するたびに「大当たりをしたときの映像を流す」ことによって、遊戯者が当たりを諦めきれず、予定していた時間より長く続けてしまう効果を狙っているとのことです。

これをサブリミナル効果の例として挙げているブログもやはり少なくありません。

ただしこれは無意識への訴えではなくあくまで「知覚できるレベル」の映像であり、どちらかというと昨今のスマートフォンゲームにあるような「射幸心を煽るもの」として使われている演出であるといえるでしょう。

※なお、射幸心は「幸福になりたいと期待する気持ち」のことです。

外れが続いたところで当たったときの演出を見せられると、「もうちょっとやっちゃおう」という気持ちになることはおそらくパチンコを経験したことのない方も想像しやすいのではないでしょうか。

ギャンブルにおいて射幸心を煽る演出の是非はともかくとして、この演出は厳密にはサブリミナル効果に該当しないため、このように特許が認められたのだと推測されます。

現代におけるサブリミナル効果の取り扱い

1990年代は懐疑的とされていたサブリミナル効果ですが、2000年代は「限定的な状況では発生しうる」とされた研究結果も報告されており、今でもその効果が完全に否定されているわけではありません。

過去、日本ではテレビ放送において、広告ではないものの視聴者が知覚できない映像がアニメやバラエティなどで差し込まれることがあったようです。

(「シティーハンター3」「マネーの虎」など、その後メディアで報道され、問題視されました。)

昨今では「クイズ」として事前に告知をした上でサブリミナル映像を意図的に見せるなど、視聴者に了承を受けた上で使用することはあるようです。

現在では受け入れられつつあるサブリミナル効果

近年では、比較的ゆるやかに受け入れられているようです。

例えば、

  • YouTubeでサブリミナル効果の検証動画を投稿
  • 面白動画としてサブリミナルが扱われる
  • スピリチュアルの領域でリラクゼーションの映像や音楽が公開

などで、

その一例を参考に掲載しておきます。

最後に

ここまで説明してきたように、サブリミナル効果とは、「知覚できるぎりぎりの限界値」の刺激によって、人になにかしらの影響が生まれる効果のことです。

意識の潜在下に強いメッセージをすりこむことができる効果に期待され、広告効果が絶大になることから、アメリカや日本では禁止されている手法となっています。

そのため、ビジネスに活かすというよりは、個人で実証してみて楽しむ程度に留めておく方がよいでしょう。

このページをみたあなたの人生が、
より豊かなものとなることを祈っております。